
ヨルダンの「ヨルダン渓谷北・中部給水網改善・拡張計画」に対する無償資金協力について
平成17年6月30日
- わが国政府は、ヨルダン・ハシェミット王国政府に対し、「ヨルダン渓谷北・中部給水網改善・拡張計画(the project for the Improvement and Expansion of the Water Supply Networks in North/Middle Jordan Valley) 」の実施に資することを目的として、総額20億1,100万円を限度とする額の無償資金協力を行うこととし、このための書簡の交換が6月30日(木曜日)、アンマンにおいて、わが方小畑紘一駐ヨルダン国大使と先方先方スハイル・アリ計画・国際協力大臣(H.E. Mrs. Suhair Al-Ail, Minister of Planning and International Cooperation)との間で行われた。
- ヨルダンの地勢は大別して、西部の南北に走る山岳地帯と東部の平坦な砂漠地帯に分かれ、国土の80%以上が砂漠または荒地である。本計画対象地域であるヨルダン渓谷は、山岳部の西部に位置し、その底部をヨルダン川が流れ、流域は肥沃な農業地帯になっている。一方で同地域における失業率は極めて高く、同国における最貧困地域とされている。
ヨルダンにおける年間平均降雨量は山岳部で400ミリメートル、本計画対象地域を含むヨルダン渓谷部は200ミリメートル、また砂漠部では降雨は雨季に限られる。このように利用可能な水資源が絶対的に不足する中、本計画対象地域においては、25年以上前に敷設されたアスベスト管を含む配水管網の老朽化により、50%を越える不明水(漏水・盗水等)が発生している。また、アスベスト管については健康面への影響も問題視されており、早急な交換が求められている。さらに、水源である深井戸についても、揚水量が限られる中、ブースターポンプおよび配水池の老朽化、容量の不足による非効率な供給が行われ、機材・施設の改修および拡張による効率化が必要とされている。
このような状況を踏まえ、計画省が策定した「新社会経済開発計画」においても、水供給は最重要課題に位置づけられているほか、ヨルダン水灌漑省は2002年に「水分野開発・投資計画(2002-2011)」を策定し、配水管のリハビリ事業を最重要分野としている。わが国はヨルダンの水供給分野を重点分野とし、これまでにもザルカ市を含む首都圏での給水分野における無償資金協力を実施しているほか、漏水等対策の技術協力も行っており、こうした経緯を踏まえヨルダン政府はわが国に対し無償資金協力を要請してきたものである。
- この計画の実施により、同地域の一人あたりの給水量が増加し、地域住民(対象区域の人口は約10万人)の生活環境が改善されるとともに、ヨルダンの希少な水資源の効率活用が可能になる。
(参考)
ヨルダンは中東の非産油国で、面積は8.9万キロ平方メートル(日本の約4分の1)、約548万人の人口の6割以上をパレスチナ系住民が占めている。