記者会見

事務次官会見記録(平成20年6月)


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事務次官会見記録(平成20年6月30日(月曜日)17時15分~ 於:本省会見室)

北朝鮮問題

(問)先般のG8外相会合で、核計画の申告の検証の重要性を指摘されていましたが、日本政府としてはどんなところに力点を置いて検証作業の実効性を高めていきたいとお考えになっていますか。

(事務次官)核の問題については、検証というのは、非常に重要な側面であります。具体的にどういう形で検証を行うか、今後の六者会合できちんと合意するということが必要だと思っています。この検証を通じて、北朝鮮側から提出のあったこの申告が妥当なものであるかどうかということに、どこまで迫れるか、ということになりますから、例えばきちんとしたアクセス、関係者とのインタビュー等、色々なことについては、これからよく関係者間で話し合い、きちんとした検証活動につながることを確保していきたいと思っています。

(問)拉致問題の再調査ですけれども、今後、捜査機関等の関係者が参加するという見通しを自民党の幹事長がお話されていますけれど、事実関係として、そういう見通しになっているのでしょうか。

(事務次官)この調査は、本当に我々が求めている生存者を発見し帰国させるための調査でなくてはいけないと思っています。具体的にどういう形で調査を行うのがいいのか、これから北朝鮮側と鋭意交渉し、これから詰めを行うことになっていくという状況です。一番大事なことは、その具体的調査が、本当に解決に繋がるための調査であるか、そういう視点に立って、一番良い調査方法を先方にも求め、また交渉していきたいと考えています。

(問)求める中に、例えば、捜査関係者に日本側から調査に参加するというのは入っているのでしょうか。

(事務次官)色々な形でこれから検討していかなくてはいけないと思っていますが、まだ具体的にどうなっていくかは、これから交渉していくことですから、ここでは言及は差し控えさせていただきたいと思います。

(問)六者会合ですが、報道等によればサミットが終わった後に行うことで調整していると、その理由としては、北朝鮮が日本がエネルギー支援に参加しないことに難色を示しているということなのですが、それについての北朝鮮の姿勢についての次官のお考えについてと、改めてエネルギー支援は、拉致問題が進展しない限りは、一切行わないのでしょうか。

(事務次官)まずはっきりしているのは、拉致問題が具体的に進展しない限りは、日本がエネルギー支援に参加し得る状況にないということです。逆に言えば、拉致問題に進展があれば、我々としてもいつでもエネルギー支援にも入るんだということであり、この点についてはこれまで六者会合の中でも繰り返し説明してきていますし、関係者、関係国の理解は得られているのだと思います。具体的に今度の六者会合の日程はどうなるかということについてのご質問は、我々は直接承知していませんが、これは今まさに、中国が議長国として日程を調整中であるというのが現状です。

(問)日程が決まっていないということですが、日本政府の希望としては、例えば45日以内に行ってくれとか、何かそういう希望はありますか。

(事務次官)当然この六者会合とは、45日以内というよりもっと早く行われるのだろうというのが、関係国間の一応の考え方だと思っていますし、我々もそう思っています。

(問)寧辺の核施設の冷却塔を北朝鮮が爆破して外国メディアに公開した訳ですが、非核化という観点からこの出来事の意味合いをどう評価されていますか。

(事務次官)いずれにしてもこの一連の申告それから冷却塔の爆破ということについては、一つの核不拡散そして核廃棄に向けての第一歩であったのだろうと思います。ただ我々としては、それはまさに第一歩が前に進んだということですけれども、第一歩に過ぎないという認識です。冷却塔がああいう形で爆破されるというのは、画像で見ますと、ある意味象徴的な意味合いがあるかもわかりませんが、大事なことは、これはまだ核廃棄に向けての第一歩に過ぎないということです。これからまだまだ厳しく、そしてまた困難な道が、完全な核廃棄に向けて横たわっています。我々はそのことを各国と認識を共有しながら、更に努力をしていく必要があると思っています。

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北方領土問題

(問)サミット関連で、ロシアのメドヴェージェフ大統領が来日されますが、北方領土問題についてどのような対処方針で臨まれるのでしょうか。

(事務次官)まさにG8洞爺湖サミットの際に、日露首脳会談を福田総理とロシアのメドヴェージェフ大統領の間で行うということで、今ロシア側とも調整をしています。当然その中では、日露間幅広い問題がありますが、北方領土問題についてもきちんと取り上げて、進展に向けて当然のことながら日本として最大限努力をしていくということ、その上で更に全般的な日露間の色々な案件、協力案件もありますが、そういった幅広い問題についても取り上げられていくことになるという風に考えております。

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事務次官会見記録(平成20年6月23日(月曜日)17時00分~ 於:本省会見室)

気候変動関連

(問)韓国で開かれましたMEM(主要排出国会議)についてどう受け止めておられますか。

(事務次官)非常に真剣な議論が行われたと聞いています。ほぼ徹夜というか、各国相当色々と意見があったようです。その結果として、首脳に上げる紙というものが出来ましたけれど、そのこと自体は非常に良かったと思います。もちろん内容については、これから更に色々な展開が洞爺湖サミットまでの間にあるでしょうし、(今日のMEMの結果は)途中経過ということでありますので、今後引き続き日本の立場を各国に理解してもらい、また、全体として良い内容を作っていく必要があると思っています。

(問)首脳に上げる紙ですが、中期目標が明記されていなかったようなのですが、まだ課題があると考えていいのでしょうか。

(事務次官)具体的な内容について各々の国が持ち帰って検討するということですから、直接のコメントは差し控えたいと思いますけれど、もちろんこれからまだまだ色々と作業を行っていかなければいけないと思っています。

(問)合意文書の中身は明かせないと思うのですが、中期目標に関しては前向きな合意が得られたのでしょうか。

(事務次官)これは全体を含めてですね、なかなか何を前向きと言うかというのは、各々の国の立場があっての判断なものですから、今具体的にコメントすることは差し控えたいと思います。中期も長期目標も大事な事項ですから、日本の考え方をきちんと踏まえながら、これから更にサミット議長国として調整を行っていく必要があると思います。

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北朝鮮問題

(問)六者協議ですけれども、北朝鮮の申告を待っているという状況が続いている訳ですが、週内にも申告があるのではと言われておりますが、どのような見通しでしょうか。

(事務次官)具体的にいつ申告、また六者会合が開かれるかということについては、六者会合の場合、基本的に中国が議長国を務めていますから、中国からの連絡があるはずですが、関係国との間で連絡は色々と取り合っておりますが、正式な或いは具体的な提案はないという状況です。

(問)北朝鮮問題の米国のテロ支援国家指定解除の件ですが、指定解除については、次官は外務省は緊密に連絡を取り合っていると常々おっしゃってますが、その解除の手続きに入るという段階になったとして、当然日本に何も言わず解除するということはない訳で、米国から連絡が入るのでしょうけれど、それは大統領といったレベルから日本の首脳に対して連絡が入ると理解して宜しいのでしょうか。

(事務次官)本件については、ブッシュ大統領も強い関心を持っていることですし、そしてまた日本との関係で、色々とこれまで話し合ってきていますが、具体的にどのような形で説明があるかということになると、それは日米間のことですから、色々なレベルで緊密に毎日のように連絡を取り合ってますから、そういう中で適切な方法で(連絡が)あるだろうと思っています。日本の考え方もですね、きちんと相手にも伝えてあると、こういう状況であります。

(問)それに関連するのですが、申告が提出されるのではないかと言われてますけれども、その申告が提出されたらですね、それを精査することになるのでしょうか。テロ支援国家指定解除の議会への通告というのは、これは精査を待って通告するのか、それとも申告が議長国に出されたら行動対行動ということで出されるのでしょうか。

(事務次官)これは基本的には米国側の判断の問題です。また、これまでの間、米朝間で行動対行動ということで色々と話し合っていると承知していますが、基本的には米国の判断な訳です。その判断をする際に日本側の考え方を色々と伝えてあり、そしてまた日米で連絡を取り合っていると、こういう状況であります。ご質問への直接的な答えという点で言いますと、米国がどう判断するかということだと思います。

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深夜タクシー利用時の物品の供与問題

(問)タクシー接待問題ですけれども、外務省では再調査を行っていると思いますが、現在の把握されている状況を教えていただけますでしょうか。

(事務次官)外務省はタクシーの使用については、厳格に行ってきている訳ですけれども、更に念を押して在外公館を含めて照会をしています。今までのところ、具体的に事例というのはありませんが、現在、念を押して再調査をしているという状況です。

(問)目処というのはいつ頃になりますでしょうか。

(事務次官)これは出来るだけ早く行うということです。外務省には在外公館があるものですから。繰り返しになりますけれど、外務省の場合は、タクシー券の使用というのは非常に厳格に今まで行ってきています。

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アフガニスタン支援

(問)アフガニスタンですが、政府の調査団が帰ったということですが、それを受けて今後どのような貢献策について考えていかれるのか、また、G8の今度の外相会議でも大きなテーマになると思いますが、どのようにお考えですか。

(事務次官)G8については、外相会合が今週ありますが、そこにおいても当然アフガニスタンは各国の大変大きな関心事項であります。従って、そのアフガニスタンについては、治安を良くして、経済復興を行っていくということで、各々の国が努力していかなくてはいけません。それを踏まえた議論が行われていくことになると思います。日本もその中で日本としての貢献をきちんと行っていく、そしてまたG8の議長国としての取りまとめを行っていかなくてはいけないと思っています。調査団の話については、以上の私の説明と直接関係がある訳ではないのですが、日本が平和協力国家として国際的に行っていく中で、日本として何が出来るのか、これを常々研究してきている訳ですが、その一貫として調査団も出しています。これは今までの調査、これからよく政府内で何が日本として出来るか、その具体的なことを詰めていくことになると思います。

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事務次官会見記録(平成20年6月16日(月曜日)17時45分~ 於:本省会見室)

北朝鮮問題

(問)日朝関係ですが、先週、実務者による会議があり、一定の前進があったという政府の評価ですけど、今後の再調査或いは「よど号」犯人の日本への引渡し等の見通しについてはどう考えていますか。

(事務次官)具体的な結果が出なければいけないと思っていますし、再調査についても、それから「よど号」の問題についても具体的にこれから動いていく必要があると考えています。具体的な向こうとのやり取りはこれから引き続き行っていくところですが、そういう意味で努力していきたいと思います。

(問)再調査については、日本側の捜査関係者等の参加を前提にしたものですか。

(事務次官)再調査をどういう形で行うか、その具体的な形についてもこれから北朝鮮側とも引き続き話し合っていくことにしています。必要に応じ、そのようなこともあると思います。

(問)「行動」対「行動」という原則に基づいて日本政府から北朝鮮に対する経済制裁の解除はどのタイミングでなされるのか、また、閣議決定の手続きは必要なのでしょうか。

(事務次官)具体的な措置については、これからもちろん内閣官房を中心に行われる訳ですけれども、いつということは今はまだこの時点では決まっていません。何れにせよ、今申し上げたとおり、具体的な行動を双方が取り合っていくという形で進めたいと思っています。その際にどのような国内的手続きが必要かということについては、内閣官房の方で詰めて頂くと理解しています。

(問)拉致家族の方々に説明されましたけれど、内容について必ずしも満足しておらず、「失望した」というような、かなり辛口な意見が出ていましたが、そのことについてどのようにお考えですか。

(事務次官)我々としても、当然ながら、この拉致問題は随分長い間の懸案ですし、拉致家族の方々の想いは我々も一番痛いほど、解っているつもりです。そういう意味でもっと早くこの問題を解決したいという想いが人一倍ある訳ですけれども、そういう中で、北朝鮮も拉致問題は解決済みであるという態度を変えたことはひとつの動きである訳で、それを踏まえながら出来るだけ早く具体的な解決に導いていきたいと、その為に努力をしていきたいと思っています。そういう拉致家族の皆さんの受け止め方或いは感じを我々は痛いほど良く理解しているつもりです。

(問)制裁の実施に関してですが、北朝鮮がある程度単なる被害調査でなく、しっかりした計画を出して来れば必ずしも調査の前段階であっても一部経済制裁緩和ということも有り得るのですか。

(事務次官)これは今言いましたように、双方がこういうことを行っていこうと話し合って来ている訳ですから再調査も行うと、それについて我が方も、この経済制裁解除は限定的なものですけれどそれも行っていくということですので、全体を前に動かす為に行っていきたいという風に考えています。

(問)自民党内部で北朝鮮の再調査の内容が不十分であれば経済制裁解除には応じられないというような意見もありますけれども、それに対して次官はどのようにお考えですか。

(事務次官)ですから正に、前に物事が進んでいくということ、我々としても当然拉致問題をどうやって解決しようかと、どうやれば早く解決出来るのかということを日本政府にとっても非常に重い課題な訳ですから、少しでも前進の兆しが出てきたと、この時を捉えて更に努力を強化をしていきたいと、こういう思いであります。

(問)現時点のように再調査をするというだけで中身がまだ何も詰まってない状況では解除をする気はないということでしょうか。

(事務次官)双方が再調査を行うこと、そしてまたこちらも制裁の一部の解除を行うこと、こういうことを申し合わせている訳ですから、どうやって調査が進んでいくか、我々としても引き続きそういう方向で努力をしていきたいと思います。

(問)日米関係でテロ支援国家指定解除の問題について、拉致問題が何の進展もないまま、解除することには反対していると、その状態はまだ変わっていないということですか。

(事務次官)従来から、米国側は、このテロ支援国家指定解除の問題については本来的には米国の国内法の下での判断である訳ですけれども、そして米国の判断は北朝鮮の主に核問題についての行動、それに掛かっているのだという言い方をする一方、拉致問題を含む日朝関係についても充分考慮しますとも言っており、自分たちは北朝鮮に対して日朝関係を一生懸命に行うようにと働きかけているのだと、繰り返し言ってきています。今回の日朝のこのような動きというのも米国の努力のお陰という側面が一部あったのだろうと思っています。何れにせよ、これは米国とは引き続きよく連携していくことが一番大事であると思っています。

(問)現時点でのテロ支援国家指定解除にはそれが認められるだけの今回の成果或いは未だ、再調査が始まらない段階では行われないとお考えですか。

(事務次官)米国側の全体の判断だと思いますが、今言いましたように、調査が進んでいき、そして問題の解決に繋がっていくと、こういう動きを加速させるために何が大事かということを考えていくこと、こういうことだと思います。

(問)再調査のやり方とかその辺はまとめる為に実務的な協議をしていかなければならないと思いますが、その協議は出来るだけ早く行われるのでしょうか。

(事務次官)何れにせよこれは早期にそうした調査が進むように努力していきますし、必要な連絡も取り合っていくと、こういうことをしたいと思います。

(問)日本の調査団が再調査には入るべきだと、それが入らなければ前と同じようなことになってしまうという声が与党内からありますが、当然、日本の調査員のようなものを入れるべきだとお考えですか。

(事務次官)何れにせよ、具体的な対応はこれから先方と話し合っていく訳ですが、我々は我々の考え方をきちんと踏まえて行っていくと、こういう訳であります。

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海上保安庁巡視船と台湾遊漁船の衝突

(問)台湾の巡視船の件をどのように受け止められているのかということと、日本の海上保安庁が遺憾であると言っているのですが、もう少しクリアな謝罪を求めているようですが、それについてはどのようにお考えですか。

(事務次官)今回は台湾の船が我が方の領海に進入し、そしてまた無害通行とは言えない形で航行をしたと、これは極めて遺憾であると思っていますし、当然のことながら事前にそしてまた、こうやって領海への進入があった直後にも台湾側には日本側の遺憾の意ということは伝えています。そういう意味での行動は取っていますし今回の事態は極めて遺憾であるというのが我々の受け止め方です。他方、今言われたことというのは最初の事件のことだと思いますが、海上保安庁の巡視船と台湾の船との衝突ということでこれは双方の船長に過失があったというのが日本側の考え方であり、その旨は先方には伝えてあります。

(問)謝罪という意味でもう少しクリアな形で言うことは有り得ますか。

(事務次官)今言いましたように双方の船長の過失があった、その結果として向こう側の船が沈んだと、そのことついては日本側からも台湾側の関係の方に遺憾の意を伝えているところです。

(問)台湾側は正式な謝罪を要求しているということで、今週の金曜日にまた抗議の船が尖閣諸島に来るかもしれないということですが、それについてどのように対応をお考えですか。

(事務次官)再び尖閣諸島海域に入って来るということはあってはならないことであります。、日本側の考えは一貫しています。

(問)今日また台湾の船が入って来たことに対して日本側は外交ルートを通じて抗議と警告をしたということですが、具体的にどのようなルートで、書面か口頭なのか、その内容を教えて頂けますか。

(事務次官)抗議の内容は我が方の交流協会台北事務所長から台湾側の外交部長に対して日本側の考え方を伝えたと、こういうことであります。

(問)確認ですが、「遺憾」は謝りではないということでしょうか。

(事務次官)「遺憾」というのは今のどのことについてお尋ねですか。

(問)今朝、官房長官が極めて遺憾であると仰っていました。

(事務次官)どちらの話について言っていることですか。

(問)遊漁船が沈んだことに対することだと思いますが。

(事務次官)官房長官が極めて遺憾だと言われたことは別のことだと思いますが、つまり台湾の船が日本の領海に進入して来たこと、このことについて官房長官は遺憾を表明されたと理解しています。

(問)石垣の海上保安本部は那覇で会見を行いましたが、漁船が沈んだことに対する遺憾であるという考え方を示していますが。

(事務次官)そのことと今言われた官房長官が言われたこととは別のことだと思います。

(問)それでは官房長官の言ったことは別にして、海上保安本部が言った「遺憾」とは謝罪の意味ではないのでしょうか。

(事務次官)正に海上保安本部に聞いて頂ければ良いと思いますが「遺憾の意」を表明されたと言うことだと思います。

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事務次官会見記録(平成20年6月9日(月曜日)17時42分~ 於:本省会見室)

日朝協議

(問)日朝協議について伺いますが、11、12日に改めて会議を開くという合意ができていると聞いていますけれども、どういう議論になると期待されていますか。

(事務次官)11日、12日に日朝間で公式な実務者協議が行われるということで、当然のことながら日本側としては、拉致問題を含む諸懸案についてきちんとした話し合いをし、そこで具体的な前進を図りたいと考えています。一方において、六者会合、核の問題の議論が色々と進んでいる訳ですけれども、その中でも我々としては、同時並行的に日朝関係、特に拉致問題を含む懸案の解決を目指して参りたい訳で、今回非常に大事な会議だと思っています。

(問)具体的な前進とは、ずばり拉致被害者の帰国をお考えでしょうか。

(事務次官)具体的な前進が何かというのは、なかなか難しいと思いますが、これも話し合いあるいは交渉の中の話ですから、事前にどうこうは言えませんが、我々としては当然拉致問題は全面的な解決が図られなければいけないということで、当然のことながら北朝鮮側には求めていくと、その中で向こう側の具体的対応を求めていくと、こういうことに尽きると思います。

(問)次の六者協議あるいは首席代表者会議、これは第二段階を終えて、第三段階に進むというステップのために開くものであるのか、それともそれ以前に現時点の状況を踏まえてですね、六者の首席で顔を合わすようなことも検討されているのでしょうか。

(事務次官)これは具体的な進め方、まさに関係国の間で話し合われています。議長国としての中国も色々な考えをお持ちだと思います。実際には今まで、核に関連した部分は、米朝の間で相当な作業が進んできて、日本はその間に色々と、米国あるいは韓国、中国等々との間で連携を取りながら、作業を協調して行ってきている訳ですけれども、恐らく相当最終段階に近いところに第二段階は来ているのだろうと思います。申告がどういうふうに行われるのかということと、次の六者会合、代表者会議との関連、どちらが先になるかというところは、まだ詰め切っていないという状況だろうと思います。いずれにせよまだ固まっていないと認識しています。

(問)齋木局長から、報告を受けたと思いますが、その予備的な7日の話し合いで、11、12日の公式協議で具体的な進展が得られそうだという感触はありますか。

(事務次官)まだわかりません、正直言って。先方も今回は率直に話し合って、それとまた11、12日にきちんと会合を持って本格的に話し合いましょうということですから、そういう意味での先方の対応はひとつのヒントかわかりませんけれど、全体にどういう格好になるのか、まだ全然わからないという状況です。

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日・ASEAN経済連携協定

(問)国会が会期末に近づいていますけれど、日本とASEANの経済連携協定が衆院を通過して、しかし参院のほうの目途が立っていないという状況で、外交への影響はどうお考えでしょうか。

(事務次官)この日・ASEAN経済連携協定、非常に大事な協定だと思っています。日本とASEAN全体との間の経済連携を進めていく基礎を成すものなのです。これは日本全体としてみても経済界を中心に、ぜひこれを進めて欲しいという強い期待感も我々にあって、一生懸命交渉してきました。そこでようやくまとまって、各国に対し、実はこの国会で通していただくために、ASEAN10ヵ国持ち回りで協定の署名をしてきた訳です。それぐらいお互いにこれを早期に発効させたいと思っています。日本が競争的にも不利にならないようにと。それからまたASEAN側の非常に強い思いもありますので、日本と協力して行っていきたいと、ですからこれは出来るだけ早い発効、従って今国会で我々としても、認めて頂きたいという強い思いを持っています。

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アフガニスタンへの調査団派遣

(問)アフガニスタンに関して、外務省、内閣府、防衛省より調査団が派遣されたという報道がありますが、調査団は派遣されたのでしょうか。

(事務次官)これは申し訳ないのですが、報道を見ていますがというのもおかしいのですが、実際問題として我々はもちろん、平和協力国家として、日本が何ができるかということは色々と考えていて、そういう話はありますが、具体的に今のお話の、アフガニスタンへの調査団派遣ということについては、当然のことながら相手国との関係とか、また、色々関係者の要員の安全等々もありますので、具体的には申し上げられないというのが我々日本政府の立場です。

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事務次官会見記録(平成20年6月2日(月曜日)17時10分~ 於:本省会見室)

クールアース・パートナーシップ

(事務次官)先週TICAD IVがありましたが、皆さんのご協力を得て非常に成功裡に終えたことを非常に嬉しく思っております。アフリカに関する問題も日本国内で非常に幅広く知られることになったと思いますし、これからもアフリカの問題に積極的に取り組んでいきたいと思っております。
 この関連でクールアース・パートナーシップの、クールアース推進構想について2つ紹介をしておきたいと思います。
 1つはTICAD IVの際に、「横浜宣言」でもそれから「議長サマリー」においてもはっきりと記述されましたけれども、これから日本とアフリカとの間で「クールアースパートナーシップ」を進めていこうということになりました。また、5月28日、少し古い話になりますけれども、中米ホンジュラスで中米・カリブ首脳会合という11ヵ国が集まった首脳会合がありまして、ここで日本の「クールアース推進構想」を受け入れるということが決まりました。我々としては、こういうことでクールアース・パートナーシップを国際的にも広げていきたいと思っておりますので、御紹介させて頂きました。

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アフガニスタンへの支援

(問)町村官房長官が年末にアフガニスタンへの陸上への自衛隊の派遣について前向きな発言をされたと思いますが、具体的に政府内で検討状況はどうなのか、それに関連してスーダン南部へのPKO派遣についての検討状況はどうなのでしょうか。

(事務次官)日本は福田政権の下でも、「平和協力国家」ということで、国際的な問題、平和協力の問題について日本として貢献が出来るかということに関し、今までも幾つか取り組みをしてきていますし、これからも更に検討していくということだと思います。そのような中で幾つかの名前が今ご質問にありましたけれども、まだこの段階に於いては一般論というか、具体的なことについては検討中という状況であって、日本政府の中で良く検討を重ねて、どういう形が一番日本が平和協力国家として行っていくに相応しいのか具体的な状況も含めて検討していくことになろうかと思っています。

(問)アフガンの支援国会合が12日に行われますが、その具体的なことについて検討して結論を出したいというのは、その12日に合わせて結論出すのか。それと今月下旬にG8外相会合がありますが、それに合わせてアフガンへの支援を出すのか、その辺はどうお考えですか。

(事務次官)12日の国際会議はアフガンの復興のためにどういう形で各国が取り組んでいくのかということを話し合う場ですので、必ずしも、今、申し上げたような形での平和協力国家としてのこととは直接は関係していません。いずれにせよ、我々はこういう作業をしていますが、具体的にいつ会議があるから、いつまでに結論を出すということは考えていません。

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クラスター爆弾禁止条約

(問)クラスター爆弾についてですけど、先週末クラスター爆弾の禁止条約が合意された訳ですけど、日本は従来の政策を転換して合意に至ったわけですが、その背景について教えてください。また、米国との署名について、米国との調整など必要な作業があると思いますが、そのあたりについて教えてください。

(事務次官)日本としても当然ながら、人道上の懸念という点において従来から深刻に考えてきました。他方、日本の持っているクラスター弾という現実もあるものですから、そことの兼ね合いをどうするのかということ、この点については各々の国が国家として判断するものと思いますけれども、いずれにせよ、条約交渉には日本は積極的に参加してきたつもりです。日本の判断として、総理のお話にもありましたけれども、今一歩踏み込んだ対応が必要であるという考えの下で、日本としてもこれに合意するという決断を下したということです。その際、技術論になりますが、相互運用性の問題、これは在日米軍との関係がある訳ですけど、その点については一定の手当てができたと思っています。今後とも、署名に向けてこれから作業していく中で米国とも協議をしていく考えです。

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気候変動問題の中期目標について

(問)気候変動問題の中期目標なんですが、これは日本として数値をサミットの前に提示するということでよろしいですか。

(事務次官)これは総理のお話にあったと思いますが、まさに日本はG8サミットを控えて、日本としてのイニシアティブ、議長としての役割を果たしていかなくてはいけないと、そういう思いの中で、長期目標、中期目標についてもですね、日本の考えを固めていかなくてはいけないというお話だったと思います。他方、作業は政府の中で具体的に引き続き鋭意行っていく、こういう状況であります。

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