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第2回国連改革に関するパブリックフォーラム(概要)

平成18年2月

 去る2月2日、三田共用会議所において、外務省と「国連改革を考えるNGO連絡会」との共催により、第2回国連改革に関するパブリックフォーラムが開催された(プログラムは別添(PDF) PDF)。

 第1回パブリックフォーラムは、2005年9月の国連首脳会合を間近に控えた8月30日、国連創設60周年を迎え、国連改革論議が盛り上がりを見せるなか、外務省とNGOの間での有益な意見交換となった。今回は、そのフォローアップとして開催されたものであり、外務省、NGO双方からの関係者、及び国際機関関係者や研究者を含む一般参加者を含め総勢150名近くの一般参加者を得て、国連改革の現状と今後の課題について、活発な議論が行われた(開会挨拶に塩崎恭久・外務副大臣及び川崎哲・ピースボート共同代表、全体プレゼンテーションに高須幸雄・人間の安全保障担当大使、相川一俊・総合外交政策局国連政策課長、上村英明・市民外交センター代表、パネルディスカッションに、星野俊也・大阪大学大学院教授(ファシリテーター)、神余隆博・国際社会協力部長、大谷美紀子・自由人権協会代表が出席。その他分科会等に外務省及び財務省関係各課より多数出席)。

開会挨拶

 フォーラム冒頭、開会挨拶に立った塩崎副大臣からは、市民社会とパブリック・セクターとの間の有機的で建設的な関係を通じて公益(パブリック・インタレスト)を促進していくことの大切さに言及しつつ、NGOとの対話やNGOのキャパシティ強化をバックアップしていきたいとの意向が表明された。同副大臣からは、今国連総会会期中に安保理改革を含む国連改革の前進を目指すとの意欲が示され、そのために政府・NGOがパートナーとなって努力していく必要性が強調された。

 同じく開会挨拶を行った川崎哲・ピースボート共同代表は、日本においても国連首脳会合の前後であるべき国連改革の「実質」を議論する場ができたことを評価しつつ、市民としてどのような国連改革を目指していくか、何が大事かを議論していきたいとの強い意欲が表明された。

全体プレゼンテーション

 午前中の全体プレゼンテーションでは、高須幸雄・外務省人間の安全保障担当大使による「人間の安全保障の視点に立った国連改革」、相川一俊・外務省総合外交政策局国連政策課長による「2005年国連首脳会合・国連改革の評価」、上村英明・市民外交センター代表による「市民社会からの2005年国連首脳会合成果文書の総括」の3つの報告があった。

 高須大使からは「人間の安全保障」が「発展しつつある概念」であると位置づけた上で、本概念が日本国憲法前文にも通ずる発想であること、国連の正式な文書である今回の国連首脳会合成果文書に初めて言及され国連での認知度を高めたのは画期的な成果であったこと、人間中心の取組み、統合的なアプローチを強調する日本のイニシアティブと、他のイニシアティブの協力関係を深め、国際的に広範な支持を集めていきたいこと、そして、「人間の安全保障」の実現には政府の責任はもとより市民社会の役割も大きいこと等が指摘された。

 相川課長からは、「国連改革」とは何かが国によって異なる現実を紹介しつつ、国際社会における脅威の性質の変化に伴う最近の国連改革論議の背景と4つのクラスター(開発、平和と集団安全保障、人権・法の支配、機構改革)から成る国連首脳会合成果文書の主要ポイントが解説され、焦点の安保理改革についても「安保理改革なしの国連改革はありえない」との認識が共有され、将来的な改革の足がかりが得られていること等が指摘された。

 上村代表からは、国連首脳会合成果文書に対するNGOサイドからの評価が紹介された。その際、一般的な評価の基準として「非戦・非暴力・非武装の徹底」、「人権と人間の安全保障」、「公正な多国間主義の強化」、「二重基準の排除と普遍性の実現」の4つを指摘し、評価すべき点と引き続き残る問題点などを指摘した。特に成果文書に関しては最終段階でボルトン米大使が大幅な修正を要求した経緯などを振り返り、米国の圧力や一国主義への対応の必要性等が強調された。

 プレゼンテーション後の質疑応答では、「人間の安全保障」概念と人道的介入や「保護する責任」概念との相互関係、国連改革プロセスにおける安保理改革と日本国憲法の関係、人権理事会創設構想の妥当性などをめぐって活発な議論が行われた。

分科会

 午後の分科会は、「開発」、「平和構築」、「軍縮」、「人権」の4つに分かれ、政府、NGO双方のリソースパーソンより問題提起がなされた後、個々の分野について、詳細で専門的なイシューにも斬り込む議論がほぼ2時間にわたりじっくりと行われた。

 「開発」分科会では、開発への多様なアクターの参加可能性、「人間の安全保障」アプローチと「権利ベース」アプローチの関係、ODA(政府開発援助)の質的側面、新開発資金スキームなどが議論された。

 「平和構築」分科会では、新設の平和構築委員会の機能やそこでの日本の役割、平和構築における人間の安全保障アプローチのあり方、開発と平和構築とのアプローチの違い等について議論された。

 「軍縮」分科会では、軍縮が成果文書に反映されなかった背景や日本の核軍縮決議案に対する評価、通常兵器の移転問題や武器貿易条約構想などについて意見交換が行われた。

 「人権」分科会では、「人権理事会」の設立など組織再編問題、や「保護する責任」論が人権・法の支配に及ぼす影響などを中心に議論された。

パネル・ディスカッション

 最後に全体会では、午前中のプレゼンテーションと午後前半の分科会での議論を踏まえ、(1)国連の信頼性と実効性を高めるための改善策について、(2)市民参加の促進について、という2つのテーマを軸に議論の集約が試みられた。

 パネル・ディスカッションでは、神余隆博・外務省国際社会協力部長と大谷美紀子・自由人権協会メンバーが発言した。議論のファシリテーターは、星野俊也・大阪大学大学院教授が務めた。

 神余部長からは、NGOとの意見交換の意義を再確認した上で、今後、外務省とNGOが共同して建設的なパートナーシップを組みうる1つの具体的な分野として「人権のメインストリーム化」が提起された。

 大谷氏は、国連の信頼性・実効性との関係で日本の分担金の有効活用や邦人職員のトレーニングの必要性を指摘し、また、市民社会の参加については、国連首脳会合成果文書に市民社会の役割が十分に盛り込まれなかった点を指摘し、企業も含め、市民社会のより広範な参加の促進の意義を強調した。

まとめ

 ファシリテーターの星野教授から、全体の議論のまとめとして、次の諸点が言及された。

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