平成20年12月16日
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議長、
各国閣僚閣下、
ご列席の皆様、
始めに、イヴォ・サナデル・クロアチア首相の議長の下、重要かつ時宜を得た本件会合の開催に謝意を表明致します。また、本日の安保理による決議の採択、及び海賊対策のために国際的な調整を一層高めるよう最近取組が呼び掛けられていることを歓迎するとともに、この点に関して強い指導力を発揮している米国のリーダーシップに感謝致します。
ソマリア沖・アデン湾の海域は、欧州や中東から東アジアを結ぶ極めて重要な海上交通路です。この事実を踏まえ、同海域における海賊・武装強盗事件に対しては、その重大性と頻度、被害国の多さ、ソマリア情勢及び地域の平和と安全への悪影響といった観点から、まさに「人類共通の敵」として、国際社会が断固たる態度で一致して取り組むことが不可欠です。
この関連で、本年に入り一連の決議を採択していることに見られるように、安保理が最近、同海域における海賊抑止のための取組を進めていることを歓迎します。また、現地に艦艇などを派遣している各国の努力にも敬意を表したいと思います。さらに、海賊対策において調整は非常に重要であるところ、各国及び機関が、統一し協調した形で行動をとっていくことを強く期待します。
議長、
海洋国家であり、貿易立国でもある我が国にとって、航行の安全確保や海賊対策を含む海上の安全確保は、国家の存立と繁栄に直結する極めて重要な問題です。これは、国際的な課題であると同時に、日本国民の人命及び財産の保護にかかわる問題です。我が国は、最近ソマリア沖で海賊・武装強盗事件が急激に増加していることを強く懸念しており、その対策は急を要すると認識しています。日本政府としても、新たな海賊法制の整備、或いは、現行法制下で如何なる対応ができるかなどに関し、関係省庁間で鋭意検討を行っており、できることから早急に実効的な対策を講じていきたいと考えています。また、周辺国の能力強化支援にも取り組んでいきたいと思います。
このような決意の下、我が国としては、ソマリア沖海賊問題に関する国際的な協力メカニズムが設置される場合には、そうした国際社会の枠組みに当初より加わり、この問題に関する議論に積極的に参画していきたいと考えています。また、我が国は、アジア海賊対策協力協定(ReCAAP)の策定を主導した経験から、ソマリア沖についてReCAAPに類似した協力の枠組みを設立する場合には、今後の議論において有益な知見を提供することが出来ると考えています。
議長、
最後に、航行の安全確保や生命・財産の保護の観点から、海賊抑止のための努力は喫緊の課題と改めて述べたいと思います。それと同時に、ソマリア海賊問題の根本的な解決には、ソマリア情勢の安定が不可欠とも強調します。その目的のために、アフリカ連合ソマリア・ミッション(AMISOM)が懸命の活動を行っていることを高く評価致します。我が国も、ジブチ合意を契機とするソマリア和平プロセスを支援していく考えです。また、来月からの安保理非常任理事国として、ソマリアの平和と安定のために積極的に関与していく決意です。
ご清聴ありがとうございました。