談話・コメント

中曽根外務大臣談話

海賊対処法案の閣議決定について

平成21年3月13日
  1. 本日、海賊対処法案について、閣議決定が行われました。海賊行為は、船舶の安全な航行という、我が国の国益を脅かす死活的な問題です。特にソマリア沖の海賊事案は、我が国を含む国際社会にとっての脅威となっており、緊急に対応すべき課題です。本日の法案提出は、当面の措置としての自衛隊の海上警備行動による対処ともあわせ、我が国の国民の生命、財産の保護と海上における公共の安全と秩序の維持のための極めて重要な一歩です。国会におかれては、本件法案を十分に御審議いただくとともに、速やかに御採決いただけるよう切に希望します。
  2. 同時に、ソマリア沖海賊の根絶に向け、周辺諸国の海上保安能力向上や地域協力、さらには、海賊行為による被害の増加の背景にある不安定なソマリア情勢の安定化という中長期的な観点からの取組を、ODAも活用して更に一層進めていく決意を新たにしています。
  3. そのような観点から、我が国は、周辺沿岸国の海上保安能力向上のため、イエメン及びオマーンの海上保安機関の職員の招請などに取り組んでいるところです。また、イエメン及びジブチなどの沿岸国からは具体的支援への期待が示されており、我が国として何ができるか検討していく考えです。まず、イエメンにODA調査団を早期に派遣し、幅広く協力の具体化を図っていきます。また、ジブチについても支援を強化していく考えです。国際社会も、国連安保理決議第1851号に従って設けられた国際協力メカニズムとしてのコンタクト・グループの設置、国際海事機関(IMO)ソマリア周辺海域海賊対策地域会合の開催などの取組を進めています。これらの取組にも積極的に参加し、我が国主導により設立されたアジア海賊対策地域協力協定の経験を共有するなど、我が国の持てる力を活かしていきたいと考えています。
  4. また、ソマリア沖海賊問題の根本的解決には、ソマリア情勢の安定が欠かせません。我が国は、先月のブリュッセルでの会合以来、ソマリア国際コンタクト・グループなどの国際的な取組にも参加しており、引き続き、国連安保理非常任理事国としての活動を含め、国際社会による取組に主体的に参加していきます。また、ソマリア暫定連邦「政府」の治安維持・国境管理能力の向上支援のための国際機関経由の資金拠出やアフリカ連合ソマリア・ミッション(AMISOM)への資金拠出を行ってきていますが、引き続き積極的な検討を行っていきたいと考えています。
  5. このような、多層的な政府の取組について、ぜひ国民の皆様の御理解と御協力をいただきたくお願いいたします。

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