(参考1)最近のボリビア情勢
2005年12月の大統領選挙の結果、2006年1月に就任したモラレス大統領は、貧富の格差の是正、先住民の権利拡大を掲げ、憲法改正の実現を目指している。既に、憲法改正議会は、土地所有権に関する条文以外の条文を承認済であり、今後は、土地所有権に関する条文についての国民投票及び全文に関する国民投票を同時に実施する予定。
野党及び東部地域各県は上記憲法改正プロセスに反対を表明し、特に、県が要求する地方自治が新憲法草案に反映されていないと主張し、各県毎に自治憲章草案に関する県民投票を実施するとし、対決姿勢を強めている。現行法の下では、県民投票実施の決定には、国会の出席議員の過半数の承認を要するが、サンタクルス県は、右に則らず、5月4日に県民投票を独自に実施すると発表し、OAS(米州機構)選挙監視団派遣を要望している。
(参考2)国際社会等の対応
モラレス政権は、3月以降、カトリック教会及びOAS並びに域内数カ国に対し、反政府派との対話実現のための協力を呼び掛けた。既にOAS及び以下の諸国の代表がボリビアを訪問し、見解を公表している。
(イ)カトリック教会:4月2日、テラサス・コチャバンバ枢機卿とモラレス大統領は、共同記者会見にて、平和と平穏を国家に取り戻すため対話を促進する意思を表明。
(ロ)OAS:同1日から2日、カプート政治問題担当事務次長が、意見の対立を政治的緊張状態に発展させず、対話を通じた解決を図ることが重要である旨発表。県民投票に対する監視団派遣は、対象国外務省から正式要請がないことから要件を満たさないとの立場。
(ハ)アルゼンチン外相:同3日、民主主義と合法的に選出された政府の存続を支持する旨発表。
(ニ)コロンビア外務次官:同3日、双方の意見を聴取し解決策を模索することを約束。
(ホ)ブラジル外相:同5日、ブラジル政府の関心は、ボリビア国内各勢力が法律及び現行憲法を尊重し勢力間における平和的解決を実現することである、同国国民の改革への希求に配慮しながら、すべての関係者の利益が尊重されなければならない旨発言。