談話・コメント

外務報道官談話

スーダンにおける南北包括和平合意(CPA)の履行について

平成20年1月9日

  1. 我が国は、2005年1月9日に署名されたスーダンにおける南北包括和平合意(CPA)が、本日、3周年を迎え、その間、CPAに署名したNCP、SPLM両者の努力により、CPAの履行が進められてきたことを歓迎する。特に、昨年10月に表面化した、CPAの履行を巡る両当事者間の政治対立が両者の数次に亘る協議により収束し、CPAの一層の履行に向けたプロセスが再び動き始めたことを歓迎する。
  2. CPAの履行なくしてスーダン全体の和平と安定の実現はあり得ず、CPAの着実な推進はダルフール紛争の解決にも資するものと認識する。我が国は、CPAの両当事者が、そのパートナーシップを通じてCPAにおける諸事項を着実に履行することを求める。
  3. 我が国は、既に総額2億ドルを超える対スーダン平和の定着支援を実施しているが、今般、G8議長国に就任し、更に本年5月にTICAD IVを主催するにあたり、より一層、CPA履行促進を始めとする対スーダン支援を進めていく。

【参考】南北包括和平合意(CPA:Comprehensive Peace Agreement

(1)20数年に及び、400万人を超える国内避難民が発生した南北スーダン内戦を終結させた和平合意。主な内容としては、1)自治権を有する南部スーダン政府の成立、2)南部スーダンの帰属を問う住民投票の実施(2011年実施予定)、3)南部の宗教的自由(イスラム法の不適用)、4)南部スーダンで産出される石油収入の南北原則均等配分などがある。

(2)CPAは2005年1月9日の署名以降、まがりなりにも履行されてきたが、CPAに規定された諸事項のうち、南北境界線からの南北スーダン両軍の撤退、石油産出地帯であるアビエ地域の帰属問題などといった重要事項については一向に進展が見られないことから、10月中旬に、CPAの一方の当事者である南部スーダンの主要勢力であるスーダン人民解放運動(SPLM:Sudan People's Liberation Movement)が、もう一方の当事者であり、北部スーダンの主要勢力である国民会議党(NCP:National Congress Party)のCPAの遅延履行を不満とし、連立政権を担っていた中央政府(「国民統一政府(Government of National Unity)」と総称)からの一時離脱を宣言するなどの政治対立が表面化、一時はスーダン内戦への回帰も懸念された。我が国を含む国際社会の働きかけ及び数次に亘る両者間の協議の結果、両者は再びCPAの履行に努めることで合意し、昨月27日にはSPLM出身の閣僚が中央政府に職務復帰(外務大臣など、一部の閣僚職については新たに任命)したことで、こうした政治対立は一応収束した。

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