談話・コメント

麻生大臣年頭所感

平成18年1月1日

 明けましておめでとうございます。

 今年も年明け早々、外交日程が目白押しです。小泉総理はイスラエル、パレスチナ、そしてトルコへ。私はインド、パキスタンへ参ります。

 情けは人のためならず――。最近ではこれを、情けをかけると相手を駄目にするという意味に取る人が多いそうですが、私は昔からの意味以外知りません。そして外相就任以来3か月強、折々この言葉が念頭をよぎります。

 早い話、我が国が中東和平プロセスに多くの資源を動員して関わることも、日本国と日本国民のためにほかなりません。なぜなら、日本はいわば世界の共同経営者として、四辺の安寧秩序に利害と責任を負う大国の一つであるからです。

 大きく出たなと思われるかもしれませんが、実際、我が日本はそのくらい大きい存在です。

 インドネシアのアチェでは、おそらく今この瞬間も、額に汗する外務省員の姿を見ることができるかもしれません。津波被害以来一年。復興へ向けた苦闘は続きます。それを助けるのに、我が国と我が省員諸君くらい、実際に現地へ足を運び、被災した人々と一緒に走り回ってきたものはありません。皆様には、是非このことを覚えていただきたい。誇りとしていただきたいものです。

 私はこれ等の現実を知るにつけ、働くことそれ自体に喜びを見出す日本人のDNAが、脈々と受け継がれているのを見る思いです。骨身を惜しまぬこの姿勢こそは我が外交最良の資産であり、日本の経済協力政策を貫く哲学でもあるのだと思います。

 そういう点を訴え、世界の政策を動かして行きたいと思えばこそ、国連安保理で常任理事国となるのを目指してきました。今はまだ中腹あたりですが、頂上へのアタックを続けていきたいと思っています。

 昨年は戦後60周年。おのずと目は過去に向かいました。総理も私も、我が国が近代史において無辜の民を苦しめた近隣諸国に対し深く頭を垂れました。この先も謙虚な反省に立ち、それら国々との友好と協力を作り上げていかなくてはならないと思います。

 けれども昨年は、未来へ向けた動きが始まった記念すべき年でもありました。例えば東アジア共同体が将来できた暁、歴史家は去年をもってその始まりの年だったと記すでしょう。

 長かった不況のトンネルを抜け、日本経済は力強い歩みを取り戻し始めました。復活した日本経済にふさわしく、日本国と日本国民が元気に国際社会と共に歩む、世界を見回してそう実感していただけるようにする外交を、今年は外務省員一丸、心がけていきたいものです。

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