談話・コメント

外務報道官談話

「核物質防護条約」改正の採択について

平成17年7月8日

  1. わが国は、7月8日、ウィーンで開催されていた「核物質の防護に関する条約の改正案の検討及び採択のための会議」において、同条約の改正がコンセンサスにより採択されたことを歓迎する。
  2. 同条約の改正は、核物質および原子力施設の防護に関する国際的な取組の強化に資するものであり、このたびその採択に至ったことは、核テロ対策の強化に向けて国際社会が一致団結して取り組むとの姿勢を示す上でも有意義なものと評価している。
  3. わが国としては、同条約改正の採択を受け、その締結に向けて必要な検討を進めていくとともに、他の締約国・国際機関が同条約改正の締結に向けた取組を進めることを期待する。

(参考)

(1)「核物質の防護に関する条約」(核物質防護条約)は、核物質を不法な取得および使用から守ることを主目的とする条約。現行条約は、締約国に対し、国際輸送中の核物質について警備員による監視等一定の水準の防護措置の確保を義務付けるとともに、そのような防護措置がとられる旨の保証が得られない限り核物質の輸出入を許可してはならないと規定している。また、核物質の窃盗、強取など核物質に関連する一定の行為を犯罪とし、その容疑者が刑事手続きを免れることのないよう、締約国に対して裁判権を設定することおよび本条約上の犯罪を引渡犯罪とすることを義務付けて、容疑者の引渡し又は自国の当局への付託を義務付けている。

(2)現行条約は1987年2月に発効し、2005年5月現在、締約国は111か国および1国際機関(欧州原子力共同体)。わが国は1988年10月に同条約に加入、同年11月にわが国について発効した。

(3)今回採択された改正により、条約に基づく防護の義務の対象が、平和的目的に使用される核物質の国内における使用、貯蔵および輸送並びに原子力施設に拡大され、また、核物質および原子力施設に対する妨害破壊行為も犯罪化されることとなる。

(4)改正は、現行条約の締約国の3分の2が改正を締結した日の後30日目の日に、改正を締結した国について効力を生ずる。

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