本22日(火曜日)午後6時20分から約50分間,菅直人総理大臣は,総理大臣官邸において,実務訪問賓客として来日中のアーシフ・アリー・ザルダリ・パキスタン・イスラム共和国大統領(H.E. Mr. Asif Ali Zardari, President of the Islamic Republic of Pakistan)との間で日パキスタン首脳会談を行ったところ,概要以下のとおりです(パキスタン側:ミール・ハザル・カーン・ビジャラニ産業・生産大臣,マクドゥーム・シャハブッディン繊維業大臣他,福山哲朗官房副長官,菊田真紀子外務大臣政務官,尾立源幸財務大臣政務官,田名部匡代農林水産大臣政務官他同席)。
会談終了後,両首脳は「包括的パートナーシップに関する共同声明」と題する日本・パキスタン共同声明に署名し,さらに両首脳立ち会いの下,緒方JICA理事長とハリーム経済省次官との間で,ハイバル・パフトゥンハー州緊急農村道路復興計画(洪水災害対策)円借款貸付契約の署名式が行われました。署名式に引き続き,午後7時20分から8時35分まで菅総理主催夕食会が行われ,大変和やかな雰囲気の中,両首脳は,アフガニスタン問題や二国間の経済関係強化などについて懇談しました。
- 冒頭
(1)菅総理から,ザルダリ大統領の訪日を歓迎し,昨年11月の電話会談以来,お会いしたいと思っていた,また,アフガニスタンの安定のためにパキスタンの果たす役割は非常に重要である旨述べました。
(2)ザルダリ大統領から,昨年の洪水支援,2年前の支援国会合をはじめとするこれまでの日本の支援につき.深甚なる感謝の意が表明されるとともに,来年の外交関係樹立60周年に向けて二国間関係をさらに強化していきたいとの希望が表明されました。 - 地域の安定・テロ対策(アフガニスタンを含む)
(1)菅総理から,パキスタン経済の持続的発展には,治安の安定と強固な経済基盤の構築が不可欠であり,パキスタンが主体的に経済改革に取り組むためにも,ザルダリ大統領がリーダーシップを発揮するよう期待を表明しました。
(2)ザルダリ大統領より,パキスタンは,国内における困難,隣国アフガニスタンの情勢悪化に直面しているが,アフガニスタン政府とも協力しつつ,国際社会からの支援を得て,テロとの闘いを継続している旨説明がありました。 - 経済
(1)ザルダリ大統領より,パキスタンは地政学的に重要な地点に位置し,豊富な人口と市場としての潜在性を有しており,二国間の経済発展が地域の安定に資するとして,日本の投資家・企業の進出に対する強い期待感が表明されました。また,ザルダリ大統領から,相互利益に基づく二国間経済関係の発展に向けて,政府間でタスクフォースを設置するとの提案がなされました。さらに,有能なパキスタンの若年労働者を育成・活用していくことについても希望が表明されました。
(2)これに対し,菅総理より,日本企業の進出促進のため,邦人の安全対策強化,治安改善や行政手続きの簡素化,基礎インフラの整備を希望するとともに,先般パキスタン産マンゴウの輸入が解禁されたことを受け,パキスタン政府が同措置を最大限活用し,対日輸出の環境整備を進めることに対する期待を表明しました。また,菅総理は,投資・貿易等の二国間経済関係を強化するための方途に関して今後実務者間で協議を進めさせることとしたいと述べました。 - 経済協力
(1)菅総理から,日本は昨年の洪水に際し,自衛隊等の人的貢献・資金協力を実施し,我が国としても,経済改革への努力に応じて,パキスタンへの支援を継続していく用意がある,また,貧困削減支援借款(PRSC)への協調融資や運輸等のインフラ分野での協力,さらに,水管理やエネルギー,教育・人材育成,防災,保健分野における協力も重視していきたい旨述べました。
(2)ザルダリ大統領より,引き続き日本の寛大な支援をお願いしたいとの要請がなされるとともに,パキスタンの抱えるエネルギー問題に対処するための更なる協力についても期待が表明されました。 - 5.北朝鮮
(1)菅総理より,国際的な義務に違反する北朝鮮のウラン濃縮活動に重大な懸念を表明しました。
(2)ザルダリ大統領より,核兵器の存在しない朝鮮半島及び緊張の緩和を支持するとのパキスタン政府の立場が表明され,全ての問題の平和的手段による解決を希望する旨述べました。