福田総理大臣

「クールアース・パートナーシップ」
気候変動対策における開発途上国支援のための資金メカニズム

平成20年2月

「国際環境協力のもう一つの柱は、排出削減と経済成長を両立させ、気候の安定化に貢献しようとする途上国に対する支援です。
その一つの方策として、我が国は、100億ドル規模の新たな資金メカニズム(クールアース・パートナーシップ)を構築します。
これにより、省エネ努力などの途上国の排出削減への取組に積極的に協力するとともに、気候変動で深刻な被害を受ける途上国に対して支援の手をさしのべます。
あわせて、米国、英国とともに多国間の新たな基金を創設することを目指し、他のドナーにも参加を呼びかけます。
このような手段を活用し、途上国とも連帯を強化して全球の温室効果ガス削減を目指します。」

福田総理大臣スピーチ(平成20年1月26日、於ダボス)

 現在、気候変動問題に対処していくため、途上国に対して以下のような支援を実施することが喫緊の課題として求められている。

〔適応策〕

〔クリーンエネルギーアクセス支援〕

〔緩和策〕

「クールアース・パートナーシップ」資金メカニズム

「クールアース・パートナーシップ」資金メカニズム 全体像イメージ(PDF)PDF


 5年間で、累計1兆2,500億円程度(概ね100億ドル程度)の資金供給を可能とする資金メカニズムの運用を2008年から開始する。

1.「適応」策・クリーンエネルギーアクセス支援:2,500億円程度(概ね20億ドル程度)

(1)気候変動の影響に特に脆弱な開発途上国のうち、温室効果ガスの排出抑制と経済成長の両立について政策協議を経た国に対し、その需要に応じ、我が国の無償資金協力、技術協力等、あるいは国連開発計画(UNDP)等国際機関を通じ、2008年から概ね5年間で累計2,500億円程度の支援を行う。

(2)具体的には、気候変動対応のための森林保全、防災等のプロジェクトや防災・適応計画立案に対する技術支援、クリーンエネルギーによる電化等の村落開発支援、干ばつ・洪水等の災害対策支援等を行う。

2.「緩和」策支援:1兆円程度(概ね80億ドル程度)

(1)省エネ等温室効果ガスの削減に真剣に取り組もうとしているが、資金や技術が伴わず、実行に移せない開発途上国のうち、温室効果ガスの排出抑制と経済成長の両立について政策協議を経た国のプロジェクト等に対し、資金面・技術面の支援を行う。

(2)具体的には、

  • 「気候変動対策円借款」を創設し、各国の地球温暖化対策プログラムの実施等のために特別金利で5,000億円程度の資金供給を可能とする。
  • 途上国における温室効果ガス削減のプロジェクトに対し、国際協力銀行(JBIC)による出資・保証、貿易保険及び補助金等合わせて、民間資金も呼び込み、5年間で最大5,000億円程度の資金供給を可能とする。

 また、多国間の新基金の創設については、米国、英国とともに創設することを目指し、他のドナーにも参加を呼びかける。

1.「適応」策・クリーンエネルギーアクセス支援:2,500億円程度(概ね20億ドル程度)

(1)途上国の適応策等について、ODAの無償資金協力・技術協力・国際機関を通じた援助等により支援。「環境プログラム無償」を新設。

(2)主にクリーンエネルギーアクセス支援の観点から、地熱利用地方電化事業調査(経産省)、温暖化対策コベネフィット支援事業(環境省)等の技術協力を実施。
((1)及び(2)については緩和策支援もあり得る。)

2.「緩和」策支援:1兆円程度(概ね80億ドル程度)

(1)気候変動対策円借款:5,000億円程度

(2)民間プロジェクト支援等:最大5,000億円程度(民間資金を含む。)

1)JBICアジア・環境ファシリティの創設

  • 気候変動緩和対策に資する案件について、民間ニーズに応じ、JBIC(国際金融等業務)が出資・保証。気候変動対策事業への民間投資を促す。

2)国際エネルギー消費効率化事業等

  • 国からの交付金等により、(独)新エネルギー産業技術総合開発機構(NEDO)が委託企業を通じ、途上国のプロジェクトに対し、省エネ・代エネ技術に係る機器を導入する事業 等

3)貿易保険

  • (独)日本貿易保険(NEXI)に地球環境保険制度を創設し、我が国企業の関与する気候変動緩和対策に資する案件(省エネ・新エネ等)への輸出、投資、貸付に適用。
  • カントリーリスクの付保率の引上げ。

4)アジア開発銀行(ADB)を通じた支援

  • ADB内に日本のイニシアティブによりアジア・クリーンエネルギー基金を創設し、アジア太平洋地域における省エネルギーの推進を支援。

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