平成21年2月24日
2月24日午前10時半頃より約1時間20分間、ワシントンを訪問中の麻生総理は、ホワイトハウスを訪問する最初の外国首脳として、オバマ大統領と日米首脳会談を行ったところ、概要以下のとおり(日本側は、松本官房副長官、藤﨑大使他が同席、米側は、クリントン国務長官、ジョーンズ国家安全保障担当大統領補佐官、サマーズ国家経済会議議長他が同席)。
(1)総論
両首脳は、日米同盟を一層強化していくことで一致すると共に、日米同盟を基軸として、二国間及びアジア太平洋地域、更には国際社会が直面する、金融・国際経済、アフガニスタン・パキスタン、気候変動・エネルギーといったグローバルな課題に共に取り組んでいくことを確認した。
(2)日米安保
オバマ大統領より、核抑止を含む対日防衛に係るコミットメントの表明があった。また、先日中曽根大臣とクリントン国務長官との間で署名された在沖縄海兵隊のグアム移転に係る協定の実施を含む在日米軍再編を、「ロードマップ」に基づいて着実に実施していくことで一致した。
(3)日米経済
麻生総理より、日米経済対話の新たな枠組の検討を進めたいと述べ、今後検討していくこととなった。
(1)総論
両首脳は、日米がまず取り組むべき課題は、金融・世界経済であるとの認識を共有するとともに、世界第1位、2位の経済大国として、世界経済の回復に向けて全力を尽くしていくことで一致した。この関連で、基軸通貨たるドルの信認の維持が重要であることで一致した。また、麻生総理より、内需拡大・景気対策に向けた我が国の取り組み等を説明した。
(2)WTOドーハ・ラウンド
両首脳は、世界経済の回復に向け、保護主義への対抗は日米の重大な責務であることで一致した。この観点から、麻生総理より、WTOドーハ・ラウンドの早期妥結に向けた努力につき述べた。
(3)G20ロンドン・サミット
両首脳は、更に、4月のロンドン・サミットに向けて、国際金融システムの一層の安定化及び成長の一層の促進のために協力を一層加速していくことでも一致した。
麻生総理から、拉致、核、ミサイルといった諸懸案の包括的な解決が重要と強調したのに対し、オバマ大統領がこれに同意しつつ、先般のクリントン国務長官訪日の際の本件にかかる話はよく知っているとして、北朝鮮の問題については、引き続き日米間で緊密に連携していくことが重要である旨述べた。六者会合においては、北朝鮮の検証可能で完全な非核化を実現すべく、共に努力していくことを確認した。なお、北朝鮮がロケットによる衛星打ち上げ準備を進めていると公表したことを受け、北朝鮮が緊張を高める行動をとるべきでないとの点でも一致した。
(1)アフガニスタン・パキスタン
麻生総理より、これまでの日本の支援について説明し、アフガン安定化に向けた支援を一層強化・加速化していく方針を説明した。これに対し、オバマ大統領より、日本のこれまでの支援に感謝し、今後の日本の積極的な役割を歓迎したいと述べた。
また、この関連で、アフガニスタン・パキスタン特使については、吉川駐スペイン大使を近日中に任命し、3月上旬にも緒方JICA理事長とともに訪米させ、ホルブルック特別代表らとの間で包括的戦略のすり合わせを行わせることとした。
(2)気候変動・エネルギー
エネルギー・環境分野については、我が国が目指す「低炭素革命」とクリーン・エネルギーを重視する米国の経済再生策は方向性を共有していることを確認し、クリーン・エネルギーや省エネルギー分野での日米協力具体化のための協議を開始することで一致した。また、麻生総理から、高速鉄道の有用性につき説明しつつ、こういった分野での日米協力を探求していくこととなった。特に、気候変動に関しては、2013年以降の枠組構築に向けて、日米で緊密に連携していくことで一致した。この関連で、明25日より日米間の実務レベルの協議を開始する。