麻生総理大臣

日中首脳会談(概要)

平成21年4月3日

 麻生総理は、2日20時から約40分間、第二回金融・世界経済に関する首脳会議出席のため訪問中の英国ロンドンにおいて、胡錦濤国家主席との間で会談を行った(中国側:王岐山副総理、戴秉国国務委員他、日本側:与謝野財務大臣、松本官房副長官他同席。)。

1. 日中関係

(1)日中関係総論

 双方は、国際社会が厳しい金融・経済情勢に直面する中、日中首脳が意見交換することは時宜を得たものであり、「戦略的互恵関係」にある日中両国として、この分野で意思疎通を強化し、積極的に協力していくことを確認した。

 麻生総理からは、昨年に引き続き、本年も李長春政治局常務委員の訪日、中曽根外務大臣の訪中、浜田防衛大臣の訪中等のハイレベルでの交流が継続されており、この勢いを維持し、昨年一致したように、タイムリーな首脳間の意思疎通を行っていきたい旨述べた。また、麻生総理の訪中については、4月29日、30日の日程で行うことで一致した。

 胡主席からは、ハイレベル交流の維持、経済貿易協力の強化、政党、議会、安全保障分野、青少年を含む各分野の交流、国際的事項についての協力が現在の良好な日中関係を発展させる観点から重要である旨述べた。

(2)東シナ海の資源開発

 麻生総理から、東シナ海における資源開発についての昨年の合意については、早期の国際約束締結交渉開始に向け、胡主席の指導力発揮を求めた。

 胡主席からは、事務レベルでの意思疎通と連携を強化していきたい旨述べた。

(3)「食の安全」

 麻生総理から、ギョウザ事件が未解決のままであることは遺憾である旨述べるとともに、早期真相究明を求めた。

 胡主席からは、中国側は、ギョウザ事件を重視しており、真剣な捜査を継続している、日中間で協力を強化し、適切に対処していきたい旨述べた。

2. 国際経済・金融情勢

 麻生総理より、今次サミットの成果について評価するとともに、日中両国は、国際経済システムの多大な利益を得ている、その観点からドーハ・ラウンドの早期妥結は重要であり、これを維持していくのは我々の責任・利益である旨指摘した。さらに、今次会合で強調したように、世界経済の成長回復のためには、アジアが「開かれた成長センター」として回復することが鍵である、今次サミットの成果のフォローアップのためにも、アジア諸国への支援を含め、中国との協力を深めていきたい旨述べた。

 胡主席からは、貿易・投資保護主義に反対し、金融の安定を維持する上での日中の立場は類似している。この分野に関し、日本との間で二国間又は多国間の場で、政策、情報面での意思疎通と協力を強化していきたい旨述べた。

3. 北朝鮮

 麻生総理より、北朝鮮によるミサイル発射は、地域の平和と安定を損ない、六者会合に悪影響を与える、安保理決議違反であり容認できない、関係国の働きかけにもかかわらず強行する場合には、安保理で強いメッセージを発信することが重要である旨述べた。

 さらに、拉致問題について引き続きの中国の協力を求めた。

 これに対し、胡主席からは、中国として本件を大変重視しており、様々なルートで北朝鮮に対し働きかけてきている、情勢がエスカレートしないように冷静に対処することが重要であり、引き続き、よく連携していきたい旨述べた。また、拉致問題については、今後も必要な協力を提供していきたい旨述べた。

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