安倍晋三総理大臣は同夫人とともに,1月17日(木曜日),タイのバンコクを訪問したところ,概要以下のとおり。
1 日タイ首脳会談
17日,18時50分から約1時間半(現地時間),安倍総理は,インラック・シナワット・タイ首相との間で日タイ首脳会談をタイ首相府において行った。また,両首脳は会談後に共同記者発表を行った。
(1)二国間関係
- ア 安倍総理からは,アジア太平洋地域の戦略環境が大きく変化する中で,日本がこの地域の平和と繁栄のため積極的な役割を果たしていく旨述べた。
- イ 安倍総理から,日本にとってタイは,多くの日本企業が展開する東南アジア最大の拠点であり,民主主義や市場経済等の基本的価値や経済的利益を共有する重要なパートナーである旨指摘し,両首脳は,「戦略的パートナーシップ」をさらに発展させ,協力関係を強化し,アジア太平洋地域の平和と安定,そして繁栄の構築に向けて,共に歩んでいくことで一致した。
- ウ 両首脳は,両国皇族,王族の頻繁な交流を歓迎した。また,安倍総理から,首脳会談に先立ち,シリラート病院において,プミポン国王陛下に拝謁したことに触れ,国王・王妃両陛下の御健康を祈念する旨述べた。
- エ 両首脳は,日タイ経済連携協定の円滑な運用やタイにおけるインフラ整備も含め緊密に連携することで一致した。インフラ案件については,特に洪水対策,鉄道,人工衛星,情報通信技術(ICT)等について意見交換が行われた。
- オ また,両首脳は,メコン地域の連結性強化においてダウェー開発は重要であるとの認識を共有した。安倍総理からは,日本としても関心をもって関係国と意見交換してまいりたい旨述べた。
- カ また,人的交流につき,特に安倍総理から,アジアの未来を見据えた青少年交流を今後も継続・拡大していくことが重要であると指摘した。
(2)地域情勢
- ア 日・ASEAN関係に関し,両首脳は,本年が日ASEAN友好協力40周年にあたることを祝福し,ASEANの連結性強化を含め両国が協力することで一致した。また,安倍総理から,ASEAN統合を積極的に後押ししたい旨述べた。
- イ 南シナ海について,安倍総理より南シナ海問題が地域の平和と安定に直結する国際社会共通の関心事項であることを指摘し,日本の立場を説明した。これに対し,インラック首相からは,日本の立場と考えをよく理解すると共にタイとして関係国間で平和的な関係が構築されるように努力したい旨述べた。
- ウ 中国については,安倍総理より日中関係の現状について説明し,その上で日中関係は最も重要な二国間関係の一つであり,地域の責任ある国として,の日本は引き続き冷静に対応し中国との意志疎通を維持・強化していきたい旨述べた。これに対し,インラック首相より,日本の姿勢をより良く理解すると共に関係主要各国の関係のために建設的な役割をタイとして果たしていきたい旨述べた。
- エ 北朝鮮情勢に関し,安倍総理から,北朝鮮によるミサイル発射について,安保理決議の明白な違反であり極めて遺憾であり,国際社会の断固とした行動が極めて重要である旨述べた。拉致問題につき,日本の立場への理解と支持を要請した。
2 その他の主要行事
日タイ首脳会談に先立ち,安倍総理は,タイ在留邦人との懇談,泰日工業大学の視察,プミポン国王陛下への拝謁を行った。