平成20年11月
(1)中曽根外務大臣は、ペルーで開催されたAPEC閣僚会議の後、20日夜から21日にかけて、コロンビアを公式訪問した。
(2)コロンビアの主な日程は以下のとおり。
(1)今般の中曽根外務大臣のコロンビア訪問は、日・コロンビア修好100周年という節目を捉えたもので、日本の閣僚としては85年の安倍晋太郎外務大臣のコロンビア訪問以来23年ぶりとなる訪問であった。本年の修好100周年に際しては、5月に安倍元総理夫妻、中川昭一日・コロンビア友好議連会長ほかがコロンビアを訪問したほか、コロンビアからもプラタ商工観光大臣(4月)、アラウッホ外務大臣(7月)、サントス副大統領(10月)が訪日する等、要人の往来が相次いだが、中曽根大臣の今次コロンビア訪問は、日本がコロンビアを重視している姿勢を示すものとしてコロンビア側から非常に高く評価された。中曽根大臣の今次コロンビア訪問については、日本からの同行プレスは無く、唯一共同通信の現地記者による単独インタビューが行われたが、コロンビアのプレスからの注目は非常に高く、テレビ、新聞等で大きく報道された。
(2)これまでコロンビアとの貿易投資関係は治安の問題もあって低調に推移してきたが、近年、ウリベ大統領の強力なリーダーシップの下、治安の著しい改善がみられ、日本企業のコロンビアへの関心も大きく増大している状況にある。そのような中で、本年の修好100周年を記念し、両国産・学・官の参加を得て発足した「日・コロンビア賢人会」(日本側座長:小島三菱商事社長)における議論を踏まえ、両国間の貿易投資関係の一層の促進を図る観点から、今般、投資協定締結交渉の開始に合意するとともに、租税条約の締結についても財務当局間の非公式協議を開始することとなった。これに加え、コロンビア側からは、日本との経済連携協定(EPA)の締結につき、強い期待が示された。
(3)コロンビアは長年APECへの新規参加を強く希望しており、特に日本でAPECが開催される2010年にAPEC新規参加問題につき改めて議論されることになっていることもあり、ウリベ大統領及びベルムデス外相のいずれからもコロンビアのAPEC参加につき日本の支持を得たいとの強い期待が表明された(なお、中曽根大臣との今次会談は、ウリベ大統領及びベルムデス外相が、APEC新規参加にかかる各国への働きかけのため、APEC首脳会議が開催されるペルーへ向かう直前に行われた。)。これに対し、中曽根大臣からは、コロンビアのAPEC参加を強く希望していることを我が国としてもしっかりと受け止めて検討していきたいと応答した。
(4)我が国は、コロンビアの平和の構築に向けた取組を支援するため、地雷対策や国内避難民対策等の面で積極的な協力を行ってきているが、特に、過去の非合法武装勢力との抗争の影響から、国内避難民や投降兵士、地方農民の中には、子供を学校に通わせられない人々や初等教育を修了することができなかった成人が多数存在するところ、初等教育分野への支援を重視してきた。今般の中曽根大臣のコロンビア訪問に当たっては、修好100周年にちなみ、コロンビア文化大臣も出席して、我が国の支援によって整備を行った児童図書館が100件に達したことを記念する式典を実施したが、中曽根大臣は、文部大臣を務めるなど教育の問題に積極的に携わってこられた経験を踏まえ、「米百俵」の逸話を紹介しつつ、初等教育の充実にこそ将来の安定と発展の鍵があるとの我が国の支援の背景にある考え方を説明した。(その際、各図書館に1冊ずつ「米百俵」のスペイン語版の本を寄贈。)