麻生外務大臣

麻生外務大臣のイラク・バグダッド訪問

平成18年8月3日

 8月3日、麻生外務大臣はイラク・バグダッドを訪問し、ズィーバーリー外相次いでマーリキー首相とそれぞれ会談したところ概要以下のとおり。

ズィーバーリー外相との会談

日時:18時20分(現地時間13時20分)から約35分間
於:イラク外務省

  1. 冒頭、ズィーバーリー外相より以下のとおり述べた。

    (1)麻生大臣のバグダッド訪問をイラク政府及び国民をあげて歓迎する。自衛隊撤収後の新たな段階に入った日・イラク関係を一層発展させる上でも、非常にタイミングの良い訪問であったと思う。

    (2)自衛隊は一発の銃弾を発射することなく無事任務を終え撤収した。すばらしい仕事をしたと思う。改めて謝意を表明するとともに高く評価する。自衛隊の貢献はイラク国民の信頼を得る上で非常に重要であり、イラク国民に良い印象を与えた。自衛隊が地元の住民に溶け込んで復興支援活動を行ったことは今後の国際社会によるイラク復興の模範となろう。

    (3)イラク復興における日本のこれまでの指導的な役割を高く評価する。イラク国民は決して日本の支援を忘れない。

    (4)7月末にイラク・コンパクトが正式に立ち上がったが、これはイラクに対する国際社会による支援を組織化する上で非常に重要であり、日本の追加的貢献をお願いしたい。

    (5)昨年11月に訪日した際、日本が約60億ドルの債務救済を実施して頂いたことに改めて感謝する。

    (6)イラクの現状についていえば、

    (イ)国民生活は相応に営まれており、治安もバグダッドを除く他の地域では安定している。

    (ロ)石油産業の停滞が問題だが、現在、外国投資法を国会で審議しているところであり、今後回復に向かうことが期待される。

    (ハ)国民和解計画の成功は、治安の改善につながるだけでなく、湾岸諸国やシリア等の近隣諸国のイラクへの支援を取り付ける上でも重要である。

  2. これに対し、麻生外務大臣より以下のとおり述べた。

    (1)陸上自衛隊撤収後も日本のイラク支援の立場に揺るぎはないとの強い決意を直接イラク指導部に伝達するため、2003年3月の武力行使後、日本の閣僚として初めてバグダッドを訪問した次第である。陸上自衛隊撤収直後のバグダッド訪問は自分としても良いタイミングであったと思う。

    (2)計5500人の陸上自衛隊の貢献を高く評価していただきうれしい。日本は、今後は、航空自衛隊による輸送支援拡大に加え、最大35億ドルの円借款による経済活動の基盤整備を中心とした支援等を通じ、イラクの復興努力を積極的に支援していく。

    (3)新政府発足、陸上自衛隊撤収を受け、新たな段階に入った今後の日・イラク関係は、政治対話の強化、経済関係の強化等一層幅広いものにしたいと考えており、そのための方策を今後様々なレベルで議論していきたい。この観点から、ズィーバーリー外相の昨年11月に次ぐ訪日を招請する。

    (4)7月27日のイラク・国連の共同声明により、イラク・コンパクト・プロセスが正式にスタートしたことを歓迎する。我が国はイラク・コンパクトに積極的に関与ししっかり支えていく。日本を頼りにしてほしい。

マーリキー首相との会談

日時:20時5分(現地時間15時5分)から約30分間
於:イラク首相府

  1. 冒頭、マーリキー首相より以下のとおり述べた。
    麻生外務大臣のバグダッド訪問を歓迎。自衛隊の活動を含む日本のこれまでの貢献を高く評価する。日本はイラクの第1の友人である。今後は日・イラク関係を政治・経済・文化等幅広い分野で発展させたい。イラクへの投資をお願いしたい。
  2. これに対し、麻生外務大臣より以下のとおり述べた。

    (1)陸上自衛隊撤収後も日本のイラク支援の立場に揺るぎはないとの強い決意を直接イラク指導部に伝達するためにバグダッドを訪問した。

    (2)日本は、今後は、航空自衛隊による輸送支援拡大に加え、最大35億ドルの円借款による経済活動の基盤整備を中心とした支援等を通じ、イラクの復興努力を積極的に支援していく。

    (3)7月27日のイラク・国連の共同声明により、イラク・コンパクト・プロセスが正式にスタートしたことを歓迎する。我が国はイラク・コンパクトに積極的に関与ししっかり支えていく。

    (4)マーリキー首相の訪日を招請する。都合の良い時期に来て頂きたい。

    (5)国民和解計画、治安計画の発表等、マーリキー首相の就任後のこれまでの精力的な取組の成果を伺いたい。

    (6)マーリキー首相の湾岸諸国訪問及び米英訪問の成果を伺いたい。

  3. これに対し、マーリキー首相は以下のとおり述べた。

    (1)国民和解計画には大多数の国民が支持しているが、一部に共存を否定する勢力が存在する。イラク治安部隊は着実に強化されているが、一部の国が治安安定を妨害している。今後、宗教者等国民各層を集め国民和解会議を開催する予定である。

    (2)湾岸諸国訪問でフセイン政権下に存在した負の遺産を解消できたと思う。米英とはイラク・コンパクトについて議論し、支持を得た。

    (3)訪日の招待は喜んでお受けする。

  4. 最後に、麻生大臣から「治安が安定すれば投資も可能となる。政治が安定すれば経済も安定する。マーリキー首相の努力が成果を上げることを期待する」旨述べ、会談を了した。
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