平成21年4月17日
4月6日(月曜日)及び7日(火曜日)、ザンビア・ルサカにおいて貿易のための援助(AfT)アフリカ地域レビュー会合(ハイレベル南北回廊・貿易のための援助会合)が開催されたところ、概要以下のとおり。
(注)AfT(Aid for Trade)とは途上国が世界貿易機関(WTO)の多角的貿易体制から利益を得て、経済成長を達成することを目的とした、貿易分野でのキャパビルやインフラ供与。
4月6日(月曜日)
(1)ザンビア大統領による開会演説
(2)ハイレベル・ラウンドテーブル
(3)南北回廊、貿易、通過、輸送の課題に関するセッション
4月7日(火曜日)
(4)電力生産・配電の課題に関するセッション
(5)AfTアフリカ地域レビュー
(6)総括質疑
4人の大統領やラミーWTO事務局長、多数の閣僚級出席者など約400名(注)が参加。我が国からは、佐藤啓太郎アフリカ紛争・難民問題兼国連改革担当大使他関係者が出席。
(注)キバキ・ケニア大統領(COMESA議長)、モトランテ南ア大統領(SADC議長)、ムセヴェニ・ウガンダ大統領(EAC次期議長)、バンダ・ザンビア大統領(ホスト国)、アシュトン貿易担当欧州委員、トーマス英国貿易・開発大臣、ラミーWTO事務局長、カベルカAfDB総裁、フランシスITC事務局長、COMESA、SADC及びEACの全事務局長、AU副委員長、世銀副総裁をはじめ、多くのアフリカ諸国閣僚、民間企業代表、ハイレベルでのドナー諸国代表等。
(1)本会合では、道路、鉄道、橋梁、港湾及び電力等のインフラ整備、貿易円滑化のためのワンストップボーダーポスト(OSBP)や南北回廊プロジェクト等AfTの好例が多く取り上げられ、活発な議論が行われた。
(2)これらの議論は、成果文書の形にとりまとめられた。成果文書では、
(イ)地域統合を促進するためのハイレベルの政治的コミットメントの重要性、
(ロ)資金メカニズムや調達制度等の実施のための制度の拡充、
(ハ)優先順位付け等の必要性を指摘しつつ、今後の取組として、
(ニ)南北回廊・貿易のための援助の政策全般を扱う運営委員会の設置、
(ホ)政策や規制の実施における一貫性の確保、
(へ)回廊の効率的運用のための財源となる信託基金の設置、
(ト)投資や案件実施の促進のための「特別目的事業体」(SPVs)の設置等を挙げている。同成果文書は7月6日及び7日ジュネーブにて開催予定の第2回AfTグローバル・レビュー会合においても報告される予定である。
(3)ドナー諸国・機関(世銀、AfDB、EU、英)からは合計約15億米ドルの新たなプレッジが発表され、我が国から説明したTICADプロセスにおけるコミットメント(5年間で最大40億ドルの円借款を機動的に活用、当面約20億ドルの無償資金・技術協力を早期実施)とあわせ、今次会合を開催した三地域経済共同体(COMESA、SADC及びEAC)によって高く評価される等成功を納めた。ドナーの中では、EU及び英国は今次会合に積極的に参加・貢献し、アフリカの地域統合を後押しする旗振り役としての役割を果たしていた。
(4)我が国は、開発イニシアティブを通じAfTを実施してきており、2005年のWTO香港閣僚会議の際のコミットメントも着実に果たしてきている。世界経済・金融危機により各国の財政状況が悪化することが避けられない中で、今後も開発イニシアティブを継続していくことを累次表明している。我が国としては、本件会合も踏まえ、引き続き、AfTの主流化、モニタリング、評価、援助協調等を通じ援助の効率化にも努める考えであり、貿易金融等の関連分野についても積極的に貢献していく考えである。
(1)これまでの関連会合
3月3日 アジア・太平洋地域専門家会合(フィリピン)
(2)今後の日程
5月7日及び8日 ラテン・アメリカ地域レビュー会合(ジャマイカ)
5月29日 アジア地域レビュー会合(カンボジア)
7月6日及び7日 第2回グローバル・レビュー会合(閣僚級、ジュネーブ)