日本の国際テロ対策協力

国連グローバル・テロ対策戦略

平成22年9月

  1. 2006年9月8日(金曜日)午後(NY時間。日本時間9日午前)、国連総会第99回本会議において、国連グローバル・テロ対策戦略に関する総会決議案が、全会一致(コンセンサス)で採択された。
  2. (1)本件決議は、決議附属の行動計画の形で、テロとの闘いにおける国連の能力強化のための具体的かつ実践的テロ対策の戦略を包括的にまとめたもの。

    (2)本件戦略は、テロ対策において国連がより積極的な役割を果たしていくべきとの観点から、5月にアナン国連事務総長が発表したグローバルなテロ対策戦略に向けた勧告を受けて、国連総会においてスペインとシンガポールの常駐代表を共同議長とする非公式協議の場で検討が行われていた。

  3. 採択された戦略はテロ対策に関わる課題を網羅的に取り上げたもので、主な内容は以下のとおり。

    (1)あらゆる形態のテロリズムを非難し、テロ防止関連条約の締結、包括テロ防止条約交渉妥結並びに国際テロ撲滅措置に関する全ての総会決議及び安保理決議の履行に努める。

    (2)テロリストの安住の地をなくすため、「テロとの闘い」に完全に協力する。

    (3)テロとの闘いのための措置は国連憲章、国際人道法、国際人権法を始めとする国際法上の義務に従わなければならないことを認識する。

    (4)市民及び文明間の理解の促進並びに貧困撲滅及び持続可能な開発へのコミットにより、テロリズム拡散につながる条件への対処措置を講じる。

    (5)国連安保理テロ対策委員会(CTC)及び関連国際機関との協力を通じ、テロリズム防止及び闘いへの措置を講じる。

    (6)関連国際機関及び加盟国との協力により、各種のテロ対処能力向上措置を講じると共に、同分野の国連の役割を強化する。

    (例)情報交換のための非公式協議の開催、各国テロ対策報告書提出プロセス合理化のためのメカニズムの創設、テロ防止関連条約締結等への技術的支援促進、CBRNテロ対策への技術的支援促進、交通保安対策の強化、テロ対策実施タスクフォースの組織化等

    (7)本テロ対策戦略は、実施状況につき2年後に再検討される。

  4. 本決議案の採択後、テロ対策実施タスクフォース(2005年に設置。国連の24の部署・委員会・機関等にて構成される。)は9つの作業部会を設置し、本戦略に掲げられた措置の実施につき、国連内での調整・検討等を行っている。
  5. 2008年9月、国連総会においてテロ対策戦略の実施状況に関するレビュー会合が開催され、各国から戦略実施状況の報告が行われた。同会合では、戦略の実施における加盟国の責任やテロ対策における国際協力促進の必要性を再確認し、テロ対策実施タスクフォースの組織化を事務総長に要請する決議が採択された。次回レビュー会合は2010年9月に開催される予定。
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