経済

グリア経済協力開発機構(OECD)事務総長来日
(概要と評価)

平成23年4月25日

 グリア・OECD事務総長は,4月20日から24日までの日程で訪日したところ,概要及び評価以下のとおり。

1.日程

 21日に,OECDによる対外経済審査報告書発表記者会見,関係閣僚等との会談,松本外務大臣との夕食会等を実施。22日に菅総理表敬,関係閣僚,経済界,労働界の代表等との意見交換等を実施。

2.主な表敬・会談

(1)菅総理表敬 (22日午前)

 東日本大震災に関し,菅総理より,復興に向けた決意を伝えたのに対し,グリア事務総長から,日本の復興に確信を持っている,地震による日本経済への悪影響は長くは続かず,必ず回復すると確信している,OECDとして復興に協力したいと述べた。これに対し,菅総理から,日本経済への信認の回復・強化に向けた力強いメッセージである,OECDからの幅広い分野における分析・提言を歓迎したいと述べた。

(2)松本外務大臣との夕食会 (21日夕)

  1. (ア)グリア事務総長より,対日経済審査報告,及び震災の影響をふまえた日本経済見通しを手交した上で,日本経済の回復を確信しており, OECDとして復興に協力したいと述べた。
  2. (イ)また,松本外務大臣から,本年OECDが設立50周年を迎えることに祝意を伝え,日本として,OECDの分析や提言を引き続き活用したいと述べた。また,松本外務大臣からOECD事務局の邦人職員増強への協力を求めた。これに対し,グリア事務総長より,日本の長年の協力に感謝の意を表すとともに,今後ともOECDへの貢献に期待したい,邦人職員増強への取り組みを進めたいと述べた。
  3. (ウ)さらに,出席者との間で,震災後の日本経済,OECDの今後のありうべき貢献等について率直な意見交換が行われた。

3.対日経済審査報告書の発表(21日午後)

 OECD加盟国は,経済の現状と見通し,マクロ経済政策,構造問題等に関し,定期的に加盟国間の相互審査を受ける。我が国は約1年半に1度,審査を受けており,21日に今次審査の結果が「対日経済審査報告書」として,記者会見にて公表された。また,同審査と併せ,震災の影響をふまえて今回の来日のために準備された日本経済見通しも発表された。同見通しでは,我が国の経済成長率について,復興支出の増加に伴って2011年は0.8%となるものの,2012年は2.3%の成長が見込まれるとされた。

4.評価

  1. (1)グリア事務総長からは,諸会談や記者会見において,震災による日本経済への悪影響は長くは続かず,必ず回復すると確信している旨の表明が繰り返しなされ,今次来日は,「世界最大のシンクタンク」としてのOECD事務総長が,我が国復興に向けた前向きなメッセージを発信する機会となった。
  2. (2)また,本年がOECD50周年という節目の年である中で,特別に首脳が出席する50周年記念行事が行われる閣僚理事会に先立ち我が国を事務総長が訪日したことを通じ,我が国としてOECD事務局との間で今後とも緊密な協力関係を継続していくことを確認することができた。
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