評価年月日:平成27年2月27日
評価責任者:国別開発協力第一課長 宮下 匡之
ベトナム社会主義共和国
第二次送変電・配電ネットワーク整備計画
ベトナムの主要都市部における工業団地等の産業集積地を中心とした地域で送変電・配電設備の新設・増強を行うことにより,電力の安定供給を図り,もって国際競争力の強化を通じた持続的成長の達成に寄与する。
ア 主要事業内容
イ 供与条件
供与限度額 | 金利 | 償還(据置)期間 | 調達条件 |
---|---|---|---|
297.86億円 | 年1.4% | 30(10)年 | 一般アンタイド |
ア 本案件は,現時点で52のサブ・プロジェクトの実施が想定されている。環境社会影響については,サブ・プロジェクト毎に実施機関によりベトナム国内法及びJICA環境社会配慮ガイドライン(2010年4月公布)等で定められた必要な対応策が講じられる。なお,環境や社会への重大で望ましくない影響のある可能性を持つようなサブ・プロジェクトは想定されていない。
イ 外部要因リスクは特になし。
ア 開発ニーズ
ベトナムの電力需要は過去3か年で年平均10%以上増大しており,2020年にかけても年平均11.7%の伸びが見込まれている。他方,送変電・配電設備の整備は遅れており,十分かつ安定的な電力供給に支障が生じている。また,既存送配電網においても冗長性の確保が十分でなく,事故やメンテナンス時には代替の送配電経路が確保できないため,停電や電力品質の低下が発生し,市民生活や経済活動に悪影響を与えている状況である。
イ 我が国の基本政策との関係
2012年12月に策定された対ベトナム国別援助方針においては,「成長と競争力強化」を重点開発課題に掲げており,「エネルギーの安定供給及び省エネルギーの推進」に係る支援に重点的に取り組むとしている。送変電・配電設備の整備を目的とする本事業は本方針に整合している。
将来にわたって効率的に送配電施設が整備されるよう,本事業における施設建設と並行して配電会社の送配電施設整備計画策定能力の向上に関する技術協力の実施可能性を検討中。
本計画の実施により,ベトナムの主要都市部における工業団地等の産業集積地を中心とした地域において,送変電・配電設備の容量増大(一例として,想定されているサブ・プロジェクトのうち,クワンチャウ変電所の増強により,ピーク時設備稼働率が110%(2014年)から73%(2020年:事業完成2年後)に改善される。)や既存回線の2ルート化等による増強を図り,安定的な生産活動のために不可欠な信頼性のある高品質な電力の供給を実現し,国際競争力の強化を通じた持続的成長の達成に寄与する。
要請書,国際協力機構環境社会配慮ガイドライン(http://www.jica.go.jp/environment/guideline/index.html),ベトナム国別評価,その他国際協力機構より提出された資料。
案件に関する情報は,交換公文締結後公表される外務省の約束状況に関する資料及び案件概要(http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/data/zyoukyou.html),借款契約締結後公表される国際協力機構のプレスリリース(http://www.jica.go.jp/press/index.html)及び事業事前評価表(http://www.jica.go.jp/activities/evaluation/before.html
)を参照。
なお,本案件に関する事後評価は実施機関である国際協力機構が行う予定。