評価年月日:平成26年7月15日
評価責任者:国別開発協力第一課長 宮下 匡之
ミャンマー連邦共和国
全国基幹送変電設備整備計画(フェーズ1)
ミャンマーの北東部と南部を結ぶ基幹送電線に係る2変電所(メティラ及びタングー)を整備することにより,需要の高い南部への送電容量の増加や電力供給の信頼度向上を図るもの。
ア 主要事業内容
イ 供与条件
供与限度額 | 金利 | 償還(据置)期間 | 調達条件 |
---|---|---|---|
246.78億円 | 年0.01% | 40(10)年 | 一般アンタイド |
ア 環境影響評価:本計画は送変電・配電セクターのうち大規模なものに該当せず,環境への望ましくない影響は重大ではないと判断され,かつ,影響を及ぼしやすい特性及び影響を受けやすい地域に該当しない。また,本計画にかかる環境影響評価(EIA)報告書はミャンマー国内法上,作成が義務付けられていない。
イ 用地取得及び住民移転:本計画では用地取得に伴い2世帯の非自発的住民移転を含む28世帯の被影響住民が生じ,JICA環境社会配慮ガイドラインに基づきミャンマー電力公社が作成した住民移転計画に沿って用地取得及び住民移転が進められる。
ウ 外部要因リスク:特になし
ア 開発ニーズ
ミャンマーでは電源構成の約7割を占める水力発電のほとんどが,北東部を中心に開発されており,最大需要地である南部に安定的な電力を供給するため,北から南に送電する230キロボルト送電系統が同国の基幹系統として重要な役割を担っている。現在,230キロボルト基幹送電線の送電電力量が容量限度に近づいており,また送電距離が長いため電圧降下が生じ,送配電損失率の高さも問題となっている。さらに,230キロボルト送電線の主要ルートは1回線で,老朽化した設備を過負荷の状態で長く利用しているため故障発生のリスクが高く,大規模停電の発生も懸念されている。こうした状況下,ミャンマーの北東部と南部を結ぶ基幹系統の2回線化,500キロボルト基幹送電系統並びに変電所の整備は喫緊の課題となっている。
イ 我が国の基本政策との関係
2012年4月に見直した我が国の対ミャンマー経済協力方針においては,「持続的経済成長のために必要なインフラや制度の整備等の支援」を重点分野の一つとしている。本計画は,基幹送変電設備を整備することによりミャンマーの持続的経済成長の促進に寄与するものであり,同方針に合致している。
本計画はミャンマー初の500キロボルト変電所の整備を行うものであり,運営・維持管理マニュアルをコンサルタント支援のもと作成し,効率的な運営及び維持管理を図ることとしている。
本計画の実施により,事業完成2年後の2020年には,メティラ変電所の送電量が2,502ギガワット時/年,タングー変電所の送電量が800ギガワット時/年となる見込みであり,北東部から首都ヤンゴンを含む南部への送電容量の増加,安定的な電力供給が可能となる。さらには,ミャンマーの経済発展及び国民生活の向上を通じた我が国との二国間関係の強化が期待される。
要請書,「国際協力機構環境社会配慮ガイドライン」(2010年4月公布)(http://www.jica.go.jp/environment/guideline/index.html),その他国際協力機構より提出された資料。
案件に関する情報は,交換公文締結後公表される外務省の約束状況に関する資料及び案件概要(http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/data/zyoukyou.html),借款契約締結後公表される国際協力機構のプレスリリース(http://www.jica.go.jp/press/index.html)及び事業事前評価表(http://www.jica.go.jp/activities/evaluation/before.html
)を参照。
なお,本案件に関する事後評価は実施機関である国際協力機構が行う予定。