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政策評価法に基づく事前評価書

評価年月日:平成26年7月15日
評価責任者:国別開発協力第一課長 宮下 匡之

1. 案件概要

(1)供与国名

ミャンマー連邦共和国

(2)案件名

ヤンゴン都市圏上水整備計画

(3)目的・事業内容

ヤンゴン都市圏において,上水道施設を拡充(ティラワ経済特別区への送水を含む)することにより,急増する水需要に対応する上水道サービスの改善を図るもの。

ア 主要事業内容

  • 土木工事・資機材調達
  • コンサルティング・サービス

イ 供与条件

供与限度額 金利 償還(据置)期間 調達条件
236.83億円 年0.01% 40(10)年 一般アンタイド

(4)環境社会配慮,外部要因リスクなど留意すべき点

ア 環境影響評価: 本計画は上水道セクターのうち大規模なものに該当せず,環境への望ましくない影響は重大ではないと判断され,かつ,影響を及ぼしやすい特性及び影響を受けやすい地域に該当しない。また,本計画にかかる環境影響評価(EIA)報告書はミャンマー国内法上,作成が義務付けられていない。

イ 用地取得及び住民移転: ヤンゴン市開発委員会所有の土地であるため,用地取得及び住民移転を伴わない。

ウ 外部要因リスク: 特になし。

2. 資金協力案件の評価

(1)必要性

ア 開発ニーズ

ヤンゴンはミャンマーの全人口約6千3百万人のうち1割弱にあたる510万人が集中している同国最大の都市である。ヤンゴン市において,配水管網による給水を受けている人口は,市全体の37%(推定)であり,市の中心部では24時間給水を達成しているものの,市全体の平均給水時間は9.2時間に留まっている。水源の9割を表流水(貯水池)に依存し,表流水の水質が良好ではないにもかかわらず,3分の2が浄水をしないまま直接給水されている。また,無収水率は65%(推定)に上り,かつ水道料金が低く抑えられていることから,水道料金収入は十分とは言えない状況にあり,新規の設備整備や老朽化した設備の更新への対応が緊急的な課題となっている。さらに,ミャンマー政府は,外国企業の誘致を通した経済成長を実現すべくヤンゴン市郊外のティラワにおいて経済特別区の開発を進めており,同経済特別区への安定的な水供給も喫緊の課題である。

イ 我が国の基本政策との関係

本計画は,2012年4月に見直した我が国の対ミャンマー経済協力方針のうち,「国民生活向上のための支援」及び「持続的経済成長のために必要なインフラや制度の整備等の支援」に位置付けられる。

(2)効率性

上水道事業の効率的な運営・維持管理を図るために,技術協力事業を通じ,浄水施設の維持管理,水質管理,無収水対策,料金徴収,財務管理等,実施機関の運営・維持管理能力の強化を支援する予定。

(3)有効性

本計画の実施により,2011年の実績値と比較して,事業完成2年後の2022年にはヤンゴン市の水道普及率が37.6%から54.4%に改善される。また,給水人口が1,933千人から3,344千人に,給水量が673千m3/日から1,096千m3/日にそれぞれ大きく増加する。これにより,対象地域の生活環境が改善し,ひいては我が国との二国間関係の強化に寄与することが期待される。

3. 事前評価に用いた資料、有識者等の知見の活用

要請書,「国際協力機構環境社会配慮ガイドライン」(2010年4月公布)(http://www.jica.go.jp/environment/guideline/index.html),その他国際協力機構より提出された資料。

案件に関する情報は,交換公文締結後公表される外務省の約束状況に関する資料及び案件概要(http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/data/zyoukyou.html),借款契約締結後公表される国際協力機構のプレスリリース(http://www.jica.go.jp/press/index.html)及び事業事前評価表(http://www.jica.go.jp/activities/evaluation/before.html)を参照。

なお,本案件に関する事後評価は実施機関である国際協力機構が行う予定。

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