評価年月日:平成26年7月15日
評価責任者:国別開発協力第一課長 宮下 匡之
ミャンマー連邦共和国
ヤンゴン・マンダレー鉄道整備計画(フェーズ1)(第一期)
ミャンマー第一・第二の都市であるヤンゴン・マンダレーを結ぶ既存鉄道路線のうちヤンゴン・タングー間において,老朽化した施設・設備の改修を実施するもの。
ア 主要事業内容
イ 供与条件
供与限度額 | 金利 | 償還(据置)期間 | 調達条件 |
---|---|---|---|
200億円 | 年0.01% | 40(10)年 | 一般アンタイド |
ア 環境影響評価: 本計画は鉄道セクターのうち大規模なものに該当せず,環境への望ましくない影響は重大ではないと判断され,かつ,影響を及ぼしやすい特性及び影響を受けやすい地域に該当しない。また,本計画にかかる環境影響評価(EIA)報告書はミャンマー国内法上,作成が義務付けられていない。
イ 用地取得及び住民移転: 本計画では24名の非自発的住民移転を伴い,JICA環境社会配慮ガイドラインに基づき,ミャンマー国鉄が2013年11月に作成した簡易住民移転計画に沿って用地取得及び住民移転が進められる。
ウ 外部要因リスク: 特になし。
ア 開発ニーズ
ミャンマーの幹線鉄道は英国植民地時代にほぼ完成しているが,これまでミャンマー国鉄の年間投資額の大半が新線建設に充当されてきた結果,既存輸送施設・設備の更新が大きな課題となっている。中でもヤンゴン・マンダレー線は,当国最大の商業都市ヤンゴン,首都ネーピードー,第二の商業都市マンダレーを結ぶ重要路線(約620km,複線区間)である。沿線人口は2005年の1,981万人から2009年には2,122万人へと年平均約1.7%増加し,旅客・貨物輸送の需要が高まる一方で,列車走行速度低下・遅延・脱線事故等が生じ,輸送サービスの低下が問題となっている。ミャンマー国鉄は,新線建設優先の従来方針を改め,既往路線の輸送設備・施設の更新を優先的に行う方針であり,特にヤンゴン・マンダレー線を最優先事業と位置付けている。
イ 我が国の基本政策との関係
2012年4月に見直した我が国の対ミャンマー経済協力方針では,「持続的経済成長のために必要なインフラや制度の整備等の支援」を重点分野の一つとしている。本計画は,幹線鉄道輸送サービスの改善,沿線の経済活動の活性化を通じミャンマーの持続的経済成長の促進に寄与するものであり,同方針に合致している。
無償資金協力「鉄道中央監視システム及び保安機材整備計画」と連携し,包括的な鉄道システムの導入を図り,技術協力「鉄道安全性・サービス向上プロジェクト」で鉄道運営と維持管理能力の向上を図る。これら他スキームとの連携により案件の効率性を確保する。
本計画の実施により,ヤンゴン・タングー間において,より安全で高速の列車運行と旅客・貨物の輸送能力増強を図る。2026年には運行本数164本/日(2013年:27.5本/日),車両キロ52,119km/日(同:11,112km/日),ヤンゴン・タングー間所要時間3時間20分(同:6時間54分)となる見込みであり,ミャンマーの経済発展に寄与する。さらには,我が国との二国間関係の強化に資することが期待される。
要請書,「国際協力機構環境社会配慮ガイドライン」(2010年4月公布)(http://www.jica.go.jp/environment/guideline/index.html),その他国際協力機構より提出された資料。
案件に関する情報は,交換公文締結後公表される外務省の約束状況に関する資料及び案件概要(http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/data/zyoukyou.html),借款契約締結後公表される国際協力機構のプレスリリース(http://www.jica.go.jp/press/index.html)及び事業事前評価表(http://www.jica.go.jp/activities/evaluation/before.html)を参照。
なお,本案件に関する事後評価は実施機関である国際協力機構が行う予定。