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政策評価法に基づく事前評価書

評価年月日:平成27年1月8日
評価責任者:国別開発協力第三課長 西永 知史

1 案件概要

(1)供与国名

ケニア共和国

(2)案件名

モンバサ港開発計画フェーズ2

(3)目的・事業内容

東アフリカの物流拠点であるモンバサ港において,同港のコンテナターミナルの建設及び荷役機械の整備等を行うことにより,取扱貨物の需要増加への対応及び効率的な港湾運営の促進を図り,もって同国のみならず近隣諸国を含めた地域全体の貿易促進及び経済社会発展に寄与するもの。

ア 主要事業内容

  • 土木工事(コンテナターミナル建設)
  • 資機材調達(荷役機械)
  • コンサルティングサービス

イ 供与条件

供与限度額 金利 償還(うち据置)期間 調達条件
321.16億円 年0.10% 40(10)年 日本タイド(本邦技術活用条件(STEP))

(注)コンサルタント部分の金利は0.01%を適用。

(4)環境社会配慮,外部要因リスクなど留意すべき点

ア EIA(環境影響評価): 環境影響評価(EIA)報告書は,ケニア環境省(Natural Environmental Management Authority : NEMA)より2007年5月に承認取得済。また,フェーズ2にかかるEIA Addendum2はKPAがNEMAより2014年4月に承認取得済。

イ 用地取得及び住民移転: 用地取得及び住民移転は発生しない。

ウ 外部要因リスク: 2013年7月に発生したモンバサ港開発計画フェーズ1に従事する邦人の殺害事件をうけ,我が国からケニア政府に対して犯人の逮捕及び警備強化を申し入れているところ,改めて申し入れることとする。

2 資金協力案件の評価

(1)必要性

ア 開発ニーズ

2008年に策定されたケニアの長期開発計画「Vision2030」は,高い生活水準,国際的な競争力及び経済的繁栄を2030年までに達成することを国家目標としている。同計画では,インフラ開発は国の基盤を支える柱の一つとして重要性が強調されており,ケニア唯一の国際貿易港湾であるモンバサ港の開発は国家最優先事業の一つとされている。同港での取扱コンテナ貨物量は過去10年間で約3倍に増えており,今後,現時点の取扱コンテナ貨物量約90万TEU/年(2012年実績値)を大幅に超過することが見込まれる。本計画を実施することを通じて,同国のみならず,周辺地域の活性化及び経済成長をもたらすことが期待される。

イ 我が国の基本政策との関係

対ケニア共和国国別援助方針では,重点分野として「経済インフラ整備」を掲げ,協力を実施している。広域インフラ整備は,第5回アフリカ開発会議(TICAD V)で提唱された横浜宣言2013においても重視されている。

(2)効率性

本計画は既往の対ケニア円借款「モンバサ港開発計画」による新コンテナターミナル整備,同「モンバサ港周辺道路開発計画」による周辺道路整備,技術協力プロジェクト「東部アフリカ地域における国際貿易円滑化のための能力向上プロジェクト」を通じた税関の能力向上,技術協力プロジェクト「道路メンテナンス業務の外部委託化に関する監理能力強化プロジェクト」を通じた道路維持管理の能力向上等と連携することで,広域輸送網の円滑化の推進などとの相乗効果が期待される。

(3)有効性

本計画により,同港の物流の円滑化,同国の投資環境の向上,同国のみならず近隣諸国を含む地域全体の経済社会発展に寄与することが期待される(完成2年後(2021年)見込み:コンテナ貨物量約90万TEU→約200万TEU,滞船時間(Gross)8.16時間/隻→3.84時間/隻)。

※TEU(Twenty-foot Equivalent Unit):コンテナ船の積載能力やコンテナターミナルの貨物取扱数等を示すために用いられる貨物容量の概数を示す単位。

3 事前評価に用いた資料,有識者等の知見の活用

要請書,これまでの国際協力機構環境社会配慮ガイドライン(http://www.jica.go.jp/environment/guideline/他のサイトへ),その他国際協力機構より提出された資料。

案件に関する情報は,交換公文締結後公表される外務省の約束状況に関する資料及び案件概要(http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/data/zyoukyou.html),借款契約締結後公表される国際協力機構のプレスリリース(http://www.jica.go.jp/press/index.html他のサイトへ)及び事業事前評価表 (http://www.jica.go.jp/activities/evaluation/before.html他のサイトへ)を参照。

なお,本案件に関する事後評価は実施機関である国際協力機構が行う予定。

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