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政策評価法に基づく事前評価書

評価年月日:平成27年1月30日
評価責任者:国別開発協力第三課長 西永 知史

1 案件概要

(1)供与国名

イラク共和国

(2)案件名

ハルサ火力発電所改修計画

(3)目的・事業内容

イラク南部のバスラ県で最大級のハルサ火力発電所を改修することにより,特にバスラ県における電力需要に応え,電力供給能力の回復・安定化を図るもの。

ア 主要事業内容

  • 土木工事(ハルサ火力発電所の改修)
  • コンサルティング・サービス

イ 供与条件

供与限度額 金利 償還(据置)期間 調達条件
202.24億円 年0.80% 15(5)年 一般アンタイド

(注)コンサルティング・サービス部分については,金利年0.01%を適用。

(4)環境社会配慮,外部要因リスクなど留意すべき点

ア EIA(環境影響評価): イラク国内法上,本計画に関する環境影響評価(EIA)報告書の作成は義務づけられていない。

イ 土地収用及び住民移転: 既設発電所の敷地内での改修事業であり,用地取得や住民移転は伴わない。

ウ 外部要因リスク: 対象地域の治安情勢に特段の変更は見られない。事業実施に当たっては,安全確保に最大限の措置を講ずる。

2 資金協力案件の評価

(1)必要性

ア 開発ニーズ

イラクでは,1980年代以降,3度にわたる戦争と長年の経済制裁の影響により,発電所や送配電施設等の電力インフラの破壊と老朽化が進行した。2003年のイラク戦争終結以降,電力インフラの復旧は徐々に進捗しているものの,イラクでは16,000~18,000MW程度の需要に対して,約12,000MWの電力供給能力しかなく,1日に10時間以上の停電も珍しくない。不十分且つ不安定な電力供給は,暴動等の社会不安を惹起する一因となっているのみならず,医療や上下水道等の社会セクター開発及び産業の発展に対する重大な阻害要因ともなっている。

これらの現況に鑑み,本件で火力発電セクターのインフラ整備に係る支援を行うことで,同国の経済・社会的な発展を支援する。

イ 我が国の基本政策との関係

我が国の対イラクODAにおける重点分野として,(1)経済成長のための産業の振興と多角化,(2)経済基礎インフラの強化,(3)生活基盤の整備を挙げている。本計画は,(2)に該当する。

(2)効率性

発電所運営維持管理や送配電整備等電力分野における研修のほか,技術者の知識・技術を更新するため,メーカーによる技術移転トレーニングが事業内容に含まれており,円借款の開発効果を一層増大させることを目指す。

(3)有効性

電力が不足するイラクの電力需要に対して,バスラ県で最大級の火力発電所の改修を行うことにより,同国の安定的な電力供給の実現及び発電効率の向上につながることが期待される(最大出力:140MW(2013年実績)→200MW(完成2年度(2020年)見込み)。さらに,イラクの経済・社会の発展を通じた我が国との二国間関係の強化が期待される。

3 事前評価に用いた資料,有識者等の知見の活用

要請書,国際協力機構環境社会配慮ガイドライン(http://www.jica.go.jp/environment/guideline/他のサイトへ),その他国際協力機構より提出された資料。

案件に関する情報は,交換公文締結後公表される外務省の約束状況に関する資料及び案件概要(http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/data/zyoukyou.html),借款契約締結後公表される国際協力機構のプレスリリース(http://www.jica.go.jp/press/index.html他のサイトへ)及び事業事前評価表 (http://www.jica.go.jp/activities/evaluation/before.html他のサイトへ)を参照。

なお,本案件に関する事後評価は実施機関である国際協力機構が行う予定。

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