広報・資料 報告書・資料

政策評価法に基づく事前評価書

評価年月日:平成26年11月18日
評価責任者:国別開発協力第二課長 花尻 卓

1. 案件概要

(1)供与国名

インド

(2)案件名

グワハティ下水道整備計画

(3)目的・事業内容

インド北東部のアッサム州グワハティ市において,下水道施設を整備することにより,安定的な下水道サービスの提供を図り,もって同地域の住民の衛生・生活環境の改善に寄与するもの。

(ア) 主要事業内容

  1. 下水処理場,下水幹線,ポンプ場, 下水枝管,取付管等の建設・敷設
  2. コンサルティング・サービス

(イ) 供与条件

供与限度額 金利 償還(うち据置)期間 調達条件
156.20億円 0.30% 40(10)年 一般アンタイド

(注)金利は,優先条件(環境)(固定・基準)を適用。コンサルタント部分は金利0.01%を適用。

(4)環境社会配慮,外部要因リスクなど留意すべき点

(ア)EIA(環境影響評価)

影響を及ぼしやすいセクター・特性及び影響を受けやすい地域に該当せず,環境への望ましくない影響は重大でないと判断される。

(イ) 用地取得

本計画に伴い,ポンプ場建設のため2.7haの用地取得が見込まれており,JICAガイドライン,インド国内法及び実施機関が定める補償方針に従い手続が進められる。なお,住民移転は伴わない見込みである。

(ウ) 外部要因リスク:特になし。

2. 資金協力案件の評価

(1)必要性

(ア) 開発ニーズ

インドでは,都市部への急激な人口流入や工業化により,下水処理能力を超過した汚水が排出され,河川や土壌,地下水の水質汚濁等の問題が生じており,インド政府も,国家衛生政策(2008年度)及び第12次5か年計画(2012年4月~2017年3月)において,都市部全人口への下水道・衛生施設の提供を目標として掲げている。アッサム州グワハティ市は人口約120万人のインド北東州最大の都市であるが,同市では下水道施設が整備されておらず,例えば,生物化学的酸素要求量(BOD)が,市内の一部排水路において,インドの放流基準(20mg/L)を大幅に上回る90mg/Lとなる等,河川等の水質汚濁が進んでいる。今後も,同市で上水利用量が増加するのに伴い,汚水量の増加が見込まれる。以上の現況から,下水道施設の早急な整備が強く求められており,本計画のニーズは大きい。

(イ) 我が国の基本政策との関係

2006年6月に策定された「国別援助計画」においては,今後の対インドODAの重点目標として,(a)経済成長の促進(「経済成長を通じた貧困削減」を追求するためのインフラの整備等),(b)貧困・環境問題の改善及び(c)人材育成・交流拡大(強固な二国間関係の構築を念頭)を掲げている。本計画は,対象地域住民の衛生環境の改善という観点から,同国の貧困・環境問題の改善に資する案件として上記(b)に合致するものである。

(2)効率性

コンサルティング・サービスの支援を通じて,事業実施機関の運営・維持管理能力の強化を図るとともに,住民の支払い意思・能力を把握した上で,現実的な料金体系を策定し,必要な法制度の整備や下水管の戸別接続推進のため市民に対する広報・啓発活動等を実施することで,事業の効率性向上を図る。

(3)有効性

本計画の実施により,対象地域であるグワハティ市において,安定的な下水道サービスの提供を図り,同地域の住民の衛生・生活環境の改善に寄与することが期待される。運用・効果指標として,汚水処理人口(完成2年後(2024年)見込み:54万6千人),下水道接続率(同:50%),汚水処理施設能力(同:18万7千m3/日)等を設定している。

3. 事前評価に用いた資料,有識者等の知見の活用

要請書,インド国別評価(http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/shiryo/hyouka/kunibetu/indo.html),国際協力機構環境社会配慮ガイドライン(http://www.jica.go.jp/environment/guideline/index.html他のサイトへ),その他国際協力機構より提出された資料。

案件に関する情報は,交換公文締結後公表される外務省の約束状況に関する資料及び案件概要(http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/data/zyoukyou.html),借款契約締結後公表される国際協力機構のプレスリリース(http://www.jica.go.jp/press/index.html他のサイトへ)及び事業事前評価表 (http://www.jica.go.jp/activities/evaluation/before.html他のサイトへ)を参照。

なお,本案件に関する事後評価は実施機関である国際協力機構が行う予定。

このページのトップへ戻る
目次へ戻る