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政策評価法に基づく事前評価書

評価年月日:平成27年2月27日
評価責任者:国別開発協力第二課長 花尻 卓

1. 案件概要

(1)供与国名

ホンジュラス

(2)案件名

カニャベラル及びリオ・リンド水力発電増強計画

(3)目的・事業内容

ホンジュラス北西部のコルテス県において,既設のカニャベラル及びリオ・リンド両水力発電所を改修・増強することにより,同国の再生可能エネルギーによる発電能力を維持・増強し,同国における安定的かつ比較的安価な電力供給を確保し,これを通じて同国の持続的な経済成長及び気候変動の緩和に寄与するもの。

(ア) 主要事業内容

  • (1)水力発電所の改修及び増強
  • (2)コンサルティングサービス

(イ) 供与条件

供与限度額 金利 償還(うち据置)期間 調達条件
160億円 0.3% 40(10)年 一般アンタイド

(注)コンサルタント部分は金利0.01%を適用。

(4)環境社会配慮,外部要因リスクなど留意すべき点

(ア)EIA(環境影響評価)

本計画は「国際協力機構環境社会配慮ガイドライン(2010年4月公布)」に掲げる水力発電セクターに該当し,同ガイドラインに掲げるカテゴリBに該当する。ホンジュラス国内法上,本計画の環境影響評価報告書(EIA)の作成は義務付けられていないが,実施機関は,2012年10月に同国天然資源環境省から本計画に係る環境ライセンスを取得済み。

(イ) 用地取得

本計画は既存発電所内で実施されるため,用地取得及び住民移転は伴わない。

(ウ) 外部要因リスク

本計画の工事中に解体される機器には,一部アスベスト及びPCBが含まれるが,同汚染物質の処理はホンジュラスで定められる処理方法に則り実施し,同国内の排出基準を満たす見込み。

2. 資金協力案件の評価

(1)必要性

(ア) 開発ニーズ

平成26年1月に発足したエルナンデス政権は,同年7月に電力セクター改革法を施行し,電力公社(ENEE)の組織改革や送配電ロス削減等によるENEEの財務状況改善に取り組んでいる。また,前政権が掲げた「国家ビジョン2010-2038」及び「国家計画2010-2022」を引き継ぎ,割高な電力購入計画からの脱却を進め,電源構成における再生可能エネルギーの割合を2022年までに80%に引き上げることを目標として掲げている。

(イ) 我が国の基本政策との関係

平成24年4月策定の対ホンジュラス国別援助方針においては,「地方活性化施策を中核とした持続的な社会経済開発への支援」を援助の基本方針(大目標)とし,(i)地方開発及び(ii)防災対策を重点分野(中目標)として設定している。本計画は,地方開発による社会経済開発への支援に対応したものであり,我が国の基本政策に合致する。

(2)効率性

本計画は,米州開発銀行(IDB)とJICAとの「中米・カリブ地域における再生可能エネルギー及び省エネルギー分野向け協調融資スキーム(COREスキーム)」を通じた協調融資として実施するものであり,円借款では発電設備,IDB融資では変電設備の整備を分担することにより,目的の効率的な達成を図る。

(3)有効性

本計画の実施により,ホンジュラスの再生可能エネルギーによる発電能力が維持・増強されることを通じ,同国の安定的かつ比較的安価な電力供給が確保され,もって持続的な経済成長に寄与することが期待される。また,本計画は再生可能エネルギーによる発電能力の増強を図るものであり,温室効果ガス(GHG)の排出削減(年2.1万トン)による気候変動の緩和効果が期待される。

3. 事前評価に用いた資料,有識者等の知見の活用

要請書,国際協力機構環境社会配慮ガイドライン(http://www.jica.go.jp/environment/guideline/index.html他のサイトへ),その他国際協力機構より提出された資料。

案件に関する情報は,交換公文締結後公表される外務省の約束状況に関する資料及び 案件概要(http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/data/zyoukyou.html),借款契約締結後公表される国際協力機構のプレスリリース(http://www.jica.go.jp/press/index.html他のサイトへ)及び事業事前評価表 (http://www.jica.go.jp/activities/evaluation/before.html他のサイトへ)を参照。

なお,本案件に関する事後評価は実施機関である国際協力機構が行う予定。

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