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政策評価法に基づく事前評価書

評価年月日:平成26年5月22日
評価責任者:国別開発協力第二課長 花尻 卓

1 案件概要

(1)供与国名

バングラデシュ人民共和国

(2)案件名

包括的中核都市行政強化計画

(3)目的・事業内容

対象5中核都市において,都市インフラの整備と行政官への研修・技術指導等を行うことにより,同中核都市の都市環境の改善と行政サービスの向上を図り,対象都市の経済発展及び住民の生活向上に寄与するもの。

ア 主要事業内容

  • 土木工事(都市インフラ整備)
  • 行財政能力改善 (都市計画改善,徴税能力向上等に係る研修)
  • 実施体制強化(車両調達等)
  • コンサルティング・サービス

イ 供与条件

供与限度額 金利 償還(うち据置)期間 調達条件
306.90億円 0.01% 40(10)年 一般アンタイド

(4)環境社会配慮,外部要因リスクなど留意すべき点

ア EIA(環境影響評価):100メートル以上の橋梁や高架橋建設を含むサブプロジェクトはバングラデシュ国内法上,環境影響評価(EIA)報告書作成が義務付けられているため,環境森林省環境局より承認を得た後,工事を開始する。

イ 用地取得及び住民移転:特になし。

ウ 外部要因リスク:特になし。

2 資金協力案件の評価

(1)必要性

ア 開発ニーズ

バングラデシュでは,急激な都市化が進む一方で,道路や排水溝,廃棄物処理施設等の都市インフラの整備が追いついておらず,著しい交通渋滞や住環境の質の低下,騒音や大気汚染等の公害等の深刻な都市問題が発生している。特に,近年発展した中核都市は,面積や人口の拡大に伴い多様な開発ニーズが生じており,域内発展の中核地点として役割を果たすために,包括的な都市開発及び行政能力の強化が課題である。

バングラデシュ最大の商業都市チッタゴン市及び2011年以降に新設された4中核都市は,水路・陸路交通の中継地として重要性が高く,加速する都市化に対応し,さらなる産業集積と経済成長を促進するためには,インフラ整備及び自治体強化を通じたビジネス環境整備に資する都市開発が急務となっている。

バングラデシュの国家開発戦略「第6次五か年計画」(2011/12-2015/16 年度)では,都市の均衡のとれた発展のためには,都市インフラ整備による雇用創出,産業育成等の基盤整備が重要であるとしている。また,関係機関の調整等や都市管理メカニズムの構築を目標とする“シティ・ガバナンスの向上”に重点を置いている。

イ 我が国の基本政策との関係

バングラデシュの人口の約3割が依然として貧困状態にあり,運輸等の基礎的な経済インフラが絶対的に不足していること等の開発ニーズを踏まえ,2012年6月に策定された「国別援助方針」においては,今後の対バングラデシュODAの重点目標として,(a)中所得国化に向けた,全国民が受益可能な経済成長の加速化,(b)社会脆弱性の克服を掲げている。本計画は,地方の中核都市の都市環境の改善と行政サービスの向上による都市開発の観点から,上記(b)に合致した支援となっている。

(2)効率性

複数のセクターで多数のサブプロジェクトが実施されるような案件では,適切な実施体制・案件管理体制・モニタリング体制が確立される必要があるとの過去の類似案件の事後評価結果を踏まえ,コンサルタント等の支援を受けつつ,事業対象都市ごとに管理・モニタリングを行い,実施機関(地方行政技術局) が一元的にとりまとめる体制を構築する。また,中核都市に係る法制度面等を強化するための円借款附帯「中核都市機能強化プロジェクト」及び各対象都市の都市計画能力強化を図るための都市計画アドバイザーの投入を予定。

(3)有効性

急激な都市化が進む一方で,都市インフラの整備が追いついておらず,深刻な都市問題や多様な開発ニーズを抱えている対象5中核都市において,これらの都市が域内発展の中核地点として役割を果たすために,都市環境の改善と行政サービスの向上を支援し,都市部の経済発展及び住民の生活向上に貢献することが期待される。

3 事前評価に用いた資料,有識者等の知見の活用

バングラデシュ政府の要請書,バングラデシュ国別評価報告書(2009年度),国際協力機構環境社会配慮ガイドライン(http://www.jica.go.jp/environment/guideline/index.html別ウィンドウで開く),その他国際協力機構より提出された資料。

案件に関する情報は,交換公文締結後公表される外務省の約束状況に関する資料及び案件概要(http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/data/zyoukyou.html),借款契約締結後公表される国際協力機構のプレスリリース(http://www.jica.go.jp/press/index.html別ウィンドウで開く)及び事業事前評価表 (http://www.jica.go.jp/activities/evaluation/before.html別ウィンドウで開く)を参照。

なお,本案件に関する事後評価は実施機関である国際協力機構が行う予定。

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