評価年月日:平成26年7月2日
評価責任者:国別開発協力第三課長 西永 知史
タンザニア連合共和国
ダルエスサラーム送配電網強化計画
本計画は,タンザニア・ダルエスサラーム市キノンドニ北地域及びイララ地域において,ダルエスサラーム市内の変電所の新設・増設・増強,送電線の増強及び配電線の新設並びにこれらに係る機材調達及び据付を実施するものである。電力需要の増加が著しい同市の両地域において送配電網の供給能力改善を図ることで,両地域の住民や社会・公共施設に対する電力供給の量及び質の向上に寄与することを目的とする。供与限度額は44億1,000万円である。
以下の事項がタンザニア連合共和国政府により実施される必要がある。
ア 本計画により整備された送配電網の維持管理を適切かつ継続的に実施すること。
イ 本計画開始前に,住民移転を含む環境社会への適切な配慮等を行うこと。
ア タンザニア国内における電力需要の伸びは,地方電化計画や経済活動の活発化の影響により,著しい勢いで拡大している。一方,タンザニア電力供給公社(TANESCO)が試験的に民営化された1992年から2006年までの間,ドナーを含む公的な支援が停滞し,電力設備の増設や既存設備の維持管理が行われなかった。このため,送配電・変電施設の老朽化や慢性的な過負荷状態が続き,それに伴う停電の頻発が経済・社会活動のボトルネックとなっている。
イ 特に,本計画の対象であるタンザニア第一の都市ダルエスサラーム市は,同国経済の中心であり,近年の経済成長に伴い電力需要も急増し,多くの配電・変電施設において過負荷状態が続いている。こうした中,同市西部に位置するキネレジ地区においては,新規発電所の整備が進められており,今後,同市内への電力供給の大幅な増加が見込まれている。そのため,同発電所から供給される電力を効率的に同市内に供給するためにも,送配電・変電施設の整備が急務である。
ア 本案件は,2002年に「タンザニア国主要都市配電設備リハビリテーション調査」において策定した「ダルエスサラーム送配電網マスタープラン」の一環として実施されるものである。日本側では必要最小限の設備の調達・据付を実施し,同時期にタンザニア側で調達・据付可能な機材については,タンザニア側の負担とし,タンザニア自身による継続した電力設備の運営・維持管理を助長するよう配慮することとする。
イ また,ダルエスサラームにおいて,世界銀行,アフリカ開発銀行及びフィンランドも送配電網の増強を支援しており,これらの支援とあわせ,安定的な電力供給の実現に向けた支援を効果的に実施することとする。
本件の実施により,以下のような成果が期待される。
ア 対象地域の裨益対象世帯数が増加する。(約750,000世帯(2012年)から約1,092,500世帯(本件実施完了3年後の2019年)に増加)
イ 安定した電力を供給することにより,対象地域の住民の生活環境が改善される。
ウ 病院やホテル,教会等の安定した運営が可能となり,対象地域の医療・教育サービス並びに経済・社会活動の活性化に寄与する。
(1)タンザニア連合共和国政府からの要請書
(2)JICAの協力準備調査報告書(JICAを通じて入手可能)