評価年月日:平成26年7月15日
評価責任者:国別開発協力第二課長 花尻 卓
タジキスタン共和国
ドゥシャンベ国際空港整備計画
本計画は,タジキスタンの首都であるドゥシャンベ国際空港において,航空保安機材の近代化及び貨物取扱施設の整備を実施し,航空機運航の安全性と貨物の処理能力向上を図ることで,同国の物流の円滑化に寄与するもの。
供与限度額は19億1,400万円。
以下の事項がタジキスタン共和国政府により実施される必要がある。
(1)本計画により整備された空港の維持管理を適切かつ継続的に実施すること。
(2)維持管理に必要な予算措置を行うこと。
(1)ドゥシャンベ国際空港では時折濃霧が発生するが,航空機を滑走路に誘導する計器着陸装置が,滑走路の一方向にしか設置されていない。そのため,航空便の欠航・遅延が多発していることから,安全運航に必要な航空保安機材を早急に整備する必要がある。また,建設後約50年が経過している国際貨物ターミナルビルも,老朽化が激しい上,設置されている機材は,貨物用X線検査装置2台と重量計のみである。温度管理や大型貨物を取り扱う機能を有する設備・機材がなく,同ビルで取扱い可能な貨物量・品目に制限があることから,陸路等,他の輸送手段による輸送を余儀なくされている。したがって,輸出コストが増大し,タジキスタン経済活性化の阻害要因となっている。
(2)以上に鑑み,タジキスタン政府は,2013年に策定した中期開発戦略「生活水準向上戦略:2013~2015」の中で,航空輸送の強化を掲げており,セクター開発戦略である「運輸セクター開発戦略」におけるセクター開発目標の一つとして,空港施設や航空管制システム等の整備を目指している。かかる背景の下,タジキスタン政府より我が国に対し,ドゥシャンベ国際空港整備支援の要請がなされた。
(3)本計画は,我が国がこれまでに無償資金協力・技術協力によりタジキスタンにおいて実施してきた,道路改修・道路維持管理能力強化等との相乗効果を図りつつ,物流改善による地域経済の活性化・安定化に寄与するものである。また,本年7月16日に予定されている「中央アジア+日本」対話外相会合(於:キルギス)において本件支援を表明することで,高い外交的効果が期待できる。
本計画は運営維持管理及びコスト縮減の観点から,機材の絞り込みを行い,タジキスタン国内で調達可能な機材を中心に調達を予定すると共に,スペアパーツの入手可能性や納入する企業のアフターサービス体制も確認することとしている。
本件の実施により以下のような成果が期待される。
(1)ドゥシャンベ国際空港が保有する空港保安機材の近代化により,航空機運航の安全性が向上し,同空港に着陸する全航空機が,高精度の計器着陸装置を用いた精密進入を実施しうる。
(2)ドゥシャンベ空港貨物取扱施設の整備により,同空港の貨物処理能力が向上し,同空港が取り扱う年間航空貨物量(3,258トン:2013年時点)が,2019年までに8,716トンに増加する事が見込まれる。
(1)タジキスタン政府からの要請書
(2)JICAの現地調査結果概要
(3)JICAの協力準備調査報告書(JICAを通じて入手可能)