広報・資料 報告書・資料

政策評価法に基づく事前評価書

評価年月日:平成26年4月10日
評価責任者:国別開発協力第二課長 花尻 卓

1. 案件名

1-1. 供与国名

タジキスタン共和国

1-2. 案件名

ハトロン州ピアンジ県給水改善計画

1-3. 目的・事業内容

ハトロン州ピアンジ県の対象村落(1町6村)における深井戸の新設,送排水施設の改修・新設・拡張及び維持管理用機材の供与。供与限度額は15億8,600万円。

1-4. 環境社会配慮,外部要因リスクなど留意すべき点

以下の事項がタジキスタン共和国政府により実施される必要がある。

ア 内陸国で実施するため,建設に必要な資機材が輸送ルート上の他国内で理由なく留め置かれないこと。

イ 先方政府及び住民負担による末端の接続管が目標時期までに整備されること。

2. 無償資金協力の必要性

2-1. 必要性

ア タジキスタンは,水資源が豊富な国であるものの,安全な水を利用できる人口は未だ限られており,都市部人口は94%が安全な水を利用できる一方,農村部人口ではこの割合が50%に留まる。その理由の一つは,既存の給水施設の大部分が旧ソ連時代に建設されたものであるため老朽化している上,同国独立後は維持管理が十分に行われていないことから,稼働していない施設が多いことにある。

イ 中でも,アフガニスタンと国境を接するハトロン州には,未給水人口が多く,同州の村落給水施設(全83施設)のうち,51施設(約60%)が稼働していない。特に,同州ピアンジ県(人口約100,000人)において安全な水を利用できる住民は,県人口比22%に限られる状況であることから,同県の給水施設整備が急務である。

2-2. 効率性

ア 対象地域は,当初要請のあったハトロン州ピアンジ県内の1町59村から,2012年10月に実施した「ハトロン州ピアンジ県における村落給水に係る情報収集・確認調査」の調査結果を踏まえ,事業規模及び先方の維持管理能力を考慮した結果,ピアンジ県の県庁所在地であるピアンジ町と隣接3村及びピアンジ町の北約5キロメートルに位置する3つの村の1町6村とした。
なお,併せて要請のあったピアンジ町の下水道施設の建設については,調査の結果,住民のニーズが低く,ピアンジ県としても給水を優先すべきとの意向であったことを踏まえ,実施しないこととした。

イ 水源は,深井戸の地下水とし,揚水試験等の現地調査の結果に基づいて,井戸1本当たりの能力と必要な本数を算定した。なお,井戸ポンプの運転時間は24時間とするが,北部3村は冬季(11月~3月)に計画停電が実施され,給電時間が1日10時間に制限されるため,給電時間内に1日の必要水量を揚水できる施設とした。

ウ 実施工程は,計画施設の規模や現地の気象条件等を十分に勘案して効率的な作業工程とし,クリティカルパスに基づく工期の設定を行う。対象サイトは12月~3月が厳冬期でコンクリートの打設が困難となることも考慮した工程とする。

2-3. 有効性

本件の実施により,以下のような成果が期待される。

ア 給水施設の整備・改善により,対象地域1町6村の住民約30,000人が安全な水を使用できる。

イ 対象地域はアフガニスタン国境付近に位置するため,本件実施により,アフガニスタン国境地域における民生の安定に対する貢献が期待される。

ウ 本件実施により安全な飲料水が確保されることから,我が国がタジキスタンのミレニアム開発目標(MDGs)達成(安全な飲料水および衛生施設を継続的に利用できない人々の割合を2015年までに半減)に寄与しうる。

3. 事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等

(1)タジキスタン共和国政府からの要請書

(2)JICAの準備調査報告書(JICAを通じて入手可能)

このページのトップへ戻る
目次へ戻る