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政策評価法に基づく事前評価書

評価年月日:平成26年6月10日
評価責任者:国別開発協力第二課長 花尻 卓

1 案件名

1-1 供与国名

ニカラグア共和国

1-2 案件名

「パソ・レアル橋建設計画」

1-3 目的・事業内容

ニカラグア北部マタガルパ県において,仮設橋の恒久橋への架け替えを行い,洪水時の交通途絶等の諸問題の解消を図るとともに,円滑で安全な物流と経済開発の促進に貢献する。供与限度額は15.21億円。

1-4 環境社会配慮、外部要因リスクなど留意すべき点

以下の事項がニカラグア共和国政府により実施される必要がある。

(1)本計画により整備される橋梁・取付道路の維持管理を適切かつ継続的に実施すること。

(2)関連活動に必要な人的手当及び予算措置を行うこと。

2 無償資金協力の必要性

2-1 必要性

(1)2007年1月に発足したニカラグアの現政権は,2009年に「国家開発計画」を策定し,同計画に基づき,交通・物流の中心である道路網の整備に取り組んでいる。同計画の戦略的政策・プログラムとして,「気候変動適応策による自然災害被害軽減」及び「生産性向上のための道路や橋梁等経済インフラ基盤の整備」が掲げられている。

(2)パソ・レアル橋は首都マナグアとニカラグア東北地域を結ぶ国道21B号線上に位置し,1998年のハリケーン・ミッチがもたらした河川の氾濫によって橋脚を含めて流失した。分断された交通復旧にあたっては迂回路がないため,従来の架橋位置から約300m上流に,コンテナを橋脚とした仮設橋が応急的に設置された。しかし,同仮設橋は幅員も狭く,脆弱な構造であるため,円滑で安全な交通が確保できていない。また,大雨による洪水時には仮設橋が水没し,通行が遮断される。

(3)このような状況から,ニカラグア政府は我が国に対して仮設橋から恒久橋への架け替えを要請するに至った。

(4)我が国は,対ニカラグア国別援助方針において,「経済の活性化に向けた基盤づくり」,「貧困層・地域における社会開発」,「環境保全と防災」を重点分野として定めており,本計画は,重点分野「環境保全と防災」及び「経済の活性化に向けた基盤づくり」の双方に合致する。

2-2 効率性

(1)耐候性鋼材の使用により,橋梁の維持管理費・塗装費等のコスト低減につなげるなど,ニカラグア側の運営・維持管理担当機関の維持管理能力・技術力・予算等にも配慮しつつ,適切に橋梁の構造等を選定した。

(2)架橋位置について,用地取得やプロジェクト実施に伴う住民移転が生じないよう,また河川の水流,洗掘等の観点から安全性確保のため,ハリケーンで落橋した旧橋の架橋位置と同位置とした。さらに,現在使用されている仮設橋と旧橋の位置が異なるため,迂回路の確保に要する用地取得も発生せず,安全性も確保される。

2-3 有効性

本計画の実施により、以下のような成果が期待される。

(1)仮設橋から恒久橋の架け替えにより橋梁の耐荷力が増大することから,通過可能な車両の重量が14トンから25トンに増大し,大型トレーラーの通行が可能となり,安定した物資輸送が確保され,幹線道路としての機能が強化される。

(2)同橋の架け替えにより,幹線道路の橋梁としての本来の機能が発揮され,車両の平均通行速度は現状の16.7km/hから25km/h程度に上昇することが見込まれる。また,河川増水時及び自然災害発生時の落橋及び通行遮断のリスクが軽減,災害発生時の通行が確保される。

(3)ニカラグア中央部からニカラグア東北地域(大西洋岸側)への物流が促進され,同地域の貧困削減,開発促進につながる。

3 事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等

(1)ニカラグア共和国政府からの要請書

(2)JICAの案件計画調書

(3)ニカラグア国別評価(http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/shiryo/hyouka/kunibetu/gai/nicaragua/kn07_01_index.html

(4)防災協力イニシアティブの評価 (http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/shiryo/hyouka/kunibetu/pdfs_2013/13_bousai_full.pdf別ウィンドウで開く

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