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政策評価法に基づく事前評価書

評価年月日:平成26年3月10日
評価責任者:国別開発協力第二課長 花尻 卓

1. 案件名

1-1 供与国名

ネパール連邦民主共和国

1-2 案件名

西部地域小水力発電所改善計画

1-3 目的・事業内容

本件計画は,基幹送配電系統に接続されていない事業対象地域において老朽化した既設の小水力発電所を改修するものである。これにより,村落地域の逼迫した電力需要への対応を図り,地域経済の発展,民生の向上に寄与することが見込まれる。

供与限度額は15億7,100万円。

1-4 環境社会配慮,外部要因リスクなど留意すべき点

特になし。

2. 無償資金協力の必要性

2-1 必要性

(1)ネパールは,豊富な水資源を有するにもかかわらず,水力発電に十分活用することができない等の要因により慢性的な電力不足に陥っており,国民一人当たりの年間販売電力量は115kWh(2011年)と世界でも最低レベルの水準にある。特に,村落地域の電化率は61%(2011年時点)と低いのに加え,西部及び極西部地域では約45%と更に低い。このような電力不足により,市民生活及び経済活動に大きな支障をきたしていることから,安定的な電力供給は喫緊の課題となっている。

(2)ネパール政府は,国家開発戦略である三ヵ年計画(2013/14~2015/16年度)において,電力を含む経済インフラ整備を優先分野として位置づけ,今後3年間で15,000kWの小水力発電による電源開発を実施し,村落地域における電力供給を行うこととしている。また,同政府は2009年に「再生可能エネルギー政策」を策定し,この中で基幹送電系統に接続していない村落地域の電力供給を行うには小水力発電が必要であるとの方針を示している。

(3)以上のとおり,村落地域における小水力発電による電力供給の改善を図る本件計画は,ネパール政府の開発政策に合致するものであり,実施の意義は大きい。

2-2 効率性

本件計画の効果を継続的に維持し,小水力発電所による電力供給が長期的に安定することを目的として,運転保守及び維持管理の技術支援(ソフトコンポーネント)に加え,維持管理の部品の調達に必要となる財務管理を適正に実施するために,財務諸表の作成および記録の技術支援も併せて行う。これにより,発電施設を長期間にわたって維持・管理できる体制を整えることが可能となるため,高い効率性が見込まれる。

2-3 有効性

本件計画の実施により,対象地域であるバジャン郡,バジュラ郡,ルクム郡において,以下のような成果が期待される。

(1)平均発電出力(それぞれ100kW,75kW,100kW)が200kWに増加することにより,一度に電力を供給できる世帯数が増え,電力需要が増加する夜間の照明も安定する。

(2)年間発電電力量(それぞれ810,000kWh/年,630,000kWh/年,780,000kWh/年)が1,704,000kWh/年となり,電力需要に対する供給量が増加するので,これまでに比べ急激な電圧・周波数の変動による電動機の故障が減少する。

(3)年間発電運転時間(それぞれ8,100h/年,8,400h/年,7,800h/年)が8,520h/年に増加することにより,停電の頻度が減少する。

3 事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等

(1)ネパール政府からの要請書

(2)JICAの協力準備調査報告書(JICAを通じて入手可能)

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