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政策評価法に基づく事前評価書

評価年月日:平成26年3月10日
評価責任者:国別開発協力第一課長 宮下 匡之

1.案件名

1-1.供与国名

ミャンマー連邦共和国

1-2.案件名

「シャン州ラーショー総合病院整備計画」

1-3.目的・事業内容

シャン州のラーショー総合病院において,病院施設及び機材を整備することにより,同病院の医療サービスの向上を図り,もって地域の中核病院としての機能強化に寄与することを目的とする。供与限度額は15.10億円。

1-4.環境社会配慮、外部要因リスクなど留意すべき点

案件完了後もミャンマー側による人員配置,予算措置等,適切な施設の維持管理が行われる必要がある。

2.無償資金協力の必要性

2-1.必要性

(1)ミャンマーの保健指標は近隣諸国と比較し,5歳未満児死亡率や妊産婦死亡率が高く,HIV,マラリア,結核等の感染症の有病率も高いレベルにある。疾病構造も,途上国において高い割合を示す感染症,周産期疾患に加え,疾病構造転換後の開発国に特徴的な生活習慣病,社会経済開発にともなう外傷が上位にあり,疾病の構造転換期にあり,途上国,開発国がそれぞれ抱える保健問題に対応していなかければならない二重の負荷状況に直面している。

(2)かかる状況の下,ミャンマーは国家保健計画(National Health Plan 2011-2016)において,病院ケアプログラムを策定し,病院パフォーマンス指標の改善,病院における死亡率の低減等に取り組んでいる。

(3)ミャンマーでは,全国を17の保健行政区に区分し,各保健行政区に保健局を設置している。保健・医療施設のレファラル体制は,「国立病院」,「州/地域総合病院」,「郡病院,タウンシップ病院」,「ステーション病院」及び「地域保健所」となっており,タウンシップ以下の保健施設において基礎保健サービス(一次医療及び二次医療),病院(都市部のタウンシップ病院含む)において治療サービス(二次医療,三次医療)を提供している。

(4)このうち,少数民族が居住する州の総合病院は,地域の中核病院として重要な役割を担いながらも,施設・機材の老朽化などにより十分な病院機能を果たせていない状況にある。このため,地域住民に対する適切な保健医療サービスを提供するためには,医療施設・機材の整備が喫緊の課題となっている。

(5)ラーショー総合病院は,保健行政区の中でも特に診療人口が多いが(約180万人),1940年代に開設された病院で施設と医療機器の老朽化が著しく,保健行政区の中核病院としての機能が十分に確保できておらず,整備が必要な状況にある。

2-2.効率性

(1)施設については,ミャンマー保健省発行の病院管理マニュアル(2011年発行)等 に基づき,州レベルの総合病院に求められる一般外来・専門外来診療サービスが提供可能となるよう設計を行う一方,現在の診療実績に基づき必要諸室を選定の上,面積を決定し,過大な施設とならないよう設計した。

(2)機材については,対象病院の位置づけ,現有機材の状況,技術水準,財務負担能力,交換部品及び消耗部品の入手可能性等を総合的に勘案し,州レベルの総合病院としての機能,活動に合致し,効率的に維持管理が可能な機材を選定した。

2-3.有効性

本計画の実施により,以下のような成果が期待される。

(1)敷地内に分散された施設が適正に配置され,機材が整備されることで,効率的で質の高い医療サービスの供給が可能になる。具体的には,外来患者数(延べ人数)が,31,719人(2012年)から,36,600人(2020年,目標値)まで増加することが期待される他,入院患者数(2012年の13,745人から,2020年の16,700人(目標値))の増加等が期待される。

(2)医療サービスの向上により,これまで対応が不可能であった患者の受け入れが可能となるなど,シャン州の中核病院としての機能が強化され,レファラル体制の適正化に貢献する。具体的には,下位医療機関から同病院への搬送数が,2012年の184回から,完成後には360回(2020年,目標値)に達することが期待される。

3.事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等

(1)JICAの協力準備調査報告書(JICAを通じて入手可能)

(2)ミャンマー政府の要請書

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