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政策評価法に基づく事前評価書

評価年月日:平成26年10月2日
評価責任者:国別開発協力第三課長 西永 知史

1. 案件名

1-1. 供与国名

ギニア共和国

1-2. 案件名

「コナクリ市中部高台地区飲料水供給改善計画」

1-3. 目的・事業内容

本事業は,コナクリ市において特に給水対象人口増加の著しい中部高台地区(シンバヤ地区,コロマ地区,カルム地区)への送水能力増強を実施することにより,中部高台地区における給水需要への対応を図り,他地区との給水格差を是正にすることを目的とする。供与限度額は13.19億円。

1-4. 環境社会配慮,外部要因リスクなど留意すべき点

(1)本事業は,「国際協力機構環境社会配慮ガイドライン」(2010年4月公布)に掲げる影響を受けやすい地域に該当しない。工事中におけるモニタリングは施工業者が実施し,供与開始後はギニア水道公社(SEG)が実施する。

(2)送水管敷設,深井戸掘削,公共水栓設置のための用地取得が,ギニア政府により実施される必要がある。

(3)2015年末に大統領選が予定されているが,同選挙期間中に大幅な治安悪化や行政機能の停止が発生しないこと。

(4)エボラ出血熱の流行が収束し,邦人退避措置が解除されること。

2. 無償資金協力の必要性

2-1. 必要性

(1)ギニアでは,安全な飲料水を安定的に供給するための施設整備が遅れており,首都コナクリ市においても,水供給量は首都への人口集中に起因した需要の増加に対応できていないことから,これまで我が国の無償資金協力等の支援を受けながら市内の水道施設の整備を進めてきた。コナクリ市の給水対象人口は更に拡大しており,2003年時点で124万人と推定されていたが,急速な地方都市からの人口流入,人口増加,給水サービス地域の拡大などもあり,現在は約270万人にも達するとされている。このため,施設整備が需要に追いついておらず,2012年における給水率は,新しく拡大したコナクリ市郊外の給水範囲を加えれば46%と低いレベルに留まっている。

(2)コナクリ市の水需要は294,000m3/日であるが,既存の全施設の公称能力は浄水場,井戸,湧水施設を含めて166,000m3/日しかなく,施設老朽化による損失水量を考慮すると需要の半分も満たされないこととなる。特にコナクリ市中部の高台地区における給水対象人口は著しく増加しており,高台地区の1人1日平均給水量は,低地の約30%程度しか確保されておらず,地域間での給水格差が深刻な問題となっている。住民の給水需要の充足に向けた早急な対応が求められている。

(3)ギニア政府は2013年に策定した貧困削減戦略書(PRSP)において,コナクリ市における安全な水の給水率を2015年までに92.8%とすることを目標としており,本事業は,上記目標達成に資する案件として位置づけられ,必要性が認められる。また,かかる深刻な事態を受けてギニア政府により2014年1月に策定された「コナクリ市飲料水供給改善緊急計画」の中でも本事業の内容について明確に言及されており,緊急性が認められる。

2-2. 効率性

(1)首都飲料水供給改善計画フォローアップ協力において,破断・漏水緊急対応マニュアル整備,復旧用資材調達,自動緊急停止バルブ設置等を実施しており,本事業の安全対策と連携を行うことにより,事業効果を高めることとしている。

(2)本事業準備調査及びフォローアップ協力と連携しつつ,個別専門家(担当分野:送配水施設維持管理,派遣期間:2014年6月~2015年3月)が漏水及び無収水対策を活動中。

2-3. 有効性

(1)中部高台地区配水区域への給水量(m3/日)が基準値(2013年実績値)である22,610から目標値(2019年)40,603にまで改善される。

(2)中部高台地区の1人1日あたりの平均給水量(リットル)が基準値(2013年実績値)である21.1から目標値(2019年)31.7にまで改善される。

(3)域内住民の水運搬労働にかかる時間の削減と安定した水供給が可能になる。

3. 事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等

(1)ギニア政府からの要請書

(2)JICA事業化調査報告書(JICAを通じて入手可能)

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