評価年月日:平成27年2月23日
評価責任者:国別開発協力第二課アフガニスタン支援室長 大久保 武
アフガニスタン・イスラム共和国
災害リスク管理能力強化計画(IOM連携)
本計画は,アフガニスタンの特に災害リスクの高い10県において,一元化された災害管理情報システムの構築,コミュニティベースの災害リスク管理体制の構築及び防災インフラ(堡塁)の整備を行うことにより,国・県・郡及びコミュニティレベルにおける災害リスク管理と対応能力の向上を図り,同国の持続的・自立的発展及び平和の定着に寄与するもの。供与額は12億円。
以下の事項がアフガニスタン政府により実施される必要がある。
ア 円滑な事業実施のため,今後アフガニスタンの治安状況が著しく悪化しないこと。
イ 案件実施に際し,アフガニスタン国家災害管理庁等の積極的な関与を促すとともに,案件完了後もアフガニスタン側で適切な維持管理がなされること。
ア アフガニスタンは,多種多様な自然災害が頻発する高い災害リスクを抱えており,毎年平均25万人が自然災害の被害を受け,また,2008年以降の統計によれば,年平均23,000人以上が災害により避難生活を余儀なくされている。
イ アフガニスタンは,高い災害リスクを抱える一方で,中央・県・郡レベルの行政能力及び連携の不足,一元的な災害関連情報システムの欠如,現地コミュニティや住民の災害及び防災に対する意識の低さなど,災害への備えや対応能力が不十分なため,大規模な被害が発生しやすい状況にある。
ウ 同国は,人口の約75%が農業に従事し,人口の1/3が貧困ライン(1日1.25ドルの生活)以下にあり,また食糧安全保障の面でも脆弱という厳しい状況にある。災害が,農地や住民の生計,生活環境に及ぼす被害により,住民の貧困状況や生活環境が更に悪化するという悪循環に陥っており,これらはコミュニティの不安定化に繋がる一因にもなっている。
エ このため,同国の開発支援において,災害発生時の緊急人道支援のみならず,防災・減災の観点からの包括的な災害対策が喫緊の課題となっている。
オ かかる状況を踏まえIOM及びアフガニスタン政府は,同国の特に災害リスクの高い10県において,一元化された災害関連情報のシステム構築,コミュニティベースでの災害リスク管理体制の強化,防災インフラ(堡塁)の整備を通じ,国・県・郡及びコミュニティレベルにおける災害リスク管理と対応能力の強化に向けた取組を実施することとし,我が国に対し支援を要請してきたものである。
治安リスクが高く,広範囲にわたる支援が困難なアフガニスタンにおいて効果的な支援を行うためには,アフガニスタン政府関係省庁並びに現地コミュニティと協力して,被災者支援やコミュニティの災害リスク削減支援を行った実績と経験を有するIOMとの連携が効率的である。
本件の実施により,以下のような成果が期待される。
ア 自然災害情報管理システムの整備,アフガニスタン国家災害管理庁(ANDMA)職員約50名及び県・郡レベルの関係者約100名に対する研修を通じ,10県における災害関連情報の一元的な管理体制が構築される。またウェブサイトを通じ,同国国民が災害関連情報を入手できるようになり,国民の災害への備え及び防災に対する知見が向上する。
イ 10県の災害リスクが高い約50のコミュニティにおいて,コミュニティベースの災害リスク管理体制と防災計画が整備され,活動の中心となる住民約500名に対する研修が実施されるとともに,防災インフラが整備されることにより,対象コミュニティの住民約140,000名の生命や生活環境が保護され,災害に強いコミュニティづくりに資する。
ウ 自然災害による被害が軽減され,同国の貧困状況の改善,コミュニティの安定化に資する。/p>
(1)アフガニスタン政府からの要請書
(2)IOMからの要請書