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パキスタンに対する円借款に関する書簡の交換について

平成26年6月4日

  1. 本4日(現地時間同日),パキスタン・イスラム共和国の首都イスラマバードにおいて,我が方猪俣弘司駐パキスタン大使と先方ヤスミン・マスード財務・歳入・経済・統計・民営化省経済担当次官補(Ms. Yasmin Masood, Additional Secretary to the Government of the Islamic Republic of Pakistan, Ministry of Finance, Revenue, Economic Affairs, Statistics and Privatization, Economic Affairs Division)との間で,50億円を限度とする円借款「電力セクター改革プログラム」に関する書簡の交換が行われました。
  2. 対象案件の概要

    (1)パキスタンでは,電力料金の未払いや送配電ロス等により,発送電事業者がコストを回収できないため,設備稼働率が低下し,その結果,長時間の停電が発生しています。また,電力料金に対する過度な補助金が財政を圧迫する一因になっています。このような,電力セクターの構造的問題が,財政収支の悪化,経済成長の圧迫要因となっています。昨年5月に誕生したシャリフ新政権は,「国家電力政策2013」を昨年7月に策定し,電力セクター改革を喫緊の課題と位置づけて取り組んでいます。

    (2)これを受け,我が国としても,パキスタンの電力セクター改革努力を支援するべく,アジア開発銀行(ADB),世界銀行との協調融資により本件円借款を供与することを決定しました。我が国が世界銀行,ADBと共同で策定した電力セクター改革プログラムには,(ア)電力料金と補助金の設定,(イ)発電コストの縮小,(ウ)説明責任と透明性の向上の各分野において達成すべき具体的な政策目標が設定されています。本件円借款は,その達成を供与のための条件とするものです。本プログラムの実施により,電力セクター改革が促進されるとともに,財政の改善,経済活動の活性化が期待されます。

    (3)我が国は,これまでもパキスタンの電力セクターにおいて,発電施設の建設,送変電システムの整備及び維持管理能力強化等の支援を実施してきました。多くの人口を抱え,市場としての高い潜在性を有するパキスタンにおいては,引き続き,電力セクターの開発ニーズが高くなると予想されています。我が国は,電力セクター改革プログラムに対するパキスタン政府の継続的な取り組み及びその進捗状況を注視しつつ,国際社会とも歩調を合わせながら,今後とも,適切なタイミングで必要な支援を実施していく考えです。

  3. 供与条件

    (1)金利:円LIBOR-10bp
    (2)償還期間:30年(10年の据置期間を含む。)
    (3)調達条件:一般アンタイド


(参考)

  • パキスタン・イスラム共和国は,面積約79.6万平方キロメートル,人口1億8,435万人(2012/2013年度,パキスタン経済白書),1人当たりのGNI(国民総所得)1,260米ドル(2012年,世界銀行)です。
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