地球環境

国際衛生年フォローアップ会議
(概要と評価)

平成22年1月29日

(写真)
写真:国連「水と衛生に関する諮問委員会」事務局

1.概要

(1)1月26~27日、日本政府、アジア開発銀行及び国際連合大学との共催により、国際衛生年フォローアップ会議が、国際連合大学において開催された。本会議には、国際機関や我が国を含む17カ国の政府及び関係団体から有識者が参加し、「国際衛生年を超えて~世界の隅々まで持続可能な衛生サービスを供給するために~」をテーマに、衛生に関するミレニアム開発目標(MDGs)達成をはじめとする衛生問題の解決に向けた重要な課題について議論が行われた。

(2)MDGsの水と衛生分野における現状としては、「安全な飲料水へのアクセス」という目標達成に向けた取組が進展している一方で、「基礎的な衛生施設へのアクセス」という目標の進捗は大きく遅れている状況にある。我が国が主導して、国連の場で定められた「2008年国際衛生年」は、多くの国、機関、市民による、より良い衛生に向けた議論と行動を促進することにより、この状況に前向きな変化をもたらした。本会議は、国際衛生年の取組を踏まえて、今後取り組むべき課題や方向性について共通認識を得るとともに、今後の国際社会での意思決定への示唆を与えることを目的とした。

(3)初日に行われた開会式には、国連「水と衛生に関する諮問委員会」名誉総裁として皇太子殿下が御臨席になり、皇太子殿下は、衛生問題の解決に向けてあらゆる団体や人々が協力し、共に行動することが重要である旨、お言葉を述べられた。また、主催者を代表して福山外務副大臣及びパライル国連大学副学長より挨拶が、潘国連事務総長からのビデオメッセージの上映及びステルツァー国連事務次長補より挨拶があった。引き続き行われた全体会合では、アジア、アフリカ及び中南米における動向並びにインドネシア、ネパール、エチオピア及びコロンビアより国際衛生年の成果が報告された。

(4)その後2日にわたり行われた課題別セッションでは、「地域社会と衛生」、「適正な衛生技術」、「衛生の資金調達」に焦点を当て、有識者からのプレゼンテーション及び活発な議論が行われた。

(イ)「地域社会と衛生」セッションにおいては、衛生を社会に根付かせるための政策レベル及び地域レベルの取組について事例が紹介され、衛生投資の拡大に向けたリーダーシップに加えて、個人レベルの行動様式の変化の必要性が共有された。

(ロ)「適正な衛生技術」セッションにおいては、地域に合わせた衛生技術の適用に関する事例が紹介され、我々が活用可能な様々な解決策に関する認識が深まった。我が国を代表し、滝沢東京大学教授より衛生システムの選択に関する我が国の歴史と経験が紹介され、参加者の興味と関心を引いた。

(ハ)「衛生の資金調達」セッションにおいては、衛生への資金動員に関する事例が紹介され、国による投資の拡大、コストの回収と民間参画に対する障壁の解消、家庭やコミュニティによる投資の促進についての知見が共有された。

2.評価

(1)本会議では、衛生に関するMDGの達成に向け、国レベルからコミュニティレベルまでの衛生に関する多くの成功例が紹介されるとともに、MDGs達成期限の2015年に向けて今後5年間でそのための取組を加速させるための提言がとりまとめられ、これを広めていくことが議長サマリー(別添(英文)(PDF)PDF)において確認された。

(2)我が国としても、本会議で得られた成果を受けて、MDGs達成を始めとする国際社会の効果的な問題解決に引き続き貢献していく。


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