地球環境

国連気候変動枠組条約第18回締約国会議
閣僚級非公式準備会合(プレCOP)
(概要)

平成24年10月23日

1.会合の概要

(1)日程・場所

 10月22~23日 於:韓国・ソウル

(2)出席者等

  • 参加国:約40の国及び地域
  • 共同議長:ユ・ヨンスク韓国環境部長官,アティーヤ・カタール行政監督庁長官
  • 日本:生方環境副大臣,石井外務省地球規模課題審議官,赤石経済産業省大臣官房審議官 他

2.議論の概要

(1)総論

  • 本年末にカタール・ドーハで行われる国連気候変動枠組条約第18回締約国会議(COP18)における議論の進め方や目指すべき成果について閣僚レベルで率直かつ自由な意見交換が行われた。
  • 具体的には,「条約の下での長期的協力の行動のための特別作業部会(AWG-LCA)」及び「京都議定書の下での附属書I国の更なる約束に関する特別作業部会(AWG-KP)」の作業終了に向けた道筋,「強化された行動のためのダーバン・プラットフォーム特別作業部会(ADP)」での2020年以降の将来枠組みに向けた作業の進め方について議論が行われた。
  • 共同議長から,今回の会合は交渉を行ったり何らかの決定を目指したりするものではなく,自由な意見交換をする場であるとの説明があった。

(2)COP18の成果

  • COP18においては,AWG-LCA及びAWG-KPの作業を終了させること,ADPについては,2020年以降の将来枠組みの構築に向けた具体的な議論の基礎を整え,明確な方向性を決定することが重要な成果になるとの認識が共有された。また,パッケージとして3つの作業部会においてバランスの取れた成果が必要である点や京都議定書の第二約束期間の設定はCOP18の成果の一部として不可欠である点を指摘する国も見られた。
  • 我が国からは,COP18で目指すべき成果は,昨年のCOP17での合意を前に進め,「2015年の新しい法的枠組みに関する合意に向け,交渉の基礎的なアレンジメントを整えた」との明確なメッセージを世界に発信することであり,そのためには,AWG-LCA及びAWG-KPを終了させること,ADPの作業計画を策定し,来年以降のADPにおける交渉の段取りについて認識を共有することの2点を達成することが重要である旨主張した。

(3) AWG-LCA及びAWG-KPの成果

  • AWG-LCAについては,COP17決定でマンデートを付与され,具体的な成果が見込める分野に注力すべきとの主張がなされる一方,合意された成果が得られなければAWC-LCAの終了が難しくなるとの主張や,残された課題について議論を継続する場を検討・整理するべきとの意見が出された。
  • AWG-KPについては,京都議定書の第二約束期間の設定に必要な改正に合意することが不可欠であり,そのために第二約束期間の期間や法的空白を避けるための技術的手法等について解決策を見いだす必要があるとの議論が展開された。

(4)2020年までの野心レベルと低炭素成長戦略

  • 多くの国から,各国の排出削減の取組を一層野心的なものにする必要性が指摘され,各国のベストプラクティスを共有し,各国がそれぞれの状況に応じた取組を積極的に進めるべきであるとの認識が共有された。また,国連気候変動枠組条約の外で行われている様々なイニシアティブを総動員して,緩和努力を最大化することの重要性が強調された。
  • 我が国からは,再生可能エネルギーの固定価格買取制度の導入や地球温暖化対策のための税の創設,再生可能エネルギーや省エネの拡大等の国内の取組とともに,東アジア低炭素成長パートナーシップ対話の開催や二国間オフセット・クレジット制度の推進等の国際的な取組を紹介した。

(5)将来枠組み

  • 将来枠組みのあり方として,全ての国の参加を確保することが重要であり,そのために各国の国内事情に基づいて,排出削減に関する潜在能力を最大化することが可能となるようなインセンティブを含む,柔軟かつ公平な枠組みを構築する必要性が認識された。
  • 各国からはボトムアップとトップダウンを組み合わせたアプローチが必要であること,全ての国が義務を負うがその内容は各国の事情に応じて差異化されるべきであること,将来枠組みは,条約策定時の1992年からの社会・経済状況の変化を踏まえ,現実を反映したダイナミックなものであるべきこと,「共通だが差異ある責任」や「衡平性」等の条約の原則がきちんと反映されるべきであること等の意見が出された。

(6)その他

  • 中国,豪州,英国,ニュージーランドとそれぞれ二国間会談を行い,交渉の現状,COP18に期待する成果,気候変動分野における二国間協力などについて意見交換を行った。
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