地球環境

エネルギ-と気候に関する主要経済国フォ-ラム(MEF)第13回会合
(概要)

平成24年4月17日

1.日程・場所

4月17日,ローマ

2.参加国

  1. (1) 17か国(日,米,英,仏,独,伊,加,露,中,印,韓,豪州,メキシコ,南ア,インドネシア,ブラジル,EU(デンマーク(議長国)及び欧州委員会(EC)),国連が参加し,カタール(COP18議長国),NZ,シンガポール,コロンビアがオブザーバーとして出席。
    (我が国からは,平松外務省地球規模課題審議官ほかが出席。)
  2. (2) 議長はマイク・フローマン米大統領府国家安全保障次席補佐官。

3.議論の概要

(1)COP17の評価及び今年の交渉の見通し(AWG-KP及びAWG-LCA)

 ダーバンで行われた昨年のCOP17は気候変動交渉におけるターニングポイントであり,その成果が歓迎された。
 既存の作業部会であるAWG-KPとAWG-LCAについては,COP18において終了することが決まったことを踏まえ,本年必要な交渉を加速する必要性が指摘された。また,新たに設置された緑の気候基金(GCF),技術メカニズム,適応委員会といったメカニズムを確実に立ち上げることの重要性も指摘された。一部の国はCOP18では実施(Implementation)が重要であり,特に第二約束期間の設定に必要な京都議定書の改正が行われることが重要である旨指摘した。
 なお,両作業部会のフォローアップは2013年以降,二つの補助機関(SBs)においてなされることが適当であるとの認識が示されたほか,AWG-LCAの成果の一部については,将来枠組みにおいても必要な改善を加えた上で活用すべきとの指摘がなされた。

(2)野心レベルの向上とダーバンプラットフォーム特別作業部会(ADP)

 野心レベルの向上に関しては,2020年までの排出ギャップを埋める作業と,2020年以降の将来枠組みにおける野心レベルの確保という二つの側面があり,両者を分けて考えるべきとの認識が共有された。その上で,2020年までの排出ギャップに関して,2020年に向けた目標・行動を未だ明らかにしていない国々のコミットの奨励,低排出(低炭素)成長戦略の策定など各国の努力の一層の促進,ICAO,IMOなどUNFCCC以外の国際枠組みにおける取組の重要性や化石燃料への補助金撤廃の重要性が指摘された。さらに,多くの国が短寿命温室効果ガスに関するイニシアティブ(CCAC)の有用性を指摘した。
 また,ADPに基づく将来枠組みのあり方に関する意見交換がなされ,CBDR等の条約の原則を踏まえつつ,全ての国が参加(Applicable to all Parties)する新しい枠組みを構築することの重要性が強調された。一部の国は,全ての国が緩和目標を有して参加することが重要であると指摘した。また,将来枠組みの目標設定に関してはトップダウン,ボトムアップを適切に組み合わせた中間的なアプローチを検討すべき,まずは実質的な内容に関する議論を優先し,将来枠組みの法的性質は最後に検討すべき等の認識が示された。また,当面は将来枠組みのコンセプトや大枠に関するブレインストーミングを進めることが有益との認識が共有された。
 我が国から本年3月1日,2日に東京においてブラジルと共催した非公式協議における議論の内容を紹介したところ,多くの国より本年は特に同会合のような率直な意見交換の場がとりわけ有益であると評価する意見があった。

(3)衡平性

 衡平性(equity)については,その意味するところは多様であり,定義は困難であること,しかしながら,気候変動枠組条約における極めて重要な概念であることにつき,参加者の認識が共有された。
 衡平性を確保することが各国の緩和を促進すると述べた参加者がいた一方で,衡平性は複雑な要素が含まれた概念であり,それを各国の緩和目標に変換しようとする試みは現実的ではないとの指摘もあった。
 いずれにせよ,各国とも衡平性という概念の重要性と複雑性を認識し,引き続き国連交渉においてワークショップ等,適切な形で本件を取り上げていくことが重要であるとの認識が共有された。

(4)資金・低炭素エネルギー

 資金と低炭素エネルギーについては,MEFが国連交渉への有益なインプットを行うという目的とともに,主要国による具体的な協力を促進するとの目的を有していることに鑑み,専門家から最新の事例を聴取するとともに,それに対する質疑応答を行うという形で議論が行われた。
 資金については,3か国の開発金融機関(KfW(独),BNDES(ブラジル),OPIC(米))から,特に民間資金の動員を促進する上で公的資金が果たす役割に焦点を充てつつプレゼンテーションが行われ,それに対する質疑応答が行われた。
 低炭素エネルギーについては,IEAより世界のエネルギー利用の現状と将来見通し及び低炭素エネルギーの促進に向けた課題等について詳細なプレゼンテーションがあり,それに対する質疑応答が行われた。我が国からは一昨日(4月15日)東アジア首脳会合(EAS)参加国における低炭素成長を後押しするため,東アジア低炭素成長パートナーシップ会合の第1回会合を東京において開催した旨紹介し,経済成長と温室効果ガスの排出を切り離す低炭素成長を促進するために具体的な協力を進めていくことの重要性を強調した。

(5)その他

 今後,MEFとして,国連交渉を後押しするとともに,より一層,低炭素成長を進めるための資金や市場メカニズム,技術の活用といった具体的な課題に取り組んでいくとの方向性が確認された。

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