地球環境

第3回エネルギー安全保障と気候変動に関する主要経済国会合
概要と評価

平成20年4月18日
日本政府代表団

1.概要

(1)日程・場所

 4月17、18日(於パリ(仏外務省国際会議場))

(2)参加者

 日本、米国、中国、EU(議長国スロベニア及びEC)、ロシア、印、独、加、英、伊、韓国、仏、メキシコ、豪、南ア、インドネシア、及びブラジルが参加した。我が国よりは、西村内閣官房参与(首脳個人代表)、鶴岡外務省地球規模課題審議官、伊藤経済産業省大臣官房審議官、島田環境省国際調整官の他、外務、農林水産、経済産業及び国土交通の各省が参加した。

(3)18日朝にはサルコジ大統領が参加者に対して演説し、参加国の信頼関係構築の重要性等を訴えるとともに、先進国が主導していくことが必要であると同時に、先進国の取り組みだけでは不十分であるという点、また、気候変動が食糧問題に及ぼす影響等について述べた。

(4)ジュイエ仏欧州問題担当長官及びプライス米大統領補佐官が共同議長を務めた。

2.開会

 ジャン=ルイ・ボルロー国務相、エコロジー・持続可能開発整備相が開会挨拶を行い、デ・ブアUNFCCC事務局長が潘基文事務総長メッセージを代読し、3月末~4月始めバンコクで行われたAWGについての報告を行った。

3.議題毎の議論の概要

(1)共有されたビジョン、全球的長期目標及び中期目標

 長期目標については、日本から改めてビジョンであり負担の分担を決めるものではなく、共有することが重要である旨主張し、議論が行われた結果、長期目標以外にも共有されたビジョンの内容として持続可能な開発等を主張する等、多様な意見が出された。また中期目標については、バリ行動計画の履行に如何にこの主要経済国会合(MEM)が前向きな貢献をすることができるかという観点から、様々な意見が出された。

(2)セクター別アプローチ

 G20対話における日本の貢献が評価され、また、前日行われたワークショップの報告を受けた上で議論が行われた。我が国からは、セクター別アプローチの目的は削減をもたらすこと、まずは石炭火力発電、鉄鋼、セメント、運輸の4つのセクターから開始すること等を主張した。大きく2つのセクター別アプローチの概念が特定された(国境を越えた個別の産業毎の取り組み、及び、各国の国内の削減目標の策定のための取り組み)上で、セクター別アプローチは、中期の国内計画策定に有用な手段であり、さらに議論を進めていくべきとの意見が大勢を占めた。また、先進国の国別総量目標を代替するものではなく、全ての国に一律の基準を当てはめるものでもなく、貿易制限措置につながるものでもあるべきでない、「共通だが差異ある責任」の原則を損ねるものではないことについて、議長のまとめとして共通の認識が得られた。潜在的に有益な分析手段となり得るとの認識の下、今後とも更に検討を続けていくこととなった。

(3)技術協力、資金、措置

 日本が3月千葉において行われた技術ワークショップにつき、省エネ技術の普及と革新的技術の開発が緩和対策としてきわめて重要であるとの点でコンセンサスがあったことを報告した。技術の重要性については一致した見解があり、環境技術を特定するなど具体的議論を進めることは有益との評価があった。資金については、規模、調達方法、ガバナンス等について若干議論が行われた。

(4)適応並びに土地利用及び森林

 我が方より、次期枠組みを待たずとも、今すぐ実施できる対策は実施すべきことを指摘、また、適応についてのシステマティックな分析や知見の共有の必要性等について、指摘が為された。途上国の森林減少問題については、我が方より、途上国の能力向上支援、持続可能な森林経営、違法伐採対策等の重要性について指摘した。さらに、森林減少対策へのインセンティブのあり方等については、各国の多様な考え方が提示された他、日本が6月に行うワークショップの成果等を考慮に入れるべき、等の意見が出された。

(5)次のステップ及び結論

 7月に北海道洞爺湖において開催される首脳会合に向け、5月及び6月に、首脳個人代表レベル及びその代理レベルの会合を1回ずつ開催する(場所は未定)こととなった。

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