平成20年2月1日
日本政府代表団
(1)日程・場所
1月30日、31日、於ホノルル(東西センター)
(2)参加者
日本、米国、中国、EU(議長国スロベニア及びEC)、ロシア、印、独、加、英、伊、韓国、仏、メキシコ、豪、南ア、インドネシア、及びブラジルが参加した。我が国よりは、西村内閣官房参与(首脳個人代表)、鶴岡外務省地球規模課題審議官、本部経済産業省大臣官房審議官、谷津環境省大臣官房審議官の他、外務、財務、農林水産、経済産業、国土交通、環境の各省が参加した。
(1)昨年12月のバリ会議においてバリ行動計画が採択されたことを受け、主として、国連交渉プロセス、特にバリ行動計画に主要経済国プロセスはいかに貢献できるかにつき議論が行われた。その結果、長期目標、中期の国別計画、セクター別アプローチ、技術開発等に関し率直な意見交換が行われた。我が国もそれぞれのテーマにつき、我が国としての方針を説明した。
(2)今後の予定について、5月に次回主要経済国会合(MEM)を仏で開催することが決定された。それに先立ち、3月に日本において、MEMの取り進め方についての事務レベルの意見交換を行うことが有意義であるとの合意が為された。また、同じく3月に、日本で技術ワークショップ(WS)を開催することとなった。
(3)各論
(イ)長期目標
我が国からは、拘束力を有しないビジョンとしてのグローバルな長期目標を国際社会が共有すべきであるという点を改めて主張した。各国からは、2050年までに半減という目標は先進国のみならず、途上国もできる限りの努力をしなければ達成が困難な目標であり、技術的なブレークスルーが必須である、との意見が多く出された。また、日本の提唱している低炭素社会作りも重要であるとの指摘があった。他方で、長期目標の具体的な内容については、様々な意見が表明された。
(ロ)セクター別アプローチ及び技術協力
我が国から、前日29日に行われた技術WSの準備会合において、長期の革新的技術開発と既存技術の移転の重要性等について活発な意見交換があった旨紹介を行った。参加国からは、排出量の多いいくつかの重要なセクターを特定して、具体的な行動につき議論することが重要であるとの意見や、技術開発のロードマップを各国で共有すべきといった意見が表明された。また、エネルギー効率向上についてのグッドプラクティスの共有の重要性が先進国・途上国双方から指摘され、また、途上国が実際に技術を活用するための能力開発が重要であるとの指摘が為された。さらに、我が国からは今後10~20年の間にピークアウウトするためには、技術の開発及び各国間の政策調整を進めることが必要である旨主張し、また、既存技術の移転に際しては、設備・機器のメンテナンスを確保しなければならない、との別の問題もあることを指摘した。
(ハ)中期計画
バリ行動計画で先進国・途上国双方の、緩和のためにとるべき措置が共有されたことを土台として、これを主要経済国がどう具体化するかに関して議論が行われた。様々な意見が表明され、特に、国際的な合意及び各国の国内措置、さらにはセクター別アプローチが果たし得る役割、並びにそれらの相互の関係について、いくつかの意見が表明された。我が国からは、目標策定に当たっては、積み上げ方式によって衡平さを確保することが必要であるとの主張を行った。また先進国と途上国の間のそれぞれの行動には差異があって然るべきとの意見が多く見られた。
(ニ)適応・森林・計測・資金
我が国は、2013年を待たずとも、適応分野では実施可能なことを既に行動に移している旨紹介し、また、違法伐採も含め、森林問題への対策が重要であることを指摘した。計測についても、技術的な問題ではあるが、その重要性について政治レベルにおいても認識されるべきであるとの意見を述べた。また我が国から、我が国が発表した資金メカニズム「クールアースパートナーシップ」について紹介し、他の国からも資金面での構想について説明があった。また、気候変動関連の物品・サービスについての貿易障壁を指摘する意見も出された。さらに、参加国からは、森林減少問題について早急な対策が必要との意見が述べられた。
(1)MEM参加国が共有できる長期目標が如何なるものであるかについて、複数の具体例を基に率直な議論が行われ、各国の理解が深まった。
(2)国別の中期計画については、バリ行動計画を共通の出発点として、2013年以降の枠組みのあり方を念頭に議論することを通じ、意見の一致には至らなかったが、今後いかに同行動計画を具体化させていくかについて、一定の方向性が示された。
(3)セクター別アプローチについて、これまで以上に具体的な議論が行われ、この点と、革新的技術の開発が重要であるとの我が国の主張が、WSの開催等を通じ、広く浸透してきていることが感じられた。
(4)我が国は、G8議長国として、北海道洞爺湖サミットにおいて国連の交渉プロセスに弾みをつけるような成果を目指すこととしており、このMEMプロセスについても、国連の交渉プロセスに貢献していくよう、積極的に協力・参加していきたい。