気候変動次期枠組みに関する日本提案
平成20年9月30日
1.背景
- 昨年のCOP13で、次期枠組みに関する合意につき2009年末に採択するよう交渉することが決定された（バリ行動計画）。これを踏まえ、本年はバリ行動計画の主な要素に関する各国の考え方について意見交換を行っている段階。
- 本年末のCOP14では、来年の交渉本格化に向けて各国から提示された考え方、提案の整理が行われる予定。そのために各国からの提案を9月末を目途に作業部会議長に提出することとなっており、我が国の考え方が議長の取りまとめるペーパーに適切な形で反映されるよう、日本政府として提案を行うもの。
2.提案の概要
- 提出文書は、バリ行動計画に沿って、1）共有のビジョン（長期目標）、2）緩和、3）適応、4）技術、5）資金などについて記述。
- 次期枠組みとして新たな一つの議定書もしくは改正議定書の採択を提唱。
- 共有のビジョンにつき、G8北海道洞爺湖サミットで合意された、2050年までに世界全体での排出量を少なくとも半減との目標の採択を提案。長期目標実現に向け、国際連携の強化等を通じた革新的技術開発を促進し、低炭素社会を実現する。
次期枠組みで「緩和」につき各国が負うべき義務のあり方については、
（1）先進国は、国別総量目標を設定し、その達成を義務づけ。目標は最新年を含む複数の年からの削減率と排出総量で示す。設定に当たっては、セクター別アプローチを活用し、比較可能性を担保。先進国としての義務を負う国の基準を作成し、OECD加盟国やそれに比肩しうる国（注）は、先進国として扱う。
（注）一人当たりGDPのみならず、一人当たり排出量、産業構造、人口動態等、複数の指標を用いて総合的に検討。
（2）途上国を、経済の発展段階等により分類し（「差異化」）、1）主要途上国に対しては、主要セクター及び経済全体の効率目標を拘束力のある目標として設定、2）その他の国については、国家行動計画の提出と定期的レビューを規定。
- 経済発展段階に応じて上位の分類に移行する仕組み（「卒業」）を作成。
- 資金については、既存の資金メカニズムを改善するとともに、新たな資金需要については、締約国からの拠出を含め国際的な協力の下での対応を検討する。