平成23年11月25日
途上国のモントリオール議定書遵守支援のために設けられている多数国間基金(MLF)の次期3年間の資金規模について、前3か年と同じ水準に抑えようとする先進国と、資金規模を拡大しようとする途上国が激しく対立した。2013年から途上国におけるHCFC(ハイドロクロロフルオロカーボン)の段階的削減のための資金が今年は特に必要とされており、長時間に及ぶ議論の結果、2012~2014年の資金規模は4億5千万ドルで決着した。
ODSの代替物質であるHFCの生産・消費を段階的に削減するためにモントリオール議定書を改正するとの北米三か国(米国・カナダ・メキシコ)等の提案が一昨年、昨年に引き続き提出された。我が国を含む先進国や島嶼国等は議論を行うことを主張したが、ODSでないHFCをモントリオール議定書の枠組みの下で議論することに対してインド、中国、ブラジル等より昨年に引き続き強い反発があった結果、北米等の提案を議論するためのコンタクトグループ設置にはコンセンサスが得られなかった。
また、技術経済評価パネル(TEAP)に対して、ODSであるHCFCから代替物質への転換にあたっての経済性、技術、環境への影響等についての分析を求める提案が、コンタクトグループでの議論を経て採択された。
ODS破壊処理技術について議論が行われ、プラズマアーク法を利用した我が国の小型のODS破壊装置を含む新たな破壊技術を承認すること、TEAPに対して同法を用いた臭化メチルの破壊についての評価の継続を求めること等が採択された。
我が国からの収穫物くん蒸用の不可欠用途申請(クリのクリシギゾウムシ用途)の2013年使用分の数量については、MBTOC(臭化メチル技術選択肢委員会)による勧告数量どおり決定された。これにより、わが国の2013年使用分数量は、収穫物くん蒸用について申請数量どおりの3.317トンとなった。また、我が国は2014年分以降は申請しない方針としている。
また、臭化メチルの検疫及び出荷前の使用(QPSMB)について、EUから提出された決定案についてコンタクトグループで議論が行われ、各国が国際植物防疫条約(IPPC)の勧告に基づきQPSMBに関する詳細な情報を収集すること、適宜QPSMBに関する情報を報告すること、及びTEAPに対して提出された情報に基づく評価を求めること等が採択された。
TEAPのCTOCの共同議長であった山辺正顕氏(産業総合研究所)が退任し、後任者として、大西啓一氏(旭硝子)が任命された。また、山辺氏はTEAPシニアエキスパートに任命された。
ホスト国インドネシアのイニシアチブにより提案された、モントリオール議定書に則ったオゾン層破壊物質の削減の地球温暖化防止における役割の重要性や、低温室効果物質への代替を促進するために適切な措置を講じること等を謳った「バリ宣言」が関心国によって支持された。