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カリモフ・ウズベキスタン大統領の訪日(概要と評価)

平成23年2月10日

 カリモフ・ウズベキスタン大統領は,2月8日~10日まで,我が国の招待(公式実務訪問賓客)により訪日したところ,訪問の概要及び評価以下のとおり。

ポイント

 中央アジアの地域大国であり,鉱物資源の豊富なウズベキスタンから,8年半ぶりに大統領を我が国に招待。首脳会談等の機会を通じて,両国関係の一層の緊密化を図っていくことで合意し,特に以下の成果を得た。

  • ウラン,レアメタル等の鉱物資源の共同開発,調査に関する協力の強化で一致
  • 貿易・投資拡大に向けたビジネス環境の継続的な改善の必要性を確認
  • 日本の国連安保理常任理事国入りに対するウズベキスタンの一貫した支持を確認

I 日程

 2月9日午前に天皇皇后両陛下御会見及び午餐。同日午後,前原外務大臣によるカリモフ大統領表敬。同日夕,菅総理との首脳会談,両首脳間の共同声明(別添 日本語仮訳骨子英語)等の署名式を行い,総理夫妻主催夕食会を開催。10日,横路衆議院議長,西岡参議院議長との会談を行った後,日ウズベキスタン友好議連幹部を中心とした参議院議長主催昼食会が行われた。

II 首脳会談の概要

1. 政治対話等

 菅総理から,ウズベキスタンの独立20周年に対する祝意を表明し,両国の友好議員連盟を中心として議会間交流等が活発化していることを評価。これに対し,カリモフ大統領は,日本との着実な関係を今後一層強化させたいとし,両首脳は「戦略的パートナーシップ」関係を更に高い段階へ引き上げる意向を確認。

2.二国間経済関係

  1. (1) 菅総理から,大統領今次訪日に際し,石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)との間で,ウラン鉱床の探査・開発,レアメタル,レアアースの共同調査,研究に関する覚書が署名されたことを高く評価。今後のプロジェクトの円滑な進展に向けた協力を要請。
  2. (2) 大統領から,両国は互いの強みを生かした互恵的な協力関係を構築すべきであり,鉱物資源の分野において協力関係の強化を図るべきである旨発言。日本からの投資を通じた技術の移転が重要であることを強調。
  3. (3) これに対し,総理から,日本企業のウズベキスタンへの進出を後押しし,両国間の貿易・投資を一層活発化させるためにも,ビジネス・投資環境の整備に向けたウズベキスタン政府の一層の努力に対する期待を表明。

3.経済協力分野における協力

  1. (1) 総理から,「カルシ-テルメズ鉄道電化計画」の実施に向けた円借款の供与を決定したことを伝達し,今後もウズベキスタンの民主化・市場経済化と持続的な経済発展に向けた努力を様々な分野で支援していく日本の方針を説明。
  2. (2) 大統領から,これまで20年間に亘る日本からの経済協力に深い謝意を表明し,本件鉄道電化計画について,ウズベキスタン国内のみならず,隣接するアフガニスタンの安定・復興にも大きく寄与するものであるとして,高く評価。

4.国連安保理改革

 カリモフ大統領から,改めて日本の国連安保理常任理事国入りに対する支持を表明。総理から,ウズベキスタンの一貫した支持に対する謝意を表明。

III 前原大臣によるカリモフ大統領表敬の概要

 カリモフ大統領の訪日を契機としたウズベキスタンと我が国との戦略的パートナーシップの更なる強化を確認するとともに,世界でも高い技術を有する日本と,資源を豊富に有するウズベキスタンとは,相互に協力すべき関係にあるとの認識で一致。また,日本人抑留者に対するウズベキスタン国民の配慮等にも触れつつ,資源分野における協力,経済協力分野における協力とともに,人的交流等を通じた両国の信頼関係の一層の強化が重要との認識で一致。

IV 評価

1 日本外交のフロンティアの拡大

 中央アジア最大の人口を擁し,鉱物資源の豊富なウズベキスタンは,我が国にとって中央アジアにおける「戦略的パートナー」であり,8年半ぶりとなるカリモフ大統領の訪日は,両国関係を新たな段階へと引き上げる重要な契機となった。また,「中央アジア+日本」対話に対する協力姿勢が確認されるとともに,国連安保理改革等に対する一貫した支持を確認した。

2 経済・資源外交の推進

  1. (1) 経済・資源外交

     ウズベキスタンにおける資源開発に関する合意(ウラン鉱床の共同探鉱,ウラン廃さいからのレアメタル回収,レアメタルの共同調査等)が得られた他,日本企業によるウラン精鉱売買契約が拡大・更新されるなど,我が国が重視する資源分野において大きな成果があった。

  2. (2) ビジネス環境整備

     両国間の貿易・投資の促進を図る観点から,輸出入手続きを含めたビジネス環境の継続的な改善の必要性を確認するとともに,両国間でビジネス・投資環境の向上のためのワーキンググループを設置することで合意するなど,日本企業支援の観点から成果があった。

3 経済協力の推進

 2004年に円借款を供与した「タシクザール-クムクルガン鉄道新線建設計画」,2010年の「タリマルジャン火力発電所増設計画」に続いて,「カルシ-テルメズ鉄道電化計画」への円借款供与を決定することで,同国におけるインフラ整備支援を更に進めるとともに,隣接するアフガニスタンの安定・復興にも資する我が国の支援への高い評価が確認された。

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