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米国における対日世論調査(概要)
平成18年8月
平成17年度の米国における対日世論調査の結果について、主要ポイントは以下の通り。なお、本件世論調査は1960年以来ほぼ毎年実施しているものである。
1.結果概観
(1)今回の調査では、全体として良好な対日観、日米関係への評価が示され、ここ数年続いている傾向が維持された。対日信頼度は、有識者の部で91%、一般の部で69%と高水準を維持した。また、一般、有識者の部の双方において、現在の日米協力関係を良好と考える割合が過去最高(一般:63%、有識者:85%)となったほか、日米両国民の相互理解度を「良い」と考える人の割合についても、両方の部で過去最高を記録した昨年を更に上回る数字となった。日米は共通の価値観を有していると考える人の割合も昨年同様高いレベルを示した。(一般:78%、有識者:96%)
(2)アジアにおける最も重要なパートナーとして日本を挙げる割合は、本設問が設けられた95年以降、常に第1位を占めてきているが、その割合は減少傾向を示しており、本年は、一般、有識者の部共に若干減少した(一般:48%→45%、有識者:48%→47%)。他方、中国を最も重要とする見方は、ここ数年増加しており、一般の部で昨年より7ポイント増加の33%、有識者の部で昨年より5ポイント増加の43%となった。有識者で中国を最も重要と考える人は2000年の20%に比較すると2倍に増加し、日本を挙げる人との差も4ポイントまで縮小してきている。
(3)経済面では、日米の貿易不均衡の主な理由として「市場アクセス等日本側の問題を挙げる割合が過去最低となり、今回初めて「米国産業の競争力の問題」や「マクロ経済上の問題」を挙げる者が右を上回った。日本が経済力に見合った国際的な役割を果たしているかという質問に対しては、有識者の74%が肯定的に回答し、昨年を更に上回り、過去最高となった。
(4)日米安保条約は地域の平和と安定に貢献している、同条約は米国の安全保障にとっても重要である、同条約を維持すべきであるとの3つの質問に対しては、一般、有識者共に全て8割以上が肯定的であり、昨年同様、日米安保体制に対する高い支持が再確認された。
(5)今回初めて調査した日本のイメージに関しては、「豊かな伝統と文化を持つ国」「経済力・技術力の高い国」「自然の美しい国」といった肯定的な回答が高い割合を占めた。
2.調査概要
(1)実施機関:ギャラップ社
(2)実施時期:平成18年2月~3月
(3)調査方法:
(イ)「一般の部」は、1、500名(18歳以上の男女)を対象に電話調査を実施。
(ロ)「有識者の部」は、学術、ビジネス、政府(行政府及び議会)、宗教、マスコミ及び労働関係の指導的立場にある人物254名を対象に電話調査を実施。
(4)調査の信頼度:
両部門とも信頼度は95%。サンプル・エラーは「一般の部」±3%、「有識者の部」±6%(同じ規模のサンプルを対象に同様の調査を100回行った場合、そのうち95回は「一般の部」で±3%以内、「有識者の部」で±6%以内の誤差で今回と同じ結果になるということを意味する)。
3.各論 (括弧内の数字は各々前年及び前々年の回答率を表す。主要な質問についてはグラフに推移が示されている。)
(1)対日信頼度(グラフ1参照)
- 対日信頼度は、有識者の部で91%、一般の部で69%と高水準を維持している。有識者の部では、過去最高となった2003年と同レベルになり、一般の部では、過去最高となった昨年にはやや及ばなかったものの、過去2番目の高水準となった。
日本は信頼できるで友邦であるとする回答率
- 一般人:69%(72%(注)、68%)、有識者:91%(注)(90%、89%)
(2)日米二国間関係一般の評価
- 一般の部、有識者の部とも、アジア地域の中で最も重要なパートナーとして日本を選ぶ者が一番多かったが、中国を最も重要なパートナーと見なす割合が前回に比べ、一般の部で7ポイント、有識者の部で5ポイント増加し、日本との差が縮まってきている。
- 日米協力関係一般を「極めて良好」ないし「良好」と回答する割合及び日米両国民間の相互理解度が「良い」と回答する割合は、一般、有識者の部とも過去最高となった。
(イ)米国にとりアジア地域の中での最も重要なパートナー(グラフ2参照、3参照)
- 1位:日本
- 一般人:45%(48%、48%)、有識者:47%(48%、65%)
- 2位:中国
- 一般人:33%(注)(26%、26%)、有識者:43%(38%、24%)
3位:ロシア
一般人:13%(13%、9%)、有識者:4%(9%、7%)
(ロ)日米協力関係一般を「極めて良好」ないし「良好」とする回答率(グラフ4参照)
- 一般人:63%(注)(61%、60%)、有識者:85%(注)(83%、82%)
(ハ)将来の日米関係に対する評価
- (良くなる)
- 一般人:42%(46%、44%)、有識者:42%(29%、30%)
(グラフ5参照)
- (変わらない)
- 一般人:44%(42%、43%)、有識者:51%(62%、59%)
- (悪化する)
- 一般人:10%(9%、8%)、有識者:5%(5%、7%)
(ニ)日米関係改善のために次の方法のうちどれが最も有効と思うか。
- 「経済・貿易関係の改善」
- 一般人:36%(38%、42%)、有識者:44%(50%、53%)
- 「地球的規模問題への協力促進」
- 一般人:28%(26%、23%)、有識者:27%(28%、26%)
- 「政治的(安全保障)関係の強化」
- 一般人:21%(25%、25%)、有識者:20%(16%、15%)
- 「文化交流の促進」
- 一般人:12%(9%、7%)、有識者:8%(6%、5%)
(ホ)日米両国民間の相互理解度に対する評価
- (良い)
- 一般人:38%(注)(36%、30%)、有識者:25%(注)(23%、22%)
(グラフ6参照)
- (普通)
- 一般人:45%(47%、50%)、有識者:58%(60%、61%)
- (良くない)
- 一般人:15%(16%、18%)、有識者:16%(17%、17%)
(3)日米安保体制への評価
- 有識者の部で、日米安保条約を維持すべきと考える割合が昨年と比べ、7ポイント増加した。
- 米国自身の安全保障にとって日米安保条約が「極めて重要」、又は、「ある程度重要」と回答した有識者の割合は過去最高となった。
(イ)日米安保条約の維持に対する評価(グラフ7参照)
- (維持すべき)
- 一般人:85%(86%、85%)、有識者:90%(83%、83%)
(ロ)日本及び極東の平和と安定への日米安保条約の貢献度に対する評価
- (非常に又はやや貢献している)
- 一般人:71%(72%、72%)、有識者:82%(80%、80%)
(ハ)米国自身の安全保障にとっての日米安保条約の重要性に対する評価(グラフ9参照)
- (極めて又はある程度重要)
- 一般人:87%(86%、86%)、有識者:88%(注)(82%、83%)
(4)経済・貿易関係
- 日米間の貿易不均衡の原因として、これまでは、日本側の市場の閉鎖性を指摘する割合が一番高かったが、今回初めて、米国産業の競争力の問題や、マクロ経済上の問題を挙げる者がそれを上回った。
日米間の貿易不均衡の主要原因(グラフ10参照、11参照)
- 「米国産業の競争力の問題」
- 一般人:33%(注)(30%、29%)、有識者:32%(注)(23%、23%)
- 「米国財政赤字、日本の内需等両国のマクロ経済上の問題」
- 一般人:30%(29%、27%)、有識者:33%(35%、41%)
- 「市場アクセス等日本側の問題」
- 一般人:29%(注)(34%、37%)、有識者:29%(注)(36%、32%)
(5)日本の国際的役割に対する評価
- 日本は経済力に見合った重要な国際的役割を果たしているとの回答は、有識者の部で74%と過去最高となった昨年を更に上回る結果となった。
- 分野別では、昨年同様、科学技術と世界経済の分野で高い評価を得ている。文化交流の分野では、昨年と比べ、一般の部で5ポイント、有識者の部で11ポイント増加した点が注目される。
(イ)日本は経済力に見合った重要な国際的役割を果たしているか。(グラフ12参照)
- 「果たしている」
(有識者については「少しは果たしている」を含む)
- 一般人:68%(60%、60%)、有識者:74%(注)(69%、65%)
- 「果たしていない」
- 一般人:25%(29%、29%)、有識者:23%(29%、35%)
(ロ)我が国は次の分野で重要な国際的役割を果たしていると思うか。(数値は「果たしている」と答えた者の割合)
- 「科学技術」
- 一般人:65%(57%、58%)、有識者:97%(96%、96%)
- 「世界経済」
- 一般人:58%(53%、53%)、有識者:97%(97%、91%)
- 「文化交流」
- 一般人:54%(49%、48%)、有識者:76%(65%、60%)
- 「世界政治」
- 一般人:44%(38%、38%)、有識者:71%(67%、62%)
- 「地球規模問題」
- 一般人:41%(37%、36%)、有識者:73%(69%、57%)
- 「経済援助」
- 一般人:36%(34%、30%)、有識者:70%(70%、61%)
- 「安全保障・平和維持」
- 一般人:35%(31%、31%)、有識者:45%(39%、39%)
(6)価値観の共有度
- 日米は共通の価値観を共有していると回答した割合が、昨年同様高いレベルを示し、一般の部では、「非常に共有」と「ある程度共有」をあわせた値では、英国より高い割合を示した。
(数値は「非常に共有」と「ある程度共有」をあわせた値。括弧内は前回、前々回の数字。)
国名 |
一般人 |
有識者 |
日本 |
78%(79%、80%) |
96%(91%、95%) |
英国 |
77%(83%、83%) |
96%(96%、98%) |
独 |
72%(74%、74%) |
94%(92%、96%) |
仏 |
59%(57%、56%) |
81%(76%、78%) |
露 |
57%(59%、59%) |
69%(69%、74%) |
台湾 |
57%(56%、55%) |
83%(84%、84%) |
中国 |
48%(47%、44%) |
55%(50%、46%) |
北朝鮮 |
20%(19%、19%) |
14%(9%、9%) |
(7)日本のイメージ
- 日本のイメージとして、「豊かな伝統と文化を持つ国」「経済力・技術力の高い国」「自然の美しい国」「平和な国」「欧米志向の国」というカテゴリーに対して、肯定的な回答が多数得られた。
(8)日本についての情報源
- 情報源としては、「新聞」「雑誌・書籍」「テレビ」が主流である点は従来と変化がなかった。一般・有識者共に割合が増加したのは、「映画」「学校教育」「インターネット」であったが、毎年回答に幅があるため、インターネットの割合が1999年以降徐々に増加している以外には、近年大きな変化はない。