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日米外相会談後の共同会見(概要)

平成18年10月19日

 10月18日(水曜日)17時24分より14分間、麻生大臣は、訪日中のライス米国務長官との会談後、共同会見を行ったところ、概要以下のとおり。

1.冒頭発言

(麻生大臣)

(1)先程、ライス国務長官と大変良い会談を行った。14日に安保理決議が採択され、北朝鮮を巡る問題解決のため国際社会が一致して対処している中、ライス長官がまず我が国を訪問されたことは、強固な日米同盟の証左である。我が国とこの地域の平和と安定のためには、日米安保体制が必要不可欠であり、この日米安保体制をより効果的なものとすべく、日米双方で協力していくことが重要である。ライス長官と、日米安保体制の下での米国の日本防衛のためのコミットメントはいかなる状況でも堅持されることを改めて確認をした。

(2)北朝鮮問題については、国連安保理決議の求める措置の速やかな実施のため日米が協調して行動し、関係国に共に働きかけていくことで一致した。このため、今後とも日米間で緊密な情報交換をはじめ協力していくことについて話をした。北朝鮮に対しては、効果的な圧力をかけつつ常に対話の窓は開けておく考えである。ライス長官と共に北朝鮮に対し、更なる事態の悪化を招く如何なる行動をも慎むよう最大限の自制を求め、直ちに無条件で六者会合に復帰するよう呼びかけたい。こうした取組を通じて、北朝鮮の核、ミサイル及び拉致問題の包括的な解決に向けて日米で緊密に連携していくことで一致した。

(3)会談では、この核実験問題を中心に議論を行った他、二国間関係、中国、韓国等を含む地域情勢、また核不拡散の観点からイランの問題についても話し合い、強固な日米同盟を再確認した。

(4)明日、ライス国務長官はソウルを訪問する。私自身もソウルを訪問し、日米韓外相会談を行う考えである。北朝鮮問題に関して日米が韓国と連携していくことを確認したい。

(ライス国務長官)

(1)麻生大臣の歓迎に感謝する。すばらしい議論をすることができた。我々は、長期間にわたり非常に強固な同盟関係を有しており、我々は相互のコミットメント、この地域に対するコミットメントを再確認した。

(2)我々は、北朝鮮の核実験及び以前実施されたミサイル実験を受け、この地域の安全保障について議論した。国連安保理は、上記二つのケースに対し、北朝鮮の行動は受け入れられない、北朝鮮は国際社会から孤立しているとの力強く、断固としたメッセージを発出することができた。日米が他の国と協力しながら安保理決議1718の下での全ての措置を迅速かつ効果的に履行することを確認した。

(3)加えて、私たちは、この重要な時期における日米同盟の重要性について協議した。米国は、1960年の日米安保条約を含めた全ての安保体制上のコミットメント含め、日本の防衛に対する米国の確固たるコミットメントを大臣に再確認し、明日安倍総理に対しても再確認する予定である。自分は、ブッシュ大統領の、米国は日本に対する抑止と安全保障のコミットメントをあらゆる形で、繰り返すがあらゆる形で(full range)履行する意思と能力を有している、との10月9日のステートメントを再び述べた。また、仮に北朝鮮が核関連物資・武器を他国や非国家に移転する場合、その責任は北朝鮮が負うことになる旨ブッシュ大統領は明らかにした。現在は、同盟国が特に協調すべき時期である。我々の同盟関係は、この地域の平和と安定の重要な柱の一つであり、現在更に強固なものとなっている。これは全ての関係国が承知しておくべきことである。

(4)安倍総理の訪中・訪韓の成功に祝意を表し、明日総理ご自身にもお伝えするつもりである。明日の日米韓三ヵ国協議を楽しみにしている。協議では、この地域の重要な局面について話をする考えである。大臣が述べられたように、他の幾つかの二国間問題についても議論する機会があった。私が特に強調したいのは安保理が現在イランの問題を提起していることである。不拡散体制は、国際社会が右体制の下での規則を履行する強い決意があって初めて機能することからも、これについて安保理で動きがあることを期待する。こういった時期において同盟国が協調することは重要である。

2.質疑応答

 今日の会談の中で大臣からも話があったように、北朝鮮の制裁決議について日本は速やかに行動することを確認したとのことだが、具体的に北朝鮮に出入りする船舶の貨物検査に関して、米側から何か要請があったのか。具体的な話がでなかったのであれば、これに関しての実施の時期、規模、あるいは方法如何。

答(麻生大臣)北朝鮮問題に関する議論の際、いわゆる貨物検査を含め、国連安保理決議1718の着実な実施が必要であるとの認識で一致した。このため、今後事務レベルでつめなければいけないことは多く、協議していくこととなった。細目を今から協議する考えである。

答(ライス長官) 大臣が述べられたことについては、今晩から詳細をつめる考えである。安保理決議1718は記録的な速さで国連において採択されたため、決めるべき詳細が多くあることは驚くべきことではない。いずれにせよ、米国はこの危機をエスカレートさせる気はないということを明確にしたい。そして、安保理決議1718の目的は二つある。まず、北朝鮮が核関連物資を移転させたり入手することのないよう、また、一部の武器を入手することがないよう輸出が禁止されているのである。また、加盟国は、物資の移転を防ぐ方法を実施することが義務付けられる。それらはいろいろな方法で行うことが可能であるが、私たちは港湾において危険物資を探査することについて議論した。私たちは危険物資を探知することが可能なメガポート・イニシアチブを始めている。危険物資の移動を禁止することは、各国の既存の権限に基づき、国際法上の権限の範囲内で行うべきものであり、効果的かつ着実なやり方で行いたいと考えている。北朝鮮による物資の移転を細かく見ていく必要があるが、但しこれはけっして入港禁止や封鎖、輸出禁止ではない。詳細を今後ともいろいろな場で協議していく考えである。

 大臣は北朝鮮の核実験を受けて、日本が通常兵器の能力を色々と変えていくことやあるいは国内の核武装をする議論が日本で行われることを長官は歓迎するか。

答(麻生大臣)「隣の国が核武装したら日本は核武装しなければならないだろう」というのは外国のプレスから昔らか言われている話。しかし、新たに核武装を用意するというような立場は全く日本政府にはない。また、今核武装をする必要がないのは、いわゆる日本の防衛のために日米安全保障条約が確実に作動(work)するとのコミットメント(というかreconfirmationというもの)がライス長官からなされたからである。

答(ライス長官)大臣の今の発言に留意したい。日本は既にこの問いに答えている。総理、大臣もすでに答えているが、米国の役割は北朝鮮を含む全ての国に、米国は日米安全保障条約の下で、同盟国である日本を守るためにその義務を完全に認識し果たすことを周知させる。私は、これが米国の考えであり、立場であることを再確認した。

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