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日タイ修好120周年
知ってる?タイと日本

知ってる?タイと日本

日本で活躍するタイ人インタビュー

花岡ソムシーさん

 タイ王国文部省認定の学校法人ITDA(International Thai Dance Academy)の校長を務め、タイと日本で活躍している花岡ソムシーさんにお話を伺いました。

 花岡さんはタイ南部出身で、上京してタイ国立舞踊学校を卒業し、日本語を勉強後1986年から3年間日本へ留学。1995年にタイ王国文部省の認定を受けてITDAを設立し、1998年にITDA日本分校設立のため再び来日(2000年11月設立)。主な活動はタイ舞踊のレッスンや発表会、公演であり、秋篠宮殿下や常陸宮殿下といった日本の皇族の方々に踊りを披露したこともあるそうです。インタビューは11月に予定されているローイクラトーン祭りの公演に向けた準備で忙しい毎日を送っている合間をぬって行われました。

 日本語を学ぶきっかけとなったのは、バンコクの若者が集まる飲食店で隣のテーブルにいた日本人が話す日本語をとてもかわいい!と感じたことだそうです。自分も日本語を話せるようになりたいと思ってJETRO(日本貿易振興会)バンコク支部の日本語の授業に通うようになり、その後JETROのプログラムで日本へ留学しました。1986年当時のタイでは日本の習慣・文化についての情報はほとんど入手できず、日本人が何を食べどのように生活しているのかもわからなかったため、お米や枕などあらゆる日用品を持って来日したそうです。食事や慣習、人々が歩く速さなど様々な違いに戸惑いタイに帰りたいと思ったこともありましたが、少しずつ慣れてきたことや家族の励ましもあって馴染むための努力を始めました。例えば、タイでは魚を生で食べる習慣がないこともあって来日当初は苦手だったお寿司を、日本人だって食べているのだから食べられないはずはないと思い、食べられるようになるまで根気づよく買って食べたそうです。
 日本人からみて行儀が悪いことやしてはいけないことは、言葉で説明してもらえることは稀で自分で察しなくてはいけないことが多かったという経験からも、日本の文化は独特なところがたくさんあり、外国人にとっては難しいと感じるそうです。しかし少しずつながらわかってくると、日本人は外国人に対してもとても協力的に接してくれるし、両国民の感覚などの違いを発見するのが楽しくなってきて、今は日本での生活がとてもおもしろいとのことです。
 「文化というのは長い時間の積み重ねで出来ているものだから簡単には変化せず、その国の文化と融合しようとするなら自分を変えるしかありません。他の国の文化を知ることで視野が広がり新しい考え方ができるようになるので、文化の交流をすることはとても素晴らしいことです。」と花岡さんはおっしゃっています。

 文化には損得勘定はないし、文化は人をやさしくしてくれるものであると花岡さんは考えています。活動をしていると色々な人が自然に集まってボランティアで協力してくれるようになることがたくさんあり、文化の交流では純粋に人と人としてふれあうことが出来ると実感するそうです。日本の人々にもタイの文化が美しいことを知ってもらいたい、知ってもらうことで心を豊かにするお手伝いをしたいと考えて花岡さんは日々活動しています。例えば、タイの精霊流しにあたる「ロイカトン祭り」を、お台場潮風公園で本年11月25、26日に開催し、タイの伝統文化の紹介を行う予定とのことです。また、踊ることにしても、美しく見せることで自分が満足するためではなく、見ている人に何かを伝えたい、やさしい気持ちになってもらえるように踊りたいと願っているそうです。

 日本とタイは長い交流の歴史をもっていますが、お互いに知らないことがまだまだたくさんあります。日本とタイの関係についてお尋ねすると、「どの国の人であるかに関係なく、一人一人が人間としてお互いに相手を知り理解できるように努力していくことが大切ではないでしょうか。日本もタイも長い時間をかけてつくられた文化をもっているので、文化の繋がりや交流を通して同じものを共有できれば国という枠組みを超えてひとつにまとまることができると思います。」と話して下さいました。

(写真)ITDA日本分校にて
ITDA日本分校にて
(写真)表情の柔らかい花岡さんの舞い
表情の柔らかい花岡さんの舞い

2006年8月
インタビュー:大森、水野(南東アジア第1課)

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