アフリカ

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安保理決議第1844号(訳文)


 安全保障理事会は,

 ソマリア情勢に関する従前の決議,特に決議第733号(1992年),決議第751号(1992年),決議第1356号(2001年),決議第1425五号(2002年),決議第1519号(2003年),決議第1676号(2006年),決議第1725号(2006年),決議第1744号(2007年),決議第1772号(2007年),決議第1801号(2008年),決議第1811号(2008年),及び決議第1814号(2008年),並びに議長声明,特に2006年7月13日(S/PRST/2006/31), 2006年12月22日(S/PRST/2006/59),2007年4月30日(S/PRST/2007/13),及び2007年6月14日(S/PRST/2007/19)の議長声明を想起し,制裁に関連する一般的問題に関する決議第1730号(2006年)を想起し,

 ソマリアの主権,領土保全,政治的独立及び統一の尊重を再確認し,

 ソマリア全土に安定及び安全を提供及び維持することの重要性を強調し,

 ソマリアにおけるあらゆる暴力行為及びソマリア国内における暴力の扇動への非難を再確認し,平和的な政治プロセスを防止又は妨げることを意図したあらゆる行為に対する懸念を表明し,

 ソマリア沖の船舶に対する海賊及び海上武装強盗行為の最近の増加に対する重大な懸念を表明し,決議第751号(1992年)に従って設立された委員会(以下「委員会」という。)の議長による2008年10月9日の安全保障理事会に対する声明において述べられたように,武装集団による禁輸違反への資金供与に海賊が果たし得る役割に留意し,

 決議第733号(1992年)5により課され,決議第1356号(2001年),第1425号(2002年),第1725号(2006年),第1744号(2007年)及び第1772号(2007年)により詳述及び修正された武器禁輸がソマリアの平和及び安全に引き続き行っている貢献を強調し,すべての加盟国,特に地域の加盟国が,これらの決議の要求を完全に遵守することを改めて要求し,

 決議第1814号(2008年)6に定めた,平和的な政治プロセスを防止若しくは妨げる者,又はソマリアの暫定連邦機構(TFIs)若しくはアフリカ連合ソマリア・ミッション(AMISOM)を武力により脅迫し若しくはソマリア若しくは地域の安定を損なう行動をとる者に対する措置をとる意図を想起し,

 決議第1814号(2008年)7に定めた,ソマリアに対する国連の武器禁輸の効果を強化し,武器禁輸に違反する者及びそれを支援する者に対する措置をとる意図を更に想起し,

 決議第1814号(2008年)6及び7に定めた,そのような個人又は団体に対して課される具体的な対象を特定した措置に関する提言を行うよう委員会に対し要請したことも想起し,

 委員会副議長発安保理議長あて2008年8月1日の書簡に留意し,ソマリアにおける事態が地域における国際の平和及び安全に対する脅威を引き続き構成していることを認定し,

 国際連合憲章第七章の下で行動して,

  1. すべての加盟国は,下記8に従って委員会により指定される個人が自国の領域に入国し又は領域を通過することを防止するために必要な措置をとる。ただし,この規定のいかなるものも,ある国に対して自国民が自国の領域内に入ることを拒否することを義務づけるものではない。
  2. 上記1により課される措置は次の場合には適用されないことを決定する。
    1. (a)  委員会が,人道上の必要性(宗教上の義務を含む。)を理由として,そのような往来が正当化されることを個別の案件に応じて決定する場合。
    2. (b) 委員会が,免除がソマリアにおける平和及び国民和解並びに地域における安定の目的に資すると個別の案件に応じて決定する場合。
  3. すべての加盟国は,自国の領域内に存在する資金,その他の金融資産及び経済資源であって,下記8に従って委員会により指定される個人若しくは団体により,又は,それらの代理として若しくはそれらの指示により行動する個人若しくは団体により,若しくは委員会が指定するとおり,それらにより所有され又は管理される団体により直接的又は間接的に所有され又は管理されるものを遅滞なく凍結することを決定し,また,いかなる資金,金融資産又は経済資源も,自国の国民又はその領域内にいる個人若しくは団体により,そのような個人又は団体の利益のために利用可能となることのないよう確保することを決定する。
  4. 上記3により課される措置は,関係加盟国により次のとおり決定された資金,その他の金融資産又は経済資源には適用しないことを決定する。
    1. (a) 食糧,賃料又は抵当,医薬品及び医療,租税,保険料及び公共料金のための支払いを含む基礎的な経費として必要であると決定されたもの又は法的役務の提供に関連して生じる妥当な専門手数料及び費用の払戻し若しくは凍結された資金,その他の金融資産及び経済資源の日常の保有若しくは維持のための国内法に基づく手数料若しくはサービス料のためのみに充てられる支払いであると決定されたものであって,関係国より委員会に対し,適当と認められる場合に,そのような資金,その他の金融資産又は経済資源へのアクセスを認める意図が通知され,かつ,委員会がそのような通知がなされてから三作業日以内に否定的な決定を行わない場合
    2. (b) 臨時経費として必要であると決定されたものであって,そのような決定が関係国又は関係加盟国により委員会に対し通知され,かつ,委員会によって承認された場合
    3. (c) 司法,行政又は仲裁上の担保又は判決の対象であると決定され,当該資金,その他の金融資産及び経済資源がその担保又は判決を充足させるために使用されるものであって,その担保又は判決がこの決議の日よりも前に効力を生じ,上記3に従って指定される者又は団体の利益のためではなく,かつ,関係国又は関係加盟国により委員会に対し通知された場合
  5. 加盟国は,上記3の規定に従って凍結された口座に対し,それらの口座に生ずる利子若しくはその他の収入又はそれらの口座がこの決議の規定の対象となる日よりも前に生じた契約,合意若しくは義務に基づいて行われる支払いを加算することを認めることができることを決定する。ただし,そのような利子,その他の収入及び支払いは引き続きこれらの規定の対象であり凍結される。
  6. 決議第733号(1992年)により課され,決議第1356号(2001年),第1425号(2002年),第1725号(2006年),第1744号(2007年)及び第1772号(2007年)により詳述及び修正されたソマリアに対する全面的かつ完全な武器禁輸を再確認する。
  7. すべての加盟国は,下記8に従って委員会により指定される個人又は団体に対する武器及び軍事装備の直接又は間接の供給,販売若しくは移転,並びに軍事的活動若しくは武器及び軍事装備の供給,販売,移転,製造,維持若しくは使用に関連する,技術援助若しくは訓練,資金,及びその他の援助(投資,仲介若しくはその他の金融サービスを含む。)の直接又は間接の供給を防止するために必要な措置をとることを決定する。
  8. 上記1,3及び7の規定は,委員会により次のとおり指定される個人に適用されること,並びに上記3及び7の規定は,委員会により次のとおり指定される団体に適用されることを決定する。
    1. (a) 2008年8月18日のジブチ合意若しくは政治プロセスを脅かす,又はTFIs若しくはAMISOMを武力により脅かす行為を含む,ソマリアの平和,安全及び安定を脅かす行為に関与し又は支援を提供する者。
    2. (b) 上記6において再確認された全般的及び完全な武器禁輸に違反した者。
    3. (c) ソマリアへの人道支援の提供又はソマリアにおける人道支援へのアクセス若しくはその分配を妨害する者。
  9. 上記1,3及び7において定めた措置は,委員会がそのような個人又は団体を指定された個人及び団体のリストから削除する場合に,その時点において,それらについて適用されなくなることを決定する。
  10. 委員会による他の国際連合制裁委員会及び事務総長特別代表との協調の重要性を強調する。
  11. 決議第751号(1992年)に定めた委員会の任務に次のものを含むよう拡大することを決定する。
    1. (a) 決議第1519号(2003年)に従って設立された監視団の支援を得て,上記6において再確認された全面的かつ完全な武器禁輸に加え,上記1,3及び7において課される措置の実施を監視すること。
    2. (b) すべての加盟国(特に地域内の国)から,上記1,3及び7により課される措置を効果的に実施するためにとった行動に関する情報及び委員会がこの関連で有用と考える更なる情報を求めること。
    3. (c) 上記1,3及び7,決議第733号(1992年)5並びに決議第1425号(2002年)1及び2により課される措置に関して申し立てられた違反に関する情報について検討し,必要に応じて適切な行動をとること。
    4. (d) 下記12に規定する加盟国の要請に応じ,上記3及び8に従い個人及び団体を指定すること。
    5. (e) 上記2及び4に定める免除の要請を受けた場合に検討し決定すること。
    6. (f) 上記3及び8に従い委員会により指定される個人及び団体のリストを,リストが可能な限り更新され正確であるようにするため,定期的に再検討すること及びリストへの掲載が適切であることを確認すること,並びに,加盟国に対し,追加的情報が入手可能となるときにはそのような情報を提供するよう奨励すること。
    7. (g) 安全保障理事会に対し,委員会の作業及びこの決議の実施について,特に上記1,3及び7により課される措置の効果を強化する方法に関する評価及び勧告とともに,少なくとも120日ごとに報告すること。
    8. (h) 上記1,3及び7に従った措置の違反の可能性のある案件を特定し,案件ごとに適切な行動を決定すること,及び上記11(g)に従った理事会への定期的な報告において,この問題に関する委員会の作業に関する進捗報告を提供するよう議長に要請すること。
    9. (i) この決議により課される措置の実施を促進するために既存の指針を修正し,必要に応じこれらの指針を積極的に再検討すること。

リストへの掲載

  1. 加盟国に対し,上記8に定める基準を満たす個人又は団体,及びそれらの個人若しくは団体により直接的若しくは間接的に所有され若しくは管理されるすべての団体,又はそれらの団体の代理として若しくはそれらの指示により行動する個人若しくは団体の名前を,指定者のリストに含めるために委員会に提出することを奨励する。
  2. 加盟国は,リストへの掲載のために委員会に名前を提案する際には,加盟国による個人及び団体の特定を可能にするための十分な識別情報とともに案件の詳細な説明を提供することを決定し,また,加盟国は,そのような提案ごとに,委員会が下記14に記述する概要の作成のために使用するため,又はリストに掲載される個人若しくは団体に通知若しくは通報するとの目的を含め,案件の説明のうち一般に公表できる部分及び関心国の要請に基づき提供される部分を特定することを決定する。
  3. 委員会に対し,リストに名前が追加された後,指定を提案した関係国と調整し及び監視団の支援を受け,リスト掲載の理由の説明概要を委員会のウェブサイトにおいてアクセス可能にすることを指示する。
  4. 事務局は,個人及び団体のリストに名前が追加された後で,公表後一週間以内に,当該個人又は団体が所在していると考えられる国及び個人の場合にはその者が国民である国(この情報が判明している範囲において)の常駐代表部に通知すること,並びにこの通知には,案件の説明の公開可能な部分の写し,委員会のウェブサイトにおいて入手可能なリストへの掲載理由に関するあらゆる情報,指定の効果の説明,リストからの削除の要請を検討するための委員会の手続,及び利用可能な免除に関する規定を含めることを決定する。
  5. 上記15の通知を受ける加盟国に対し,その国内法及び慣行に従い,時宜を得た方法で,リストに掲載された個人又は団体に対して,上記15に定める事務局により提供される情報とともに,指定を通知又は通報するために,すべての可能な措置をとることを要求する。
  6. 上記15の通知を受ける加盟国に対し,上記1,3及び7に定める措置を実施するためにとった措置について委員会に通報することを奨励する。

リストからの削除

  1. 決議第1730号(2006年)に従い,リストに掲載された個人,集団,企業又は団体に,リストからの削除の請願を直接提出する選択肢を提供するフォーカル・ポイントが事務局内に設置されたことを歓迎する。
  2. 指定を提案する国並びに市民権のある国及び居住している国に対し,決議第1730号(2006年)の付属書に定めた手続に従い,時宜を得た方法で,フォーカル・ポイントを通じて受領したリストからの削除の請願を検討すること,及び委員会による検討を促進するために,削除の要請を支持するか又は反対するかを示すことを要請する。
  3. 委員会に対し,その指針に従い,この決議に従った基準をもはや満たさない指定者を委員会のリストから除外するための要請を検討することを指示する。
  4. 事務局は,委員会の指定者リストから名前が除外された後一週間以内に,当該個人又は団体が所在していると考えられる国及び個人の場合にはその者が国民である国(この情報が判明している範囲において)の常駐代表部に通知することを決定し,また,そのような通知を受領する国に対し,その国内法及び慣行に従い,時宜を得た方法で,関係個人又は団体にリストからの除外を通知又は通報するための措置をとることを要求する。
  5. 委員会に対し,個人及び団体を委員会の指定者リストに掲載し及び削除するため,並びに人道的免除を与えるために,公正で明確な手続が存在するよう確保することを奨励する。
  6. 決議第1811号(2008年)3に定めた監視団の任務に次のものを含めることを決定する。
    1. (a) 上記6において再確認された全面的かつ完全な武器禁輸に加え,上記1,3及び7において課される措置の違反に関するあらゆる情報を提供することにより,この決議の実施の監視において委員会を支援すること。
    2. (b) 上記8に記述する委員会による個人及び団体の指定に関するあらゆる情報を委員会に対する報告に含めること。
    3. (c) 上記14に規定する説明概要の作成において委員会を支援すること。
  7. すべての加盟国に対し,この決議及びすべての関連決議により課された措置を厳格に実施する義務について注意を喚起する。
  8. すべての加盟国が,上記1から7を効果的に実施するためにとった措置に関し,この決議の採択から120日以内に,委員会に対して報告することを決定する。
  9. 上記1,3及び7に定める措置を12か月以内に再検討することを決定する。
  10. この問題に引き続き積極的に関与することを決定する。
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