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日本とカタールの経済関係強化に関する共同声明(仮訳)

平成22年9月30日

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 2010年9月30日,日本側前原誠司外務大臣及び大畠章宏経済産業大臣と,カタール側アブドッラー・ビン・ハマド・アル・アティーヤ・カタール国副首相兼エネルギー工業大臣は,東京において日・カタール合同経済委員会第五回会合を開催した。

  1. 双方は,アブドッラー・ビン・ハマド・アル・アティーヤ閣下の訪日の機会に,日・カタール合同経済委員会第五回会合が開催されたことを歓迎した。
  2. 双方は,両国の間で要人の活発な相互訪問により,二国間の経済関係が強化されていることに満足の意を表した。
  3. 双方は,2006年11月に日・カタール合同経済委員会第1回会合において設置された3つの作業部会(エネルギー作業部会,ビジネス環境整備・投資作業部会及び総括作業部会)において,これまで幅広い分野において議論が行われてきたことを歓迎した。双方は,これら3つの作業部会が,両国の経済関係の深化のため重要な役割を果たしてきているとの認識で一致した。双方は,合同経済委員会及びその3つの作業部会を,積極的かつ継続的に進めていくとの共通の意思を強調した。
  4. 双方は,2009年12月に日本国外務省及び経済産業省並びにアラブ連盟が主催し,ハーリド・ビン・ムハンマド・アル・アティーヤ国際協力担当国務大臣兼ビジネス・通商大臣代行及びカタール関係者の参加を得て東京で行われた日本アラブ経済フォーラムの第一回会合の成果に留意した。双方は,同フォーラムが投資,水,太陽光発電システム,産業,貿易,環境及び観光を含む分野のアラブ諸国と日本の間の関係強化に向けた重要かつ有益な場であることを強調した。双方は,2010年12月にチュニジアにおいて開催予定の第二回会合に向け協力していくとの意思を共有した。
  5. 双方は,両国政府ハイレベルの参加を得て,2010年1月にドーハで開催されたビジネスフォーラム「中東地域における新エネルギーの未来のための最先端エネルギー技術フォーラム」の成果を歓迎した。双方は,同フォーラムが日本のエネルギー効率/再生エネルギー分野における最先端技術に対する理解を促進し,両国間のビジネス間交流を促進する方法について協議するための重要な機会となったことを強調した。
  6. 双方は,両国関係における石油とLNGを含む天然ガスの重要性を再確認し,エネルギー市場において重要な役割をもつカタールと,カタールにとっての最初のLNG購入国であり,かつ,世界最大のLNG輸入国である日本との互恵的な関係に基づき,エネルギー分野で二国間協力を更に促進することの重要性を認識した。

     日本側は,カタールが引き続き日本を含む世界に対するこれら天然資源の信頼できる供給国であり,LNG生産能力を拡大しているカタールがエネルギー市場で担う役割は今後一層重要になるとの認識を表明した。一方,カタール側は,石油及びLNGを含む天然ガスを日本を含む世界に対し相互に受入れ可能な条件で安定的な供給を続ける意図を表明した。

     双方は,市場の安定性を促進するために,市場の透明性及び適切な需給バランスが重要であるとの見解を共有した。双方は,エネルギー価格の不安定性がエネルギーの産出国及び消費国の双方にとって望ましくないものであるとの見解を共有した。また,双方は,エネルギー価格の安定に資する市場の透明性の改善のため,共同石油データ・イニシアティブ(JODI)の更なる発展が必要であることを確認した。

     日本側は,Q-Maxの受入れ開始について報告するとともに,各港湾でのカタールからの大型LNG船(Q-Flex及びQ-Max)の受入れのために必要な準備状況を説明した。また,日本側は,カタールからのLNG輸送の更なる改善及び拡充のために,迅速に適切な措置を継続する意思を表明した。カタール側は,こうした日本側の努力を評価した。

     双方は,両国のエネルギー関係者による相互の交流及び理解を深めることを目的として,エネルギーの需給の見通し,利用技術その他のエネルギーに関する事項について意見及び情報の交換が行われる「日カタール・エネルギー技術・経済合同ワークショップ」が,2009年初め以降4回にわたって,ドーハ及び東京で開催されたことを歓迎した。

     双方は,エネルギー分野における上流及び下流部門を含む双方向の投資活動を拡大することに関する具体的案件について,適切な経路を通じて協議を継続していくことを再確認した。

  7. 双方は,これまでのビジネス環境整備・投資作業部会での議論を踏まえ,両国のより良いビジネス環境醸成に向けて積極的な取組を継続する強固な意思を強調した。双方は,二国間の経済関係強化のため,金融,総合品質管理(TQM),科学研究等の幅広い分野において,議論を進めることを確認した。双方は,共同科学研究及び開発の発展に関与するよう民間部門を促すことの重要性を強調した。これに関連し,カタール側は,カタール・サイエンス・テクノロジー・パークへの日本企業の進出に対する期待を表明した。
  8. カタール側は,日本が有し,又は開発中の情報通信技術に関心を示した。双方は,情報通信技術のカタールでの普及及び促進のための協力の方法について検討する意図を共有し,同分野での協力を通じて,ビジネス活動が将来促進されることへの期待を表明した。
  9. 日本側は,2010年4月26日に,カタール航空が成田・ドーハ間で運航を開始したことを歓迎した。双方は,両国間の更なる人的交流が促進すること,並びに物流及び交通の効率が増進することに対する期待を表明した。これに関連し,双方は,かかる交通の効率の改善が観光分野の交流と協力の促進に資することへの期待を表明した。
  10. 双方は,日本の資金情報機関(国家公安委員会)とカタールの資金情報ユニットとの間で2009年に署名された協力文書に基づき,資金洗浄,テロ資金供与及び関連犯罪の捜査を支援するための情報交換を促進することにより,資金情報分野における協力を促進することへの期待を表明した。
  11. 双方は,ドーハ新空港の建設,送電線の整備等,カタールで事業を行う日本企業に対して継続的に支援していく意思を表明した。カタール側は,電力網の拡張,鉄道の敷設等,カタールが進め,又は計画している開発プロジェクトへの日本側の積極的な進出及び更なる投資を歓迎した。日本側は,日本の優れた人材及び技術の活用によるプロジェクトへの協力の可能性について検討を進める意思を表明した。日本側は,来年初めに官民合同ミッションをカタールに派遣し,都市交通に関するセミナーを開催する意思を表明した。カタール側は,こうした日本側の努力を評価した。双方は,経済関係の更なる強化のため,緊密な連携を継続することで一致した。
  12. 双方は,二国間投資協定の締結に向けた交渉を可能な限り早期に開始することについての共通の意思を確認した。双方は,日本とGCC(湾岸協力理事会)との自由貿易協定(日GCC・FTA)交渉が迅速に妥結することを期待した。
  13. 双方は,国家の発展のためには教育及び人材育成が必要不可欠であるとの認識を共有し,教育分野での協力を促進する意思を確認した。カタール側は,カタール側から土地及び校舎の提供を受けて再開したドーハ日本人学校へのカタール人生徒の受入れ並びに日本の高等教育機関への留学促進により,カタールの人材育成に貢献することを意図する日本側の努力及び支援を評価した。カタール側は,カタールでの日本式教育の普及のため,可能な支援について検討する意図を表明した。日本側は,ドーハ日本人学校へのカタール人生徒の速やかな就学開始に対する期待を表明した。
  14. 双方は,2012年に両国間の外交関係樹立40周年を迎えるに当たり,両国間の相互理解及び友好関係を一層促進することの重要性を認識し,可能な方法で気運を高めていく意思を表明した。
  15. 双方は,民間部門を通じて,日本の先端技術を利用し,カタールのニーズを満たす植物工場をカタールで促進する意図を表明した。
  16. 日本側は,日本において開発されている環境性能に優れたリージョナルジェット航空機の広範な利用が環境問題解決のために著しく貢献することを強調した。カタール側は,本プロジェクトに対し関心を示した。
  17. 双方は,WTOに係る案件,特に貿易円滑化交渉に係る協力を継続する希望を表明した。
  18. 双方は,経済関係を中心に幅広い分野での二国間関係強化の方法について合同経済委員会の枠組みにおいて引き続き議論することの重要性を再確認し,各作業部会における議論を踏まえつつ,合同経済委員会第六回会合を開催することを決定した。
  • 日本国外務大臣
    前原 誠司
  • カタール国副首相兼エネルギー工業大臣
    アブドッラー・ビン・ハマド・アル・アティーヤ
  • 日本国経済産業大臣
    大畠 章宏

 

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